大相撲の元関脇で東十両13枚目の碧山(38=春日野)が26日、東京・両国国技館で引退会見を行った。
鳴戸親方(元大関琴欧洲)に続くブルガリア出身力士として、2009年(平21)名古屋場所で初土俵を踏んだ。11年九州場所で新入幕を果たし、12年秋場所で新三役に昇進。最高位は関脇だった。
約15年の現役生活を「生きてきた38年の中で一番楽しい人生でした。力士になれて本当に良かったです」と振り返った。両膝に慢性的な痛みを抱えていたが「ケガでやめるわけではない。力もどんどん落ちてきて、自分の元々の稽古もできなくなった。教えていただいた相撲を取ることができなくなった」と明かした。
思い出の一番には、2012年(平24)名古屋場所での、「ブルガリアの先輩」と慕う琴欧洲との一番を挙げた。「夢だった大関と相撲が取れて、すごくうれしかった」としつつ、寄り倒しで敗れた内容は「緊張して覚えていない」と苦笑いした。
春日野部屋は、1935年(昭10)夏場所から89年間絶えず十両以上の関取が在籍してきた。その名門で唯一の関取で「ずっと一生懸命やらないと。絶対勝たないといけない気持ちでやってきた」と明かした。秋場所は5勝10敗で13年ぶりの幕下転落が確実となった。継続が危ぶまれたが、弟弟子で東幕下筆頭の栃大海が、4勝3敗で勝ち越し。来場所の十両再昇進を確実とした。長く続いた伝統の継続を見届け、引退を決断した。
兄のように慕っていた元前頭木村山が7月に亡くなり、故人から年寄「岩友」を継承。今後は春日野部屋付きとして後進を指導する。断髪式の予定は決まっていない。