“血まみれ”のトヨタ車 カムリ技術者も過労死、海外出張に土日出勤重ね
トヨタカムリ・ハイブリッド。トヨタのドル箱市場、北米で発売。中国やオーストラリアでの生産も予定されている。 |
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- 娘が死亡した父を発見
- 開発責任者の負担
- 土日出勤 頻繁な海外出張
- 亡くなる直前にかかえていたトラブル
- 直前2か月は月90時間の時間外労働
娘が死亡した父を発見
2006年1月2日朝の10時。起きてこない父親の様子を見に長女(当時12歳)が部屋に行くと、トヨタ自動車製品企画室に勤務するAさん(当時45歳)は、蒲団の中で亡くなっていた。虚血性心疾患だった。
死亡時刻は、1月2日午前1時ごろ。つまり新しい年が始まった元旦の夜、床に就いて間もなく亡くなっていたことになる。働き盛りのAさんに何が起きたのだろうか。
大学の工学部を卒業したAさんは、1982年4月、トヨタ自動車に入社した。配属先は、静岡県裾野市にある東富士研究所だった。ここで電気自動車などの開発に従事し、その後、1991年に本社(愛知県豊田市)の製品企画室に転勤になっている。2002年ごろに新型カムリHV(ハイブリッド)開発プロジェクトに携わる。04年11月には、開発プロジェクトの責任者に任命された。亡くなった前日の06年1月1日付では、新型カムリ・ハイブリッド車のチーフエンジニアという経歴の持ち主である。
入社当時から電気自動車やハイブリットカーなどの最先端技術の開発、商品として送り出すまでの重要な仕事を担っていたという。Aさんが亡くなる直前は、「カムリ」のハイブリッド化の開発責任者として多忙を極めていた。
「カムリ」は、アメリカにおいて、過去9年間で3回、売れ行きナンバーワンになった実績があり期待がもたれていた。カムリの新車にハイブリッドを搭載する開発を行っていたのである。妻の代理人、梅村浩司(こうじ)弁護士は、「カムリは北米でトヨタのドル箱でした。ハイブリッド搭載の新型カムリの開発は、トヨタ自動車の屋台骨を支えるプロジェクトであり、それをAさんは命をかけてやっていたのです」と話す。
ハイブリッド車のカムリは、コンパクトで環境も考慮した車として、アメリカ市場での伸びが期待され、トヨタの「期待の星」だった。その開発の全責任を負っていたのがAさんだったのである。
Aさんの過労死に対するトヨタ自動車の渡辺捷昭社長からの感謝状。「生前のご功績をたたえ…」 |
開発責任者の負担
製品企画のチーフエンジニアの仕事とはどのようなものだったのか。夫の上司から聞いた話として、妻が陳述書に次のように書いている。
「たとえて言えば、小さな企業の社長のような立場にあるとのことでした。多様な車のパーツ、さまざまな部門、組織、チーム(エネルギーの問題、原価の検討、デザイン、バランスなど)を統括する仕事でした。
しかも、それぞれの課題に期限が設定されていました。常に3~4歩先を考える必要がありました。さらには米国という外国への受け入れられ方、マスコミへの対応など技術的問題以外にも、さまざまな問題への対処も迫られていました。多様な問題をかかえ毎日、毎日考える必要がある仕事でした」
つまり、ハイブリット「カムリ」開発に関して、単に技術面のみならず、すべてにおいて唯一の責任者であるという重い役割を担っていたということだ。遺族代理人の梅村弁護士の話で補足しよう。
「他に補佐するような責任者はおらず
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Aさんの妻が名古屋地裁に提出した証拠保全申し立ての際の陳述書。労災申請するにあたり、会社にある資料などの証拠保全を申請した。
厚生労働省が示す過重労働の判断材料。Aさんの場合、長時間労働のみならず精神的疲労も過労死の原因と認められた。
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読者コメント
トヨタの工場で働いたことありますが、昭和の匂いがします。『頭ごなしに恫喝すれば言うこと聞くし、人は成長する!』
が会社の理念のようです。昭和から平成に時代が変わり、そんな考えの会社も減っているのに・・
時代の流れに鈍感で、柔軟性が無いのか?『No1だから俺たちは正しい!』と、カイゼンする気が無いのだろう
こんな理不尽、横暴、人権無視する会社は他に無い!
