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第216回国会における加藤財務大臣の財政演説(令和6年12月9日)


令和6年12月9日



先に閣議決定いたしました「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受けて、今般、令和六年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。

(はじめに)

日本経済は、三十三年ぶりの高水準の賃上げ、名目百兆円超の設備投資、名目六百兆円超のGDPを実現するなど、前向きな動きが見られます。この好循環を後戻りさせることなく、デフレ脱却を確かなものとし、新たな経済ステージへの移行を実現していく必要があります。

こうした認識の下、十一月二十二日に、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定いたしました。

総合経済対策は、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現、そして、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとすることを目指すためのものです。

具体的には、第一に、全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす「日本経済・地方経済の成長」、第二に、誰一人取り残されない形で、成長型経済への移行に道筋をつける「物価高の克服」、第三に、成長型経済への移行の礎を築くための「国民の安心・安全の確保」に取り組んでまいります。

その上で、今後の経済財政運営に当たっては、経済あっての財政との考え方の下、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。

(令和六年度補正予算の大要)

次に、総合経済対策の実行等のために今国会に提出いたしました令和六年度補正予算の大要について申し述べます。

一般会計におきましては、歳出において総額で約十三兆九千四百億円を計上しております。

その内容としては、総合経済対策に基づき、「日本経済・地方経済の成長」のための経費として約五兆七千五百億円、「物価高の克服」のための経費として約三兆三千九百億円、「国民の安心・安全の確保」のための経費として約四兆七千九百億円を計上しております。

このほか、国債整理基金特別会計への繰入として約四千三百億円、地方交付税交付金として約一兆四百億円、その他の経費として約千八百億円を計上するとともに、既定経費を約一兆六千三百億円減額しております。

歳入においては、税収について、最近までの収入実績等を勘案して約三兆八千三百億円の増収を見込んでおります。また、税外収入について、約一兆八千七百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約一兆五千六百億円を計上しております。

以上によってなお不足する歳入について、公債を約六兆六千九百億円発行することとしております。

この結果、令和六年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに約十三兆九千四百億円増加し、約百二十六兆五千二百億円となります。

また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。

財政投融資計画につきましては、総合経済対策を踏まえ、「日本経済・地方経済の成長」、「国民の安心・安全の確保」等の取組を推進するため、約一兆千二百億円を追加しております。

(むすび)

以上、令和六年度補正予算の大要について御説明申し上げました。

我が国の経済は、回復に向けての兆しが見られており、これを確かなものとし成長型経済を実現する好機を迎えております。日本を守り、国民を守り、地方を守り、若者・女性の機会を守り、全ての国民が安心と安全を感じられる未来を創っていくため、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。

何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。