今季限りでセレッソ大阪を退団する元日本代表MF清武弘嗣(35)が、運命のいたずらに驚いた。

来季J2大分トリニータへ16年ぶりの完全移籍による復帰が決まった清武は23日、C大阪サポーターとお別れセレモニーに臨んだ。その同じ日、ヴィッセル神戸のMF山口蛍(34)がJ2V・ファーレン長崎への完全移籍が発表された。

1学年違いの2人は、C大阪で長年チームメートであり、同じ14年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の日本代表に選ばれた。

17年度にC大阪に初タイトル(ルヴァン杯、天皇杯)をもたらせたのも2人。のちに山口が神戸、清武が今季途中までC大阪で直接対戦もした。試合後にユニホーム交換するほどの盟友であり、親友だった。

契約満了でC大阪から大分に移る清武と、神戸に慰留されながら長崎に行く山口のプロセスこそ違うが、元日本代表の大物MF2人が同時にJ1からJ2に舞台を移すのは、あまりにも運命的だ。

取材に応じた清武は「(山口の長崎移籍が)一番、びっくりでしょうね」と、真っ先に感想を口にした。

「蛍とはずっと連絡をとっていたので、蛍の気持ちもすごく分かるし、でも蛍が決めたこと。蛍も僕の決断(大分移籍)を尊重してくれているし、僕も蛍の決断というのは、相当な覚悟がいる決断だと思う」

さらに、神戸で主将を担っていた山口の立場を強調した清武は「J1で2連覇の主将がJ2に行くというのは相当、異例だと思う。相当な覚悟がいるし、相当な決断はいる。簡単に決めることはできなかったとは思う」と、友の苦しい胸の内を思いやった。

ただ、今年5月の神戸-C大阪(ノエスタ)で、2人は気合十分で直接対戦したように、「僕個人としては、また一緒にピッチで戦えるのは幸せなことだし、蛍とユニホーム交換できるのは、むちゃくちゃうれしい」。

2人が来季、J2で最初に対戦する可能性があるのは、5月17日か18日の第16節。大分のホームに長崎を迎え撃つ、熱すぎる九州ダービーになる。【横田和幸】