NHKの朝ドラ「おむすび」で、主人公と結婚する男性はプロ野球選手を目指していたが、肩を壊してその夢を諦める。野球に限らず、プロスポーツ選手は体が資本。仮にプロになれたとしても、けがに泣くこともある。サッカー選手なら現役で頑張れるのは40歳くらいまでだろう◆サガン鳥栖のJ1昇格に貢献した豊田陽平選手(39)が引退を表明した。鳥栖を去って3年余り。栃木と金沢のクラブでプレーしていた。余力はあっても、伸び盛りの若い世代にいずれは道を譲らなければならない。定年制があるわけではなく、自分で区切りをつける職業はつらい。しかも、プロスポーツ選手の場合は引退してからが長い◆第2の人生をどう歩むか。豊田選手は新たな夢にサガン鳥栖の「J1再昇格」を選んでくれたようだ。クラブスタッフへの就任が発表された。お帰りなさい◆冒頭の「おむすび」で肩を壊した男性はサラリーマン人生を歩み始める。回り道をしても、どんなに時間がかかっても夢にたどりつければ最高だが、そんな人生ばかりではない。それでも、夢は何度でも描き直せるし、仕事は向き合い方次第で喜びを見いだせる◆逆境の中に幸せの芽が隠れていたりする。つながる縁がその芽を育てることもある。夢はその時々で形を変える。かなえる過程が楽しい。みんなで進もう。(義)

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