オープンハウス新卒1年目社員が夏休み最終日に自殺しました ⑤――「コッカラっす!しか言えなくなる」宗教的な組織運営…『行こうぜ1兆』→『なろうぜ1流』
年間800人規模の採用(新卒・中途)を続けるオープンハウス。その裏で、約400人が辞めていく。 |
健康だった若手社員が年に1人ペースで死亡するほどの激務で知られるオープンハウス。正確には、2022年8月までの3年1か月の間に入社3年未満の新卒社員が少なくとも3人、亡くなった。『行こうぜ1兆2023』をM&Aで無理やり達成したものの、買収した2社をのぞけば2024年9月期でもまだ売上1兆円に達しておらず、成長も踊り場に。「日々の掛け声は、2023年の冬から『なろうぜ一流』になりました。自分たちが二流以下であることを、自認してるんです」――。自殺した新入社員タカシさんの逃げ場のない労働環境、「年800人採用して約400人が辞めていく」異様に高い離職率の実態など、「二流以下」の職場実態について、元同僚らの証言をベースに詳報する。
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- 異様に低い入社のハードル
- 資格は入社後も「自動車免許」と「宅建」のみでOK
- 「半年以内に7~8割辞める」営業現場
- 『聞き耳ちゃん』アプリ企業に顧問送り込む
- 「迷っている情弱に買わせる」〝吸客力〟が強み
- 行こうぜ1兆→プレサンスと三栄建築を買収も、本体まだ1兆届かず
- 『つぶそう三井』『狂人走不狂人走!』『なろうぜ一流』
異様に低い入社のハードル
オープンハウスは、業績拡大にともなう増員と離職者補充のため、第二新卒・中途採用向けに、転職エージェントを集めて説明会を開いてきた。コロナ禍前に参加した1人によると、とにかく頭数重視で、採用のハードルは低く、20代ならほぼOK。面接は2回だけ、期間は1~2週間で内定。
エージェントへの成功報酬は、1人を入社させるごとに70万円と高くはないが、2人内定で90万円×2人に単価が上がる。インセンティブをつけて数を揃えたいことがわかる。会社に魅力があって自然と社員が集まってくる、というわけではなく、こうして「かき集められている」のが実態である。
コロナ禍前の募集条件(エージェント向け) |
「高卒OK、業界経験不要、営業未経験でも可だから、どうしても紹介料は高くならない。
エージェントからすると、候補者を見つけるのが簡単だから楽でいいけど、あまりおいしくはない、という会社です。以前は、居酒屋の店長を紹介しても採用されたほど。
転職回数も特別制限はない。唯一の縛りは、同業他社だと30代でも可だけど、オープンハウスは20代じゃないとダメ」(エージェントの1人)
時期を示さす「新卒60%」と公式サイトで開示 |
同社が開示している「社員の新卒中途のバランス」データによると、営業全体で、6:4で新卒が多い(いつ時点のデータか時期を示していない)。中途も20代限定なので、とにかく20代の採用にこだわっている。30歳まで他社で働き、世間一般の常識が身についていると、オープンハウスの特殊な組織運営に〝改宗〟するのが難しいため、と考えられる。
「中途といっても、第二新卒的な、20代の不動産業界未経験者ばかりを中心に採用していました。元の業界は、バーテンダー、消防士、自衛隊など、あまり頭を使わない系の体育会カルチャーを持つ職業が多かったです。
これは、不動産業界の経験者だと、オープンハウスの給料が、実はたいして高くないことがバレるのと、20代の給与相場が安い他業界から採用したほうが、給料が上がってモチベーション高く働かせることができるから、だと思います」(亡くなったタカシさんの元同僚、以下同)
資格は入社後も「自動車免許」と「宅建」のみでOK
不動産業の未経験者が多いのは、やはりこれも、競合他社での常識を持ち込まれては、オープンハウス方式に染め上げるのが難しい、という事情もあるだろう。なかでも、どういうタイプが多いのか。
「わかりやすくいうと、『偏差値がない人』『とにかくお金を稼ぎたい人』が集まって来ている会社でした。必要な資格も、
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「スキルや知識は、全く必要ありません」(募集要項)
新卒採用の離職率=約500人新卒採用しても3年後に約4割は辞める
中途入社後、3年以内の離職率が約3割(時期不明)と公式サイトで開示するが、いつ時点の情報か示しておらず、検証不能。実に胡散臭い。
「離職率が低い」とアピール。不動産業界全体がブラックで離職率が高い割には、(3年で4割辞めるけど)低いほうだ、と言いたい模様。
「令和の時代に昭和の香り漂う朝礼」と情報番組で紹介される
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