この記事では、このブログを始める以前に制作した作品を、簡単に紹介していきます。
まだこのブログも始まったばかりですから、まずは自己紹介的な意味も込めて、このような記事を書くことにしました。
学生時代から最近に至るまでの作品を時系列順で写真と簡単な説明を添えながら紹介していきます。
過去の作品について
僕が作品制作と呼べるものを開始したのは、大学に入学してからです。と言っても大学1年生の頃から作家活動をしてきたのかというと、そういうわけでもなくて、最初の頃はひたすら大学の練習課題をこなしていました。
そんなわけで、僕自身の歴史を振り返ると言う意味合いも込めて、学生時代からどのような勉強&制作をしてきたのか、ということを紹介していきたいと思います。
学部時代
彫金の基礎作品
僕は東京芸大の工芸科に入学して、2年生になった時に「彫金」という分野を専攻することになりました。
彫金というのは、日本の伝統的な工芸技法の一つで、古くは刀装具などに使用されている技術です。2年生の後半から彫金を習い始めた僕は、毎日毎日、彫金の基礎課題をこなす毎日を過ごしていたというわけです。
美術系大学の学科にはいろいろと種類があって、ある視点で大きく分けると2つに分けることができます。技術が必要な分野と、それがあまり必要ない分野です。油絵科やデザイン科とかは特に技術がなくても作品が作れるのですが、工芸科、日本画科、彫刻科などは技術を習得しないと作品自体を全く作ることが出来ないのです。
だから、僕も早く自分の好きなように作品を作りたいと言う一心で、課題をこなしたり、家でも自分なりに練習したりとかずーっとしていましたよ。
「彫金」と一言で言っても、非常に幅広いです。伝統的な象嵌を技法を使用した金属製の「筥(箱)」を作ったりもしました。
現在において、「彫金作家」と言うとジュエリー(装身具)を作っている人が非常に多いですね。なので、実習でリングやブレスレットなどのジュエリー作品の基礎を学んだりもしました。
とにかく、学部時代の前半はずーっと基礎の練習課題を主にやってきたというわけなのです。
この頃は、他のことにはあまり興味がなくて、平日は朝から夜まで大学で制作をする毎日でした。当時は、とにかく技術を磨いていくということがすごく楽しかったのですよね・・・
卒業制作
美術系大学では卒業のために、論文ではなくて作品を提出するところがほとんどです。僕の通っていた大学にも当然、学部4年生の最後には卒業制作展がありまして。これが僕にとって人生初めての大作でした。
卒業制作として作ったのは「芽花(めか)」というタイトルの作品でした。彫金専攻の学生の卒業制作作品ですから、もちろんすべてが金属で出来ている作品ですよ。
機械のような、植物のような、虫のような、不思議な生き物が徘徊しているという、言ってしまえばちょっとファンタジックな世界観を表現した作品となりました。
大学院時代
生き物系
学部を卒業後は、同じく彫金研究室の大学院に進学しました。
この時から、少し作風が固まってきて、「生き物」をテーマにした作品を多く制作するようになってくるのです。「生き物」と言っても、猫とか犬みたいな動物ではなくて、空想の謎の生き物ですね。
上記の作品たちはほとんど全ての素材を金属で制作しています。しかし、この頃からは、金属以外の素材を積極的に使っていきたいという気持ちも生まれつつありました。
透明な樹脂と金属をハイブリットさせたような作品を作ったこともありました。
けれども、この時代と言うのはいろいろと悩んだ時期でもありました。作品制作で最も大事なのは、「技術」よりも「考え方」だということに気付いたからです。作品の技術的な部分とコンセプトを、うまいこと組み合わせることができなくてずいぶんと悩んだものです。
修了制作
修了制作は「進花思草…」というタイトルの作品を制作しました。
これは、大学に入学してからこれまでの集大成ということで、全てを金属で作った作品です。作るのはすご〜く大変でした。
写真で遠くから見るとわかりにくいですが、近くでよく見てみると非常に細かいテクスチャーとかを彫金技法を使って表現してあったりします。
今思えば、この作品を完成させたという事実が、自分の中での金属系の技術に対する欲求が満たされたような感じでしたね。
芸大の助手時代の作品
大学院卒業後は、そのまま彫金研究室で「教育研究助手」というポジションで働き始めました。
仕事内容は、学生の面倒を見たりとか、授業の準備をしたりとか、その他の事務仕事をしたりとか、意外といろいろあって大変でした。特に1年目は精神的にも時間的にもきつくてあまり作品を作ることが出来ませんでした。
でも、良い所は大学に居場所をもらうことができるということですね。大学の設備を「研究」という名目で使うことができますからね。そんなわけで、勤務日は大学で、休みの日は自宅で、と言う感じでどうにかこうにか制作活動を続けることが出来ました。
金属と異素材を組み合わせた作品
この頃、よく作っていたのは金属とその他の素材を組み合わせて作る作品ですね。金属以外だと木材や樹脂粘土などを使用することが多かったです。
金属という素材は丈夫で、いろいろな造形が可能になるので、そういった意味もあって要所要所で使いつづけていました。一応、彫金研究室の助手という立場もあったので、「彫金技法を多少は使わなくちゃ!」という気持ちもありました。