トヨタみたいな自己資本金より有利子負債の多い会社なんてお金の管理ができてないんだから従業員も守れないで管理できないのあたりまえなんで愛知県人とか大学まで出たトヨタの従業員とかわからないのか疑問年々有利子負債が増えているどうしよもなくお金の管理というあたりまえのこともできない
って言うか、カッコ悪いよな。驚きなのは、日本人の多くの人たちが「トヨタ」って会社を好きってことだよね。確かに車作りはそこそこで、面白くないけど品質的には満足な物を作るよね。労働状況については、大きい会社って言うのは大体こんな物でしょ。仕事なんて探せばたくさんあるし、車の開発なんて大きなプロジェクトでは仕事が終わることが無いのでしょう。資本主義の限界を感じるような気がします。
ほんと日本人は弱いよなぁ。
だから自殺も多いんだろうね。
酷だけど、自分の体は自分にしかわからんので、体調管理ぐらい自分ですべき。
そこまで辛いのなら、辛いと訴えて休むのが当然。死んだら元も子も無い。
それでクビになるのなら、その程度の会社だったというわけだし。
紺色のを間近で見た時はカッコ悪いと感じたのですが、停車している白のカムリを見掛けるとそつなくうまく外装をまとめてありました。中々カッコ良かったです。
グリルがグレードによって変わるのはトヨタお得意の商法ですね(記事写真のメッキグリルは高級グレードのみ)。
そうすれば、トヨタの従業員さん方も多少は楽になるでしょうし、トヨタ車の車造りの見直しにも繋がります。一石三鳥ですよ。
モデルチェンジ期間を4年から5年に延ばせば、余裕や味わい深さがもっと出てくるのではないでしょうか。厳しい意見を羅列しましたが、Aさんの事件を糧にして会社が反省することだけが唯一の餞になるものと思います。ご冥福をお祈り申し上げます。
トヨタ車の品質の良さには素晴らしいものがありますが、日産やマツダ、富士重工辺りの方が実は深みのある車造りをしている気がしないでもない部分が少なからずあります。
マツダの社長さんが、日本人は偏ったブランド志向に囚われすぎだ、マツダ車はもっと売れても良い、等とスピーチをされておりましたが、全くおっしゃる通り。他車にも試乗してみれば、イメージもきっと変わるでしょう。
Aさんみたいに、会社の為と働いてるのに、デンソーの課長格は、会社の物品を私物化。死ぬくらい働いてみれば?やはりトヨタAさん凄い??DN新社長これでいいの??
精神的疲労とか、死に至るまで、誰も認めない。これ、イジメ。トヨタグループのデンソーも酷い。会社側は、偽造の報告ばかり!作っているものが食品じゃないから、イイけど。
抜け目のない国民が積極的に正しく政治に関与し、その数が増えて時代の流れとなった時に政治や社会は変わるはずだとも思います。
政治は政党だけでなく、党首や会派、後援団体によっても変わります。
また、その実態は表向きしか報道されません。
よって、民度の高くない国民に正しい判断を求めるのは無理でしょう。
総選挙ですが、労働者の砦となってくれるような党にみなさん投票しましょう。資本主義は百害あって一利なし。共産党の政策が最も良心的だと私は思います。
皆で一生懸命に働いて近代的都市国家が完成した暁には、政府は借金の為にその支配権を中央銀行の株主らに譲り渡さずにはおれない財務状況に。民間も同様にその返済義務を負い、財産を実質徴収される羽目に。
次の情報を知れば、考え過ぎだと笑ってはおれないはず?です。
古き良き日本は、中小企業でも日本を支えていると実感出来る良さというのが確かに存在していたんでしょうね。それは、給与とかそういう報酬とはまた違う形でだったのかもしれませんが。
殺伐とした現代に至っては、もはや微塵も残っていませんね。
ヒュンダイのジェネシスなんかを見ると、韓国車の出来が相当上がってきているようなので、日本車メーカーが焦るのは当然ですけどね。
トヨタ車は、基本がしっかりとしていて価格競争力もありますが、他社に真似の出来ない技術力やプラスαの贅沢さがある訳ではない。
今後の技術革新でもリードして頂きたいと言いたい処ではありますが、その前に労働環境の改善が必要ですね。
いくら利益があってもトヨタのような会社には居たくないなあ
>>coffeeさん
中小企業で仕事した事がないコメンテイターが「中小企業が日本を支えている」
なんて言っているけど、
中小企業の待遇ってまともな社会生活を送っても自己破産するレベルだもんな。耐えられんわ。
そんな待遇で日本を支える責任なんて負いたくない。
辛いならとっとと辞めて他の会社に転職すればいいのに。トヨタのエリート社員なら普通に可能だと思います。仕事人間になるとこういう手痛い最期が待っているというわかりやすい話ですね。
工作員が貶めて情報操作をしようと躍起になってくる気配。
社会不安は、煽られて表れるものではなく、そこにあることを感じるからつのるもの。
飼い犬の食い物にはなりたくないね。
人は自分の状況を改善するよりも、周りの状況を悪化させることに喜びを感じるという調査がありましたけど、どうもそのようですね下の方では。
過労死認定が最近あったな。中小零細なんていちいちニュースにならないくらいバタバタ死んでるのだろう。どこも同じだなあ。
やはり資本主義が破綻を来しているということの証左です。今こそ共産主義を見直し、選挙では共産党に投票しましょう。
トヨタ!亡くなってから
感謝状とは。
コスト削減に協力してくれてありがとうってか?
