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意外と多い40~50代の妊娠中絶 閉経したとの誤解も原因か

 シルバー世代にとっての性行為は、甘美なものであると同時に、充実した「生」をもたらしてくれるものだ。しかし、ちょっとした注意を怠ると、甘美な世界は一転、辛苦の世界となる。

 たとえば、中高年同士の恋愛では、「避妊に気を使わなくていい」ところが、気軽で性感も高まるという人が多い。

 しかし、安易に考えて痛い目をみたというのは、53歳にして初めて不倫を経験したと語るA氏だ。相手は高校の同級生だった既婚女性。W不倫だった。

「ネットのSNSで繋がったことから、“久しぶりに会おう”となった。関係を持ったのは、その日のうちのことでした。彼女は、旦那とは5年以上もご無沙汰だったといいます。その後数回、人目を忍んでシティホテルなどで会いました。彼女が“もう大丈夫だから”というので避妊はしませんでした。わずらわしさもなく、彼女をより近くに感じられて感慨深いものがありました」

 2人の関係はその後も続いたが、そのツケを払うときがきた。

「久しぶりの再会から3か月が経った頃、彼女が“デキたかもしれない”というんです。閉経していなかったんです」

 日本人の閉経の平均年齢は50歳前後といわれる。だが、実際は個人差が大きく、50代後半まで生理がくる人もいるという。

「彼女には孫もいるんです。さすがに生むという選択肢はなく中絶することになりました。自分たちの家から遠く離れた街の産婦人科を選びました。心苦しさを必死に隠して家族に“旅行に行く”と嘘をついて家を出ました。もちろん手術費用はすべて私持ち。堕胎した後、彼女は精神的なダメージが大きかったようで、すっかり落ち込んでしまいました。たまにメールをしていますが、もう会える状況ではありません」

 意外なことに、熟年カップルの妊娠中絶は少なくない。2011年の厚生労働省の報告によれば、人工妊娠中絶件数は10~30代では近年大幅な減少傾向にあるのに対し、40~50代はそれほど減少していない。それはA氏カップルがそうだったように、年齢的に「もう大丈夫だろう」という思い込みが原因だと考えられている。

※週刊ポスト2013年5月24日号

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