学生時代とくらべて一つ大きね変化がありました。それは、制作をする時間がとてつもなく減ったということですね。サラリーマンなどのお仕事と比べちゃいけないかもしれないですが、助手として働きながらだと、どうしたって作業をする時間は少なくなってしまうものです。だから、作品制作の効率化だとか、いろいろと工夫してやらないととてもじゃなないけど制作出来ない感じでした。
恵まれている環境ではありましたが、僕にとってはちょっとつらかった時期でもありましたね。
その後の作品
芸大の助手をやめてからの作品です。
実は、いろいろとあって実家のある山梨に帰って生活をするようになったのですが、助手をしていた時代以上に作品制作をする時間がとれない時期が続いてしまいました。展覧会などにも全く参加できない時期が続いて、この時期というのは作家としては空白期間のようなものになってしまったと思っています。
けれども、完全に大学から離れたことで良かったこともありました。
金属を使用しない作品
この時代からは、今までこだわって技術を磨いてきた彫金の技術を全く使用しない作品が増えてきます。もっと自由にいろんな作品を作っていこうと思う気持ちが膨らんできたのですよね。
例えば、樹脂粘土を使った作品ですね。今までは、金属と組み合わせて作品を作ってきたのですが、無理にそれをすることがなくなりました。
今になって思えば、芸大の彫金研究室に所属していたと言う事実は、ある意味僕にとって呪縛のようなものでした。どうしても、技法だとかのようなテクニック的な物に縛られてしまいますからね。
作品についての考え方も、以前よりはおおらかに考えることができるようになり始めたし、結果的には助手をやめてよかったと思います。
ブログに載せるための作品
助手をやめてから起こった大きな変化の一つとして、一昨年に始めたブログという存在があります。このブログではなくて、以前のブログですよ。
そこでは、ブログの中で見る人が楽しめるような作品というものにもチャレンジしてきました。これらの作品と言うのはいわゆる「展覧会」などに出品するには問題があったりするのですけど、ブログという、気軽に書いたりだれでも見たりできるような空間では価値があるものであったと思っております。
http://artnamono.com/waribashi-isu/artnamono.com
こういった表現にチャレンジする気になったというのも、2013年12月から始めたブログの存在が大きいというわけです。
自分自身の訓練にもなりますからね。何か思いついたら、最近始めたばかりのこのブログでも、こういった試みは続けていこうと考えています。
最近の作品
さて、最近作っている作品というと、ここまでとはまたちょっと違う感じの作風となっております。
電子パーツを使った作品
近年、継続して制作しているのは電子パーツをひたすらハンダ付けして立体造形するという方法で作っている作品です。写真を見てもらうとわかるかと思うのですが、作るには非常に根気の必要な作品です。
現在のところ、人体の一部をモチーフにした「iPSパーツ」シリーズと、どこかにいるかもしれない謎の生き物をモチーフにした「EP-TUBE」シリーズの2つがあります。
「iPSパーツ」は量産のできる無機的な工業製品と、簡単に複製することが出来ない人体のパーツ、この2つを対比がテーマとなっている作品です。
「EP-TUBE」シリーズは謎の生き物をモチーフにしている作品です。デジタルの世界に潜んでいるかもしれない存在を具現化して表現した作品です。
これらの作品は、作る過程とかが自分にも合っている気がしていて、けっこう気に入っています。なので、もうちょっと作品を作りためてから、展覧会とかできたらいいなあと思っています。
しばらくは、電子パーツシリーズを集中して制作していく予定です。
まとめ
以上が、このブログ「MIKINOTE」を始める以前の作品のまとめです。
大学に入学して、「彫金」という分野に集中して制作をしていた時代を経て、最近ではもう少し視野を広げた制作をしていきたいという考え方で活動をしております。
彫金の世界は、非常に伝統的かつアカデミックな世界です。そう言った場所で勉強してきたという経験は、少なからず現在の僕の考え方にも影響を与えていることなのです。ある意味で、僕の作品制作の原点的な存在というわけですね。なので、必ずこのブログでも最初の方にも書いておきたいと考えていました。
また、助手をやめてからと言うのは、僕にとって自由になった側面もあります。しかし、その一方で、実はそれ以上につらい時代でもありました。具体的なことは、ここではまだ書けないですが、すごく大変なことがいろいろとあって、自分自身の価値観がまるっきり変わってしまったくらいの変化があったのです。
現在は、フリーで作品を作る活動をメインにやっております。だから、最近になってやっと、いろんな意味で自由に作品を制作していくことができる環境が整ったというわけなのですね。
今後は、新しく作品を作る度にこのブログでも紹介していく予定です。しかし、そのためにはまず自分自身の歴史を振り返る意味でも作品のまとめ的な記事を書くべきだと思っておりました。
そんなわけで、今まで作ってきた作品のまとめ的な記事を書いてました。