島根県川本町内の旧JR三江線に2カ所残る「目の字形ラーメン橋」が、土木学会(東京都)の2024年度選奨土木遺産に認定された。ほかに確認された例のない極めて珍しい形をした橋で、建築当時の土木技術を伝える貴重な構造物だと評価された。県内では7件目の認定となった。
認定されたのは、長さ16・8メートル、高さ14・7メートルの「志谷川橋梁」(川本町因原)と、長さ22・7メートル、高さ13・65メートルの「日向川橋梁」(同町川本)。鉄道省米子建設事務所が設計し、1934年の石見川越-石見川本駅間の開通に合わせて建設された。
横から見ると、漢字の「目」のような形をした構造が特徴。強度を保ちつつ、コンクリートの使用量を減らし、工期の短縮を図る工夫を凝らした設計という。
同町川本の石見川本駅構内で9日、認定式があり、土木学会中国支部の西山哲支部長が、橋を保有するJR西日本米子土木技術センターの宮崎大輔所長に認定書と銘板を贈った。宮崎所長は「先人の努力、知恵を見習いたい」と語った。
野坂一弥町長は「認定を町内外に発信し、橋の価値を広く知ってもらいたい」と話した。
同学会は歴史的な土木構造物を顕彰するため、2000年度に認定を始めた。これまでに531件を認定している。
(佐伯学)