真っ二つに割れた殺生石=5日午後5時40分、那須町湯本

真っ二つに割れた殺生石=5日午後5時40分、那須町湯本

真っ二つに割れた殺生石=5日午後5時40分、那須町湯本 真っ二つに割れた殺生石=5日午後5時40分、那須町湯本

 「九尾の狐(きつね)伝説」で知られる栃木県那須町湯本の国指定名勝「殺生石」が真っ二つに割れたことが5日、分かった。関係者によると数年前からひびが入っていたことが確認されており、自然に割れたとみられる。

 町観光商工課は、観光客が投稿したツイッターの情報などから、割れたのはここ数日ではないかとみている。岩は真ん中付近から割れており、周囲を囲んでいたしめ縄も切れていた。

 町は今後、国、県とともに対応を協議する予定で、同課の阿久津正樹(あくつまさき)課長は「自然現象の可能性が高いので致し方ない。可能であれば元の形に近い状態に戻すことが理想ではないか」と話す。町観光協会の阿久津千陽(あくつちあき)会長(51)は「夕方に知らせを受けて驚いた。こういう形で話題になるとは」と困惑した様子だった。

 殺生石は、那須湯本温泉近くの那須岳の斜面にある巨大な溶岩。1957年に県史跡、2014年に国の名勝に登録された。室町時代の文献などによると、九尾の狐が美しい女性に化けて鳥羽上皇を殺そうとしたところを陰陽師(おんみょうじ)に見破られ、那須まで逃げた末に退治され石になった。石が放つ毒気で多くの生き物が命を落としたため「殺生石」と名付けられたという。