iPhone 15シリーズ以降、iPhoneのインターフェースはUSB-Cになりました。Pro / Pro Maxなら理論値で10Gbpsの通信が可能になりました。期待されるのは高速通信で、マグネットで背面に固定できる外付けSSDが流行りそうです。ただ、SSDは1TBクラスでもまだまだ高価、内蔵SSDとケースを用意して自分で作ればリーズナブル、といった感じです。
そこで注目したいのがSDカードです。外付けストレージといえばSSDが定番ですが、SDカードも着々と進化を続けていて、カードの選択を間違えなければ、高速なストレージとして活躍してくれます。
Ankerから登場したMagSafe対応のカードリーダー
今回紹介するのは、Ankerから登場したMagSafe対応のSD/microSDカードリーダーです。
MagSafe対応といっても、MagSafeそのものはワイヤレス充電をサポートするための規格で、データ通信はできません。それでは、何のためにMagSafeに対応したのか、今回のレビューを通して見ていきましょう。
今回は楽天市場のAnker公式ストアで購入しました。
内容物はカードリーダー本体のみのシンプルな構成です。
これが「Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps)」です。コスメとかコンパクトミラーのようなサイズ感のデバイスに、ストラップが付いています(このストラップはUSBケーブルも兼ねています)。
カードリーダーとして使うためのUSB-Cコネクタは、内側に格納されています。
iPhone 16 Pro Maxの背面に貼り付けてみました。マグネットで強力に貼り付くので、カードリーダーだけ持っても、iPhoneは落ちません。
※本製品を使う際には、iPhoneをケース無しで使うか、MagSafe対応ケースを装着した状態で使いましょう。本記事ではmemumiのMagSafe対応ケースを使ってレビューしています。
なお、USB-Cケーブルはギリギリの長さ。iPhone 15 Pro Maxや16 Pro Maxで使う際は、USB-Cを先に挿してから背面に貼り付けてください。背面に貼り付けたあとでケーブルを伸ばしても、長さが足りずコネクタが届きません……。
カードリーダーとして使いつつ、充電もできる
MagGo USB-C カードリーダーを使っている間、USB-Cポートを塞いでしまいます。このままだと充電できませんが、カードリーダーの側面にはUSB PD入力ポートがあります。ここに充電器を挿すことで、カードリーダーを使いつつ、同時に充電できます。
USB PDによる電源入力は最大45Wまで対応、USB-Cからの出力は42.5Wまで出るそうです。iPhoneやiPadだけでなく、MacBook Airでも使えそうです。
カードリーダーはSDカードもmicroSDカードも使える
MagGo USB-C カードリーダーのフタを開けると、SDカードとmicroSDカード用のスロットがあります。スロットが並列に並んでいて、挿しやすいです。
ちなみに、Anker製のUSB-C 2-in-1カードリーダーは、iPhone 15 Pro MaxやiPhone 16 Pro Maxでも使えました。動画撮影用途でなく写真データの読み込みが目的であれば、1,000円台と安いのでオススメです。
SDカードもmicroSDカードも、一度挿して、カチッというまで押し込みます。このままフタを閉めて、iPhone用の常設ストレージとして使えます。
対応するSDカード・microSDカードは、SDXC・microSDXCまで。各カードの容量は最大2TBとなります。また、説明書にはSD 4.0/3.0の記載があるので、UHS-IIまで対応しているようです。
MagGo USB-C カードリーダーはProResでも使える?
MagGo USB-C カードリーダーは、iPhoneