悪用厳禁!名曲からアイディアを生む裏技教えます 〜メロディの作り方講座 by 和田昌哉 vol.7

メロディの作り方講座 by 和田昌哉

 この連載では、BTSからEXILE、CHEMISTRY、May.Jといったアーティストの楽曲に携わった経験を持つシンガーであり作詞/作曲/編曲家の和田昌哉が、メロディ作りに役立つ知識を一問一答形式で分かりやすくお伝えします。

【Q】 メロディが全く浮かびません。どうすればいいですか?

【A】名曲を参考に“その続きを作る”つもりで書いてみましょう。

【解説】

 メロディが浮かばなくて困っているとき、僕がよくやる方法は「既存曲や名曲を聴きながら、その続きを作る気持ちで書く」ことです。このアイディアはデイヴィッド・フォスターのアプローチから学びました。彼がインタビューで「好きな曲の続きを自分で作ってみるのはどう?」とアドバイスしていたんです。実践してみたら、いつもとは違う制作意欲が湧いてきて驚くほど新しいアイディアが出てきたんです。

 例えばホイットニー・ヒューストンの名曲 「I Will Always Love You」 を参考にして、「その曲のパート2を作る」と想像してみてください。どんなコード進行で、どんなメロディの始まり方をするのか、どんな展開が来たら面白いか、そんなことをイメージするだけで自然とインスピレーションが湧いてきませんか?

 アップテンポな曲の場合は、リズムやテンポの流れも参考にする(取り入れる)ことでイメージを明確にすると、さらに新しいアイディアが浮かびやすくなるでしょう。

 参考曲に引っ張られすぎるときは、普段あまり聴かない音楽ジャンルや、耳慣れない曲をあえてリファレンスにするのがおすすめ。初めて聴いた曲から受けた新鮮なインスピレーションが、オリジナリティあるメロディの種になることもあります。自分がワクワクする気持ちを大切にして、そのエネルギーを曲に反映させてみましょう。

【補足コメント】

 似てしまうのは「悪いこと」ではないんです。ポップミュージックの歴史を振り返ると、「全く新しいメロディ」はそう多くありません。どこかで聴いたことがある、懐かしいと感じるフレーズが多いのも事実。実際、僕たちが「いいメロディだな」と感じる瞬間には、過去に聴いた音楽の影響が必ず含まれています。

 だから既存曲に少し似てしまったとしても、それは自分の音楽体験やインスピレーションがしっかり機能している証拠。むしろ「それをどう自分の色に染めるか」がメロディ作りの醍醐味とも言えるでしょう。

講師:和田昌哉

【PROFILE】Instagram & X:@masayawada

作詞作曲からアレンジ/ボーカル/プロデュース/レコーディング/ミキシングまで自ら手掛ける音楽的センスと深い知識を持ち、“創る才能”と“表現する才能”を併せ持つ稀有なボーカリスト。ソロアーティストとしてAvex Rhythmzoneからアルバム3枚、シングル3枚をリリース。また、XChange、Fixional Cities、Groove Nomad Orchestraのヴォーカルとしても活動している。ソロデビュー前から数多くの作品に作詞/作曲/ボーカル・プロデューサーとして関わり、R&Bをルーツにしたその音楽性は、普遍的なポップスとして幅広い層に受け入れられている。EXILE TRIBE(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS/GENERATIONS/THE RAMPAGE/FANTASTICSなど)やNissy(西島隆弘)への楽曲提供を行うほか、ボーカル・ディレクターとしても活躍。CHEMISTRYのデビュー時やMay J.「Let It Go 〜ありのままで〜」、BTSをはじめとする韓流アーティストの作品にも多く携わっている。

 

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