うーんなかなか業が深い。大人じゃん。
定期的に出没する残業自慢、こんどは250時間ですか。小売業なら国保かな。年間の保険料を教えて下さい。たぶんウソ八百なので応えられないとは思いますが。本日、ウナギの偽装屋社長が自ら命を絶ちました。人を追い込みながら悪役に徹しきれない小心者が人の上に立つ時代です。過労死社員や名ばかり管理職に指図していた人間には、せめて極悪に徹してほしいと、屈折した期待をしたくなります。
こういう方は、家での仕事時間が実質残業時間を上回るのですよ。安直に残業90時間と考えない方が良い。仕事が出来れば出来るほどどんどん仕事が回ってくる。責任感が強いから全部こなそうとしてしまう。外資の過労は自己責任だが、日系は周りがそうさせている。
↓のような「この程度の残業なんて甘い。俺なんかうんぬん」みたいな人が企業にとって非常に都合のいい人で、日本のサラリーマンの大部分がそうだから、労働時間がいっこうに短縮されないんだろうなあ。海外で働いてみると「日本て異常?」と思ってしまいますよ。四十カ国以上で仕事してきた先輩社員に聞いても、日本人みたいに長時間働くのは韓国人ぐらいといっていました。
月90時間程度の残業で大騒ぎするのもね。。。自分は小売業ですが月250時間の残業を強いられていますが、生きてますよ。車業界はまだマシですね。
トヨタ社員の過労死について、トヨタさんの広報はどんなコメント出しているの、知りたいね!
前の内野さんについてもね
そういう連中が政治と結びつきメディアと結びつくから、精神的に骨抜きにされ無気力に洗脳される。昨今のマーケティングやネット商売は如何に無気力にモノを分かり易く買わせるか?というような仕組みになってると考えざるを得ません。
富の独占は一夫一妻制のもとでは少子化を招かざるを得ないし、長期的な視野で見ると国力の低下は否めません。
誰もが、「自分だけ」という勝ち抜けの論理で動くのでしょうね。
搾取してボロ儲けしている連中も中にはいるはずです。
例えば、米国ではここ10年間の儲けの伸びのほぼ100%をわずか1%の人間が独占している状態だとか。
その仕組みや手法を理解して、いい加減に目を覚ますべき時期に来ているのかもしれません。
資本主義が悪い。欠陥的問題点を改善すべき。
私は、大学卒業後、大企業の体制に違和感を抱き、中小企業へと就職をしましたが、昨今の市場の中ではますます厳しさを増しています。
家族的な組織の中で、いわゆる社会通念は存在しないものとして、労基法という概念もなく、賞与・社会保険も打ち切られている現状です。
上を向いても地獄、下を向いても地獄という世の中なのでしょう。
ハイブリッド車に乗っていると賢く見えるとか言いますが、仕事の足として使うだとか、かなりの距離を乗らない限りは、購入者には金銭的なメリットはなく、新味とは言えどもその非力さに我慢を強いられます。結局得をするのは自動車メーカーという仕組みですね。
ガソリン代を浮かせた分、エコや環境を理由にメーカーの売上が伸びます。CO2の排出量は生産時も考えれば、変わらないか逆に多い位だそうな。
実物を正面から間近でよく見ると、デザインのバランスが取れておらず、カッコ悪い。ニヤケ目風で出っ張ったヘッドライトに違和感を感じます。
というのも不完全体の証。モラルや倫理観に欠けている。
業績の急拡大に組織の人員や体制が追い付いていないのでしょう。
奥田元会長が海外展開を半ば強引にリードしたそうですが、経理屋出身だけに開発や生産現場の実情をあまりご存知なかったのかもしれませんね。そこが大企業は怖い所。相当に不完全です。
9時から5時での開発ではまともな製品は出来ません.これくらい会社に缶詰になって初めて開発者となるのでしょう.
「まわりは使えない奴だらけ。俺がいないと、このプロジェクトは回らない。」なんて考えていたら、企業にいいようにこき使われて死んじゃいますよ。
悲しいけど、今の日本企業の99%は「人命より利益」なんじゃないですか。
「会社のため」という姿勢はいまや美徳ではなく、地獄へ通じる一本道のようですね。実に悲しいことですが、自分の命を守るためにはいざとなったら会社と戦う、または逃げるという選択肢を考えなければならない時代なんですね。
ぶっちゃけ、大企業であればあるほど「人材の代え」はききます。トヨタで何人過労死が出ようがトヨタは存在し続けます。
過労死や過労自殺の記事を読んでいつも思うのは、企業は真面目・勤勉・忍耐といった日本人の美徳ともいうべき心情につけ込むだけつけ込むんだなということ。過労死するのはみんな責任感があり、真面目な尊敬すべき人ばかり。
そんな人を日本の企業は利用するだけ利用して、使い捨てていくんですね。
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