【6/22 更新】GeForce RTX 3070 Tiベンチマーク記事を追加いたしました。
GeForce RTX 3070 Tiは、GeForce RTX 30シリーズの新たなるアッパーミドルレンジ向けモデルとして2021年6月10日の22時に販売が開始されました。
今回はこの GeForce RTX 3070 Ti について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。
GeForce RTX 3070 Ti の特徴
GeForce RTX 3070 Tiは、NVIDIAの最新デスクトップ用グラフィックスカードモデルGeForce RTX 30シリーズのミドルレンジ向けの最上位モデルとして2021年6月10日22時より販売開始されました。
GeForce RTX 30シリーズは第2世代RTXアーキテクチャを採用し、第1世代RTXアーキテクチャを採用したGeForce RTX 20シリーズと比べてCUDAコア数が倍増し、最大で2倍のリアルタイム レイ トレーシング性能を持つ第2世代RTコア、最大で2倍のディープラーニング性能を持つ第3世代Tensorコアを統合するなど、大幅なアーキテクチャ強化により、最新の人気ゲームを高パフォーマンスで、かつ超高解像度映像で楽しめるグラフィックスカードです。
GeForce RTX 3070 Tiの主な特徴としては、
・第2世代RTXアーキテクチャとなる8nmプロセスのAmpereアーキテクチャを採用しました。また、GeForce RTX 20シリーズは第1世代RTXアーキテクチャと呼ばれるようになりました
・GeForce RTX 3070 Tiは、最大で22TFlopsの演算能力を持つCUDAコア、最大で42TFlopsの演算能力を持つ第2世代RTコア、最大で174TFlopsの演算能力を持つ第3世代Tensorコアを搭載しました
・上位のハイエンドモデルと同じGDDR6X メモリを搭載しました
・PCI Express Gen4に対応しました
・H.265を上回る圧縮効率を誇るAV1(AOMedia Video 1)コーデックにハードウェアで対応し、8K映像のエンコード、デコード処理が可能です
・8K HDR映像が出力可能なHDMI 2.1やDisplayPort 1.4aと、DSC 1.2aに対応しています
・NVIDIA REFLEX、DLSS 2.0、RTX IO等の新たなテクノロジーに対応しました
また、GeForce RTX 3070 Ti は標準でResizable BARに対応しており、Resizable BARに対応するマザーボードとグラフィックスドライバの組み合わせでパフォーマンスの向上を期待することができます。Resizable BARはAMD RadeonとRyzenの組み合わせによるSmart Access Memoryと同等の機能となり、CPUからグラフィックスカードのメモリへ直接アクセスできるようになる機能です。
さらに仮想通貨のマイニング対策として、LHR (ライト ハッシュ レート)とよばれる制限が標準で施されているモデルとなるようです。
GeForce RTX 3070 Ti スペック情報
GeForce RTX 3070 Tiは、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 3070の間を埋める新たなるアッパーミドルレンジ向けモデルとなります。NVIDIAによると 『前シリーズのGeForce RTX 2070 SUPER の最大1.5倍のパフォーマンスを誇る』 とされており、CUDAコア数はGeForce RTX 2070 SUPER の2倍以上搭載されています。一方でパフォーマンスが向上した分消費電力も大きくなっており、GeForce RTX 2070 SUPERより100Wも出力の大きい電源が推奨されていますので、GeForce RTX 20シリーズから交換する場合には電源容量にも注意する必要が有ります。
GeForce RTX 3080 |
GeForce RTX 3070 Ti |
GeForce RTX 3070 |
GeForce RTX 2080 Ti |
GeForce RTX 2080 SUPER |
GeForce RTX 2070 SUPER |
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アーキテクチャ | Ampere | Turing | ||||
GPUコア | GA102 | GA104 | TU102 | TU104 | ||
製造プロセス | 8nm | 12nm | ||||
CUDAコア | 8704基 | 6144基 | 5888基 | 4352基 | 3072基 | 2560基 |
RTコア | 第2世代 68基 |
第2世代 48基 |
第2世代 46基 |
第1世代 68基 |
第1世代 48基 |
第1世代 40基 |
Tensorコア | 第3世代 272基 |
第3世代 192基 |
第3世代 184基 |
第2世代 544基 |
第2世代 384基 |
第2世代 320基 |
定格クロック | 1.44GHz | 1.58GHz | 1.50GHz | 1.35GHz | 1.65GHz | 1.61GHz |
ブーストクロック | 1.71GHz | 1.77GHz | 1.73GHz | 1.55GHz | 1.82GHz | 1.77GHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6 | ||||
メモリ容量 | 10GB | 8GB | 11GB | 8GB | ||
メモリ転送レート | 19Gbps | 14Gbps | 15.5Gbps | 14Gbps | ||
メモリバス幅 | 320bit | 256bit | 352bit | 256bit | ||
メモリバス帯域幅 | 760GB/s | 608GB/s | 448GB/s | 616GB/s | 496GB/s | 448GB/s |
PCI Express | 4.0 x16 | 3.0 x16 | ||||
G-SYNC | ○ | |||||
TDP | 320W | 290W | 220W | 250W | 215W | |
補助電源 | 8Pin×2 | 8Pin | 8Pin×2 | 8Pin + 6Pin | ||
推奨電源 | 750W | 650W |
※メーカーによる事前情報です。実際の製品では変更になる場合があります。
GeForce RTX 3070 Tiは、GeForce RTX 3070で無効化されていた部分が有効化された、GA104コアのいわゆるフルスペック版となります。また、GDDR6Xメモリを搭載したことでメモリバス帯域幅が大幅に強化されていることが分かります。NVIDIAによると『GeForce RTX 2070 SUPERに比べ1.5倍のゲーミング性能』と謳われている性能が実際にどれほどの物なのか、確認したいと思います。
比較対象としては、同じアッパーミドルレンジモデルとなるGeForce RTX 3070と上位モデルであるGeForce RTX 3080を、GeForce RTX 20 シリーズからはGeForce RTX 2070 SUPER とGeForce RTX 2080 SUPER、GeForce RTX 2080 Tiを用意しました。テスト解像度はWQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。
なお、過去のデータと比較のためResizable BARについては無効としてベンチマークテストを行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています
GeForce RTX 3070 Ti ベンチマーク情報
3D Mark 「Fire Strike」
まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。
GeForce RTX 3070 TiのスコアはGeForce RTX 3070を8%ほど上回りました。GeForce RTX 3080に対してはおおよそ85%のスコアとなっています。
GeForce RTX 2070 SUPERに対しては50%前後スコアが上回っており、NVIDIAの公言通りの性能を示しています。
3D Mark 「Time Spy」
次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。
Time SpyもFire Strikeと同じ傾向となっており、GeForce RTX 3070 TiのスコアがGeForce RTX 3070を10%近く上回り、GeForce RTX 3080に対してはおおよそ83%のスコアとなっています。
GeForce RTX 2070 SUPERに対しては50%前後スコアが上回っており、Time SpyでもNVIDIAの公言通りの性能を示しています。
3D Mark 「Port Royal」
続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3D Mark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。
Port Royalにおいても、GeForce RTX 3070 TiのスコアはGeForce RTX 3070を10%近く上回りました。GeForce RTX 3080に対しては少し差が広がっており、おおよそ78%のスコアとなっています。また、GeForce RTX 3070がGeForce RTX 2080 Tiに僅かながら上回られているのに対し、GeForce RTX 3070 TiはGeForce RTX 2080 Tiに逆転されることなく、7%ほど上回っています。
GeForce RTX 2070 SUPERに対してはおおよそ50%スコアが上回っており、Port RoyalにおいてもNVIDIAの公言通りの性能を示しています。
ではリアルタイムレイトレーシングにDLSSを有効にするとどうなるのかを続けてみていきます。
3D Mark 「NVIDIA DLSS feature test」
「NVIDIA DLSS feature test」は、レイトレーシング性能を見る「Port Royal」を活用したベンチマークテストで、GeForce RTX 30シリーズやGeForce RTX 20シリーズが搭載するTensorコアを用いたDLSS(Deep Learning Super Sampling)の性能を見ることが出来、結果はフレームレートで表示されます。今回はテスト解像度にWQHDと4Kを、DLSSモードはPerformanceとQualityを選択しています。なお、DLSSが有効ではない場合の結果はOFF として計測されます。
NVIDIA DLSS feature test においても、GeForce RTX 3070 TiはGeForce RTX 3070を7%ほど上回りました。GeForce RTX 3080に対しては、おおよそ83%のスコアとなっていて、Port Royalよりは差が縮まっています。
GeForce RTX 3070 Ti は、WQHD解像度であればQuality モードでも60fpsを優に上回っています。DLSSを使用できるのであれば、WQHD解像度でのレイトレーシングゲーミングを快適に楽しむことが出来そうです。
3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」
3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。なお、Sample count 数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。
今までの3D Markとは趣の異なる結果となりました。GeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 3070の差は約4%に縮まり、逆にGeForce RTX 3080に対しては差が大きく広がりおおよそ70%のスコアとなっています。
一方、GeForce RTX 3070 TiはGeForce RTX 2070 SUPERに対して90%近くスコアが向上するなど、画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということから、第2世代RTコアを搭載するGeForce RTX 30シリーズの強さが明確に表れています。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はWQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。
3D MarkのFire StrikeやTime Spyと似た傾向となり、GeForce RTX 3070 TiのスコアはGeForce RTX 3070を8%以上上回りました。GeForce RTX 3080に対しては、おおよそ86%のスコアとなっています。また、GeForce RTX 2070 SUPERに対しては40%以上のスコア向上となっており、少しながら3D Markよりもスコア差が縮まっています。
とは言えGeForce RTX 3070 Tiが4K解像度で「快適」な動作の指標(6000~8999)をクリアしており、「やや快適」な動作の指標(4500~5999)に留まっているGeForce RTX 3070やGeForce RTX 2080 Ti を一歩突き放しています。GeForce RTX 3070 Tiなら4K解像度でも快適にプレイすることが出来そうです。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ
最後に、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ においては、全体的にWQHD解像度よりも4K解像度の方で差が広がっていました。GeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 3070を比べると、WQHD解像度では6%ほどのスコア差なのに対し4K解像度では13%ほどのスコア差となっています。同様にGeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 2070 SUPERを比べると、WQHD解像度では30%ほどのスコア差なのに対し4K解像度では50%以上のスコア差となっています。GeForce RTX 3070 TiがGDDR6Xを採用したことによるメモリバス帯域幅の拡大が功を奏しているのかもしれません。
ミドルレンジ向けモデルでも快適な4Kゲーミングが視界に入ってきたGeForce RTX 3070 Ti
GeForce RTX 3070 Tiは、同じGeForce RTX 30シリーズのアッパーミドルレンジモデルであるGeForce RTX 3070の性能を上回っており、ほとんどのベンチマークにおいて10%程度のスコア向上が確認できました。また、ハイエンドモデルであるGeForce RTX 3080 に対してはおおよそ8割程度、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズに限れば9割近い性能となるなど、ハイエンドモデルとミドルレンジモデルの落差を近づけたグラフィックスカードと言えそうです。
前シリーズのGeForce RTX 2070 SUPERに対しては、NVIDIAの公言通りおおよそ50%スコアが向上しており、特にレイトレーシングを使用した「DirectX Raytracing feature test」においては90%という圧倒的な性能差を見せつけました。GeForce RTX 2070 SUPERに力不足を感じているのであれば、載せ替え候補として検討してはどうでしょうか。
GeForce RTX 3070 Tiの販売価格は現在のところ10万円前後とミドルレンジ向けモデルとしてはやや高価なグラフィクスカードとなっていますが、前世代のハイエンドであるGeForce RTX 2080 Ti以上の性能は示すため、WQHD解像度だけでなく4K解像度でのゲーミングも検討しているユーザーには有力な選択肢となるでしょう。
CPU | Core i9-10900K (3.7-5.3GHz/10コア・20スレッド/キャッシュ20MB/TDP125W) |
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マザーボード | ASUS Prime Z490-A (Z490チップセット) |
メインメモリ | DDR4-3200 16GB (8GB x2) |
グラフィックス カード |
MSI製 GeForce RTX 3080 (10GB GDDR6X) ※OCモデル(ブースト:1740MHz) |
ZOTAC製 GeForce RTX 3070 Ti (8GB GDDR6X) | |
MSI製 GeForce RTX 3070 (8GB GDDR6) ※OCモデル(ブースト:1755MHz) | |
GALAX製 GeForce RTX 2080 Ti (11GB GDDR6) | |
GALAX製 GeForce RTX 2080 SUPER (8GB GDDR6) | |
GALAX製 GeForce RTX 2070 SUPER (8GB GDDR6) | |
ストレージ | WDS250G2X0C (WD Black NVMe 250GB) |
電源 | Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W) |
OS | Windows 10 Home 64bit (バージョン:20H2) |
ドライバ | GeForce Game Ready Driver 466.77 |
※ベンチマークの値はお使いのハードウェア、ソフトウェアの環境により変動し、同様の構成下でも当ページ掲載の数値と大きく異なる場合があります。予めご了承ください。
Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。