【インタビュー】タレント&起業家のくりえみ、日本初のバーチャルタレント事務所は「2年後に1000億円企業にしたい!」 | RBB TODAY
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【インタビュー】タレント&起業家のくりえみ、日本初のバーチャルタレント事務所は「2年後に1000億円企業にしたい!」

IT・デジタル その他
くりえみ【撮影:小宮山あきの】
  • くりえみ【撮影:小宮山あきの】
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 タレントやモデルとして活動しながら起業家としての顔を持つ、くりえみ。美容医療やAGAケアの事業を行う企業の設立や売却を経て、2023年9月に最先端のジェネレーティブAIテクノロジーを研究開発する企業「AIHUB(エーアイハブ)」のCMOに就任。

 同年12月には日本初のバーチャルヒューマン芸能事務所「pinyokio(ぴにょきお)」を設立するなど起業家として活躍。今回はそんな彼女にインタビューを行い、AIビジネスの現状や今後の展望、ビジネス引の秘訣などを探った。

【撮影:小宮山あきの】


――今取り組んでいる事業について教えてください。

バーチャルヒューマンと呼ばれる領域のAIを手掛けています。思考もAIで生成して自走できるタレントを生み出して、その子がCMやテレビに出演したり活動できる状態にしていく、いわば芸能事務所のタレントと同じような状態をバーチャルで作り出しています。実例で言うと、TOKYO MXのCMに私の会社のバーチャルヒューマンのタレントが出演していたり、私自身のバーチャルヒューマンを作って日々発信したり……。マネタイズ面では今現時点では受注制作が多いです。例えば保険会社や法人企業が実装しているチャットボットをより人間らしくし、バーチャルヒューマンを使ってお客さんに対して寄り添えるようなシステムの制作などのご提案を受ける、などがあります。

――企業の問い合わせページでチャットボットが使われていますが、より人間らしく見えるバーチャルヒューマンが出てくるということでしょうか?

そうですね。今いろんな企業が問い合わせの受付けをチャットボットで行ったりしていますが、そこをバーチャルヒューマンが対応してくれるようにしたり、今は電話で人対人で対応しているところをAIが対応するみたいなところも開発しています。長期的な目標としては、そこから人気のある子が生まれてくるのもいいと思っています。ほかにも、インバウンド向けの話もきていますので、AIと日本の文化を組み合わせながら海外に発信していくことも考えたりしています。

――バーチャルヒューマンはアバターみたいなものと考えて良いですか?

Vtuberであればアバターっぽさがあったと思いますが、バーチャルヒューマンはビジュアル的にもより人間らしくなっています。ですがビジュアルの精度が高ければイコール人気になるかというと、そこは比例しないと思ってます。ユーザーの需要と歩幅を合わせながら調整していく必要あるかなという段階です。

【撮影:小宮山あきの】


――伊藤園のCMでは生成AIで作成したモデルが出演して話題になりましたが、あのようなCMモデルとバーチャルヒューマンは同じものでしょうか?

同じくくりですね。どちらもバーチャルヒューマンですが、そこにより人間味を持たせて、中身のストーリーを入れ込んで作れるかというところだと思っています。今アイドルを応援している人たちは、最高級のビジュアルやクオリティを求めているのではなく、その子たちが頑張ってデビューするまでに必死に練習したり、そういう背景を見ているのです。突然パッと完璧なものを出されても、で?っていう感じになってしまうんですよね。伊藤園さんのCMは新しいテクノロジーを使いました、ということで話題になったので、あれはあれで正解だと思うのですが、これからはよりストーリーを作っていって、人から共感や感動をどう得られるかを考えなければいけないフェーズが来ると思っています。

