受賞者・授賞式Winner / Ceremony
第22回(2023年)
2023年10月27日(金)にANAインターコンチネンタルホテル東京にて、第22回ドコモ・モバイル・サイエンス賞優秀賞授賞式を開催しました。
ドコモ・モバイル・サイエンス賞は、情報通信・移動通信技術の発展と若手研究者の育成を目的とし、優れた研究成果・論文等の業績に対し「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の3部門で受賞者を選出します。
授賞式には、文部科学省 研究振興局長 塩見みづ枝様、NTTドコモ 井伊基之代表取締役社長をはじめ、ご来賓の皆さまにもご出席いただきました。
【お知らせ】
今年度の授賞式後の10月30日に選考委員長の羽鳥光俊氏がご逝去されました。 これまでの長きにわたるご厚情に深い感謝を述べるとともに、謹んで哀悼の意を表します。
優秀賞「つながり」から読み解く社会的・経済的行動のメカニズム
授賞理由
RFIDセンサによって収集された社会ネットワークデータの解析およびそれを説明する理論の構築を行い、統計的に有意な二者関係を抽出する検定法を開発した。
この手法は汎用性が高く、対人関係に限らず動的ネットワークに広く応用可能である。
実例として、親密な取引関係にある銀行群を統計的検定で抽出することに成功した。また、プライバシーに配慮した集計データのみを用いて、人々の接触密度の変化をもたらすメカニズムを同定する手法も開発した。
統計的に有意な二者関係を抽出する試みは過去にもあったが、学校や職場のような常に関係性が変化する実社会の多くの場面では適用が難しかっただけに、動的ネットワークを対象とする本研究の価値・独創性は大きい。
感染症対策やSNS上の偽情報拡散の制御への適用のほか、「つながり」を通じて発現する様々な社会問題に今後広がりを持ちうる。産業・社会への更なる貢献、他の研究への波及効果に期待する。
受賞の言葉
この度は名誉ある賞を頂戴し、誠に光栄です。私のバックグラウンドはマクロ経済学ですが、近年はより実社会との距離が近いネットワーク科学の分野で研究を進めて参りました。
社会経済の様々な「つながり」をネットワークとして捉えることで、既存の経済学では捉えきれない現象の理解が可能になります。
今後も研究成果を社会に還元していく所存です。