【金子真仁の世界】年の瀬に…西海岸からアメリカ横断ウルトラドライブ/連載〈27〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・3%を踏破済みです。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。今回は第27回。少年時代からの夢を、まだ若いうちにかなえたくなりました。「アメリカ横断ウルトラドライブ」の始まりです。まずは西海岸へ―。

MLB

■LAXを起点に

ANA機が雲間を抜けると、眼下にはすでに滑走路が。雲が低いロサンゼルスに着陸した。

アメリカに来た―。

少年時代からあんなにもアメリカ大陸に憧れたのに一度も縁がなくて、それが43歳の1年間だけで仕事を含め3度目。

人生は本当に一気に変わるものだ。

野球漬けだった小学生の頃、テレビで見た「アメリカ横断ウルトラクイズ」から全てが始まった。

クイズ問題は難しすぎるけれど、見たこともない景色と旅のスケールに魅了された。罰ゲームでアラスカ鉄道の線路脇に敗者が置き去りにされていた。なぜかそこに「死」を感じた。

アメリカ以上に「アメリカ横断」の概念に夢を抱いた。

夢のまま終わると思った。

40代半ばでチャンスがやって来た。夢は自分でつかむもの。

「みんな、ニューヨークへ行きたいか~!?」

絶対に行きたい。

ロサンゼルス空港近くで1泊し、翌朝にレンタカーを借りる。

「あの列から1台選んでくれ」

自由の国を感じる。候補は約20台。白黒じゃない目立つ色がいいけれど、赤だと防犯の問題もあるから紺にした。

「右側通行、右側通行…」とつぶやいてウルトラドライブへの出発だ。まず海岸線へ。市街地を走る。なかなか怖い。なんとか最初の目的地に着いた。

■第1チェックポイント=サンタモニカ

ウルトラドライブの出発地は迷わずここに決めた。ルート66(R66)のゴールにあたる。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。