――「AIHUB」は今おっしゃった事業と関係があるのでしょうか。

「AIHUB」は私がやっているバーチャルヒューマン芸能事務所「Pinyokio」の親会社の位置付けになります。「Pinyokio」はAIを使ってどれだけエンタメ事業に落とし込めるかという事業をやっているのに対して、「AIHUB」はそのバーチャルヒューマンを作るにあたって1番大事な脳の部分を開発しています。例えばVtuberの場合はビジュアルの裏側に本物の人間がいてアイコンが動いているのですが、バーチャルヒューマンは後ろに人間がいない状態で、AIを使ってたくさんの学習データをもとに架空の人を作り上げてアイコンにしゃべらせているんです。「AIHUB」ではLLMという大規模言語モデルを使って、そのAIの真髄にあたる脳のエンジンの部分を作っています。

【撮影:小宮山あきの】


――AIはいろんなデータを学習してどんどん成長していきますが、バーチャルタレントの場合は何をもとに成長していくのですか。いろんな人のデータを学習していくのでしょうか。

学習といってもものすごく幅が広くて、著作権的な問題で言うと、例えば広瀬すずさんや石原さとみさんのような実在のタレントを学習させるのは、今は著作権違反に当たるのでできません。学習という面では、例えばチャットGPTであっても日進月歩で3ヵ月後にはまたバージョンアップして新しいものができているので、その精度の学習、新しくテクノロジーが進化していることに対しての学習はどんどんさせることができます。つまり最初に私の画像を1000枚読み込ませて、私の学習データを作るとします。でも、その時に行った学習と1年後に行った学習では同じ写真や動画データを使って学習させていても、チャットGPTだったり、さらに付け加えるものの読み込み方の精度が上がっていればもっと精度が上がっていくんです。

――どこまで突き詰めたいですか?

今はバーチャルヒューマンや生成AIは比較的目新しいものとして捉えられている段階なので、興味本位で「今後どうなりますか?」と聞かれることが多いのですが、どうなるというよりも当たり前になり過ぎてしまって会話にすら出て来ないくらいの未来が来ると思っています。使わない方が無理という未来がやってきますし、そういう意味でリテラシーが高ければ高いほど、より生産性の高い会社作りや企業の組織作りができてくると思います。個人間でも使っていった方がいいとは思いながらも、どうやって使えばいいの?という感じで知ろうとしない人たちが多いので、知ろうとする人たちがどんどん上手く生きていける未来になって、そこで大きな差ができてくるのではないかと思います。投資分野でも新NISAなど今話題のものがいろいろありますが、調べてやる人とやらない人がいるように、早い段階から調べて、ある程度自分なりのリテラシーを高く持ってやっている人の方が苦労しないですし、その差なのかなと思います。

【撮影:小宮山あきの】


――先ほどインバウンドの話が出ましたが、バーチャルヒューマンを具体的にはどのようなシーンで使いたいですか。

例えば、最近実現化出来たらいいなと思っているのが日本独自のキャラクターを使いながら空港を案内したり、地方のゆるキャラをバーチャルシネマ化・アプリ化することです。多言語でその県のおすすめを案内できるようにしたりというアイディアも出ていて、国もそういう新しいテクノロジーに融資してくれる姿勢は示してくれているのかなと個人的には感じれています。融資を受けながらやるという事も現実的になってきているとは思っております。

――くりえみさんのSNSを見ていると海外によく行かれていますが、ビジネスで出かけているのですか。

海外ではWeb3のカンファレンスは常に開催されているので、そういうところで出資を募ることは随時しています。今日本は国力が低下しているので、日本人が海外に行けなくなってきているんですよね。先日行ったドバイやアテネは信じられないくらいの物価高で、円安もしばらく回復しそうもないですし、ドルで稼いだ方がいいなと思っていて。そもそも日本はマーケットが小さくて、スタートアップ企業がAIの分野で融資を募ろうと思っても数十億が限界ですが、アメリカのシリコンバレーに行けばスタートアップで一千億の融資を受けられることも実例としてあったりするので、海外のベンチャーキャピタルにうけるようなビジネスモデル、そして魅せ方にシフトした方が融資を受けられる金額も大きくなりますし、会社の規模的にも短期で大きくしやすいかなと思っています。

――日本のAI技術は海外と比べてどうなのでしょうか。

中国などではバーチャルヒューマンがすでに広がっていて、駅員さんがバーチャルヒューマンで説明してくれたりと進んではいます。日本はキャラクターコンテンツがすごく強いのですが、それを活用できていません。AIという広い領域の中で自分に勝ち筋があるもの、かつ海外向けと考えたときに他の会社より優位性があるのはAIを使ったキャラクターなのかなと思っています。

――くりえみさんのビジネスモデルは、ビジネスを起こして、ある程度軌道に乗せたら、それを売却するというものですか?

私は本質的に飽き性なので、これまでも事業を作っては売っているのですが、今のAI事業に関してはかなり気合を入れてやっていますし、今の分野の会社だからこそ大企業が融資してくれるフェーズに入っているので、ここからまだ成長する見込みがあるからこそ、このチャンスは逃せないと思っています。いつかは売却も考えてはいますが、今は国内外からの融資も受けながら、「pinyokio」を1000億ぐらいまでの規模にもっていきたいと思っています。

――売上げがたたないと、事業売却できないですよね

そうですね。ただ、私の事業においてはいかにイノベーションを起せるかというのが大事なんです。自分自身がわくわくしながらその事業に取り組めるかというのは常に考えます。目先のキャッシュでけを考えていると面白いことってできないじゃないですか?ある程度のリスクをとって大きな開発をするっていうことも必要ですし、それにお金をかせぐだけなら投資だけでいいじゃないですか?事業やる意味っていうのは、世の中ために何ができるかってところがありますよね。

――ビジネスを引きつける秘訣は何ですか。

私は1ヵ月に1日か2日ぐらいは 1人でひたすら考え続ける時間をる作ようにしています。今自分がやっているこの選択や方向が本当に合っているのかどうか、チームの座組みが本当に正しいかなど考えると、これを達成するためには今こういうパズルが足りないというのが見えてきます。今はSNSで全く知らない人と連絡を取ることができる時代なので、SNSで教えてくださいとメッセージを送ったり、必要なパズルはすぐに手に入れることを心掛けています。

【撮影:小宮山あきの】


――AIに関わるビジネスで難しい点やピンチになったことはありますか。

親会社の「AIHUB」は大規模言語モデルを使った脳の部分の開発を行っているので、事業の土台はものすごく安定しているのですが、「pinyokio」はエンターテイメントなのでユーザーがいて初めて成り立つんです。自分たちがどれだけ新しいテクノロジーで面白いエンタメを作っても、それを見てくれる人がいなかったらゴミと同じ、そう考えるとテクノロジーが進化すればいいというわけでもないです。逆に言うと、アナログのものに対して価値を抱く人たちもまだたくさんいるからこそ、どんなふうに1番最先端のテクノロジーをユーザーに受け入れてもらえるように作っていくかというのは日頃から議題に上がっています。

――くりえみさんのようにビジネスに目覚めるアイドルの方は少ないと思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか。

アイドル時代はどん底でした。月5万円で生きていて、休みも考える暇もなく、ただ目の前のライブをこなす日々だったので。結局はその時に応援してくださった方が今でも応援してくれているのでプラスに捉えていますが、人の決定権の元で生きるというのは、こんなに支配された状態なんだと当時に思ったので、全てはその反骨精神からスタートしました。

――今後のビジョンを教えてください。

「pinyokio」は2年である程度のところまで持っていきたいです。あと2年で、ある程度のプロジェクトを出したり、融資を受けてバリエーションを大きくしたり。エンタメコンテンツなので上場を視野に入れると規制が入ったり、やりづらくなる面もあるので上場はしない方がいいのかなと思いながらも、会社を1000億以上の規模にはしたいです。そして今人生かけて動いてくれているメンバーのみんなに恩返しがしたいです。それで1回落ち着くかな。それが終わったら、子どもが欲しいので落ち着いてから家族のことに目を向けていきたいです。

――20年後は何をしていますか?

ビジネスをしていると思います。ほかに趣味もなくて、海外に行っても仕事をしていますし、もう仕事が楽しくて仕方がないので、子育てしながらビジネスしていると思います。
《小宮山あきの》

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