沖縄県民のソウルフード、沖縄そば。県内では今、沖縄そばのヌーヴェルヴァーグ(新たな波)ともいえる新店ラッシュが巻き起こっている。有名ラーメン店で修業を積んだ店主が出すあくまでオーソドックスな沖縄そば、マンゴー農家が作るフルーティーな三枚肉そば、セレクトショップを併設した店で提供する母から受け継いだそば、ウミンチュの街にできた多種の具材がのったそば…。10月17日は沖縄そばの日。豪快に麺をすすり、だしの利いたアチコーコーなスープに浸ってみよう。(デジタル編集部・大門雅子)

 

 大の沖縄そば好きとして人気番組「マツコの知らない世界」に出演経験があるさんぺい(本名・山城晋平)さんによると、今年は10月11日時点で開店、または沖縄そばをメインに提供を始めた店舗は沖縄本島内で34店。例年の2倍のペースだという。さんぺいさんの講評と写真で、特徴的な4店を紹介する。

「一風堂」「渡なべ」で修業 厚みのあるスープ

ソーキそばに味玉をトッピング
ソーキそばに味玉をトッピング

SOBADAY

 店名はずばり「OKINAWASOBA DAY」=「沖縄そばの日」。名前からもう、沖縄そばへの熱い思いが伝わってきます。

SOBA DAYの外観
SOBA DAYの外観

 店主の森根正太さんは「一風堂」「渡なべ」など本土の有名ラーメン店での修業を経て、今年8月に沖縄そば屋をオープンさせました。沖縄出身で、「いつかは沖縄そばをやりたかった」と言います。

 ラーメンの技術を生かし、豚骨など動物系の濃厚で厚みのあるスープや、具材の焼豚などが特徴です。

味の染みたソーキは食べ応えがあり、味玉もおいしい
味の染みたソーキは食べ応えがあり、味玉もおいしい

 一方で、あくまでも伝統にこだわり、そこから逸脱しない沖縄そばになっています。沖縄そばの伝統的な薬味である紅しょうがを、今風に無添加で自作するなど細部に工夫も。

 沖縄そばのマインドはそのままに、新たな技術でブラッシュアップしていく次世代を担う存在に期待です。

白を基調とした店内
白を基調とした店内

【お店情報】
住所:那覇市大道173豊平ビル1B
営業時間 11:00~15:00
定休日:日曜
インスタグラム:@okinawa_soba_day

マンゴー農園ならでは そばの後はスイーツ

豚、鶏、カツオ、昆布などでだしを取っているそう。とがったところがなく、すごく穏やかな味わい
豚、鶏、カツオ、昆布などでだしを取っているそう。とがったところがなく、すごく穏やかな味わい

てぃーち

 豊見城市翁長に、今年7月オープンした「てぃーち」。すでに行列ができる話題の店となっています。

てぃーちの外観
てぃーちの外観

 特徴は、マンゴー農園が経営する沖縄そばとカフェのお店であること。三枚肉をマンゴーで煮込んで軟らかくしたり、マンゴーをふんだんに使ったスイーツがそろっていたり、マンゴー農園にしかできない沖縄そば作りを行っています。

セットのチーズケーキはマンゴーのソースがかかっていて爽やかな甘みが絶品
セットのチーズケーキはマンゴーのソースがかかっていて爽やかな甘みが絶品

 ただし、いわゆる変わりダネの沖縄そばではなく、味はあくまでシンプルに直球勝負。豚、鶏、カツオ、昆布などでだしを取ったスープは控えめで上品なおいしさ、照喜名麺との相性も良く、最後まで飲み干したくなるおいしさです。マンゴーソースと合わせたチーズケーキも絶品。

 既存の枠組みに収まらず沖縄そばの可能性を広げてくれるようなお店です。

大きな庭園があり、この景色も魅力の一つ
大きな庭園があり、この景色も魅力の一つ

【お店情報】
住所:豊見城市翁長664-2
営業時間:10:30~15:00ラストオーダー
定休日:月・木曜 営業時間と定休日は変更の予定。詳しくはインスタグラムで
インスタグラム:@teech_cafe

母から継いだ伝統の味と斬新なアイデア

ノマクロの外観
ノマクロの外観

ノマクロ

 個性的な店名は、お子さんの名前とクローゼットを組み合わせた造語なんだそう。今年7月オープンのお店です。

全部のせのノマクロそば
全部のせのノマクロそば

 将来の夢は、大好きな沖縄そばを生かした小料理屋さんだったという店主さん。アパレルでの経験を生かし、沖縄そばとセレクトショップ、好きなものを詰め込んだお店を造りました。インテリア、BGM,器、そして沖縄そばの味一つ一つに店主の思いが行き届いています。

沖縄そばには全て、副菜が付いていてお得
沖縄そばには全て、副菜が付いていてお得

 沖縄そばは、動物系のだしが効いたコクのあるスープが特徴。塩味は抑えられていて優しい印象です。具材のゆし豆腐から、てびち、副菜まで、どれも丁寧に作られていることが分かる繊細な味。

 母から引き継いだという伝統の味を生かしながら、今までにないようなアイデアや工夫が詰まった一杯。一度行ったらきっとファンになってしまう、そんなお店です。

洋服を中心にセレクトショップを併設した店内は洗練された造りになっている
洋服を中心にセレクトショップを併設した店内は洗練された造りになっている

【お店情報】
住所:西原町翁長562-6
営業時間:11:00~17:00(ランチは15時まで)土曜11:00~15:00/16:00~22:00
定休日:木・日曜
インスタグラム:@_nomacloset_

揚げたての天ぷらとそば 大満足

豚、カツオ、昆布などで取っただしが利いている。カイワレ大根、桜エビ、かつお節もいいアクセントになっている
豚、カツオ、昆布などで取っただしが利いている。カイワレ大根、桜エビ、かつお節もいいアクセントになっている

町小(まちぐゎぁ)

 糸満出身の同級生同士が10年前大阪で再会し、いつかお店をやろうねと話していた、その夢が今年8月に実現しました。

町小の外観
町小の外観

 場所は二人の地元糸満。コンパクトなお店ですが、長年和食で培ってきた確かな技術に裏打ちされた沖縄そばがいただけます。

 豚、カツオ、昆布などでだしを取ったスープは深みがあってどんどん引き込まれていく魅力があります。具材に、沖縄そばでは珍しいカイワレ大根、桜エビ、かつお節などが入っていて、最後まで飽きさせない工夫が随所に。

沖縄そばと炊き込みご飯のセット
沖縄そばと炊き込みご飯のセット

 揚げたての天ぷらが食べられるのも特徴で、イカ、魚、エビなどが気軽に1個90円からというのもうれしい。

 沖縄そばと天ぷらという貴重な組み合わせで満足感が高く、今年の新店の中でも特にお薦めの一つです。

カラッと揚がった天ぷらはぜひ食べてほしい
カラッと揚がった天ぷらはぜひ食べてほしい

【お店情報】
住所:糸満市糸満2277-6
営業時間:11:00〜18:00ごろ(沖縄そばは15:00までの提供)
定休日:不定休
インスタグラム:@itoman_machigwa