満塁弾の中日・根尾、「イチロー流」練習が結実 空白の1週間で打撃フォーム改造

[ 2021年5月5日 05:30 ]

セ・リーグ   中日8-4DeNA ( 2021年5月4日    バンテリンD )

<中・D(8)>3回1死満塁、根尾(右)はプロ第1号となる満塁本塁打を放ち、満面の笑みでベンチのナインとグータッチする(撮影・椎名 航)
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 こん身の一振りで歴史の扉を開いた。中日・根尾昂内野手(21)が4日のDeNA戦でプロ初本塁打となる満塁弾を放ち、チームを勝利に導いた。初本塁打を満塁弾で記録したのは、中日の日本人選手では1950年の杉下茂以来、実に71年ぶりの歴史的快挙。大阪桐蔭時代、3年時の甲子園大会春夏連覇を含む3度の全国制覇を果たし、入団3年目。素質は開花の時を迎えた。

 根尾の生まれ持った「星」が、強く輝きを放った。3回1死満塁、大貫の142キロ直球系を強振。白球は右中間席に向け、完璧な放物線を描いた。「やったーって感じでした」。本塁で先に生還した3人から祝福を受け笑顔がはじけた。

 空白の1週間を浮上のきっかけにした。4月20日からの横浜、神宮遠征で出場はわずか1試合。伊東ヘッドが与田監督に直訴し、打撃フォームを見直す時間に充てた。速い球に差し込まれる傾向を修正するため、ポイントを前に出し、引っ張る練習を反復。栗原打撃コーチは「ファウルでいい。極端に前でヘッドを利かしてみたらどうだと」と言う。監督、ヘッドは首脳陣として、栗原コーチは選手として09年WBCを経験。当時、イチロー氏が行っていた練習からも着想した。そして根尾は27日の阪神戦から21打数7安打。打撃フォームの安定が会心の一発につながった。

 本拠地で打点を挙げた試合は5戦5勝。チームを4位に浮上させた。4月下旬、3月31日巨人戦でプロ初適時打を記録してゲットしたドアラのぬいぐるみとクッキーを母の日に母・実喜子さんに渡した。お立ち台では「両親にありがとうと伝えたい」と感謝した。

 18年ドラフト、4球団競合で引き当てた指揮官も105打席目の本塁打を「見事だった」と称えた。初本塁打を満塁弾で記録したのは杉下茂以来71年ぶり。「打って回っている時に、もっと打ちたいなと思っていました」。歴史的一発は長く続いていくプロ野球人生の一歩目に過ぎない。(桜井 克也)

 ○…根尾(中)が3回、大貫からプロ初本塁打の満塁弾。プロ初および来日初本塁打が満塁弾は昨季のスパンジェンバーグ(西)以来87人目。中日では70年バビーの来日1号以来51年ぶり4人目。日本人選手では38年白木一二、50年杉下茂(投手)に続く71年ぶりとなった。

 ▼父・浩さん 自宅で妻と一緒にテレビ中継を見ていました。打たせてもらったというか、本当に皆さんのおかげです。成人式でも1軍でレギュラーを獲りたいと言っていましたし、思うところはあるのかなと思って見ていました。プロでの生活も始まったばかりなので、とにかくケガなくやっていってほしいと思います。

 ▼母・実喜子さん 何よりコロナで大変な中、仕事として野球をさせてもらい、バンテリンドームで打てて親としてはありがたいです。本人の頑張りもあるとは思いますが、先輩選手達が塁に出ていただいたおかげだと思います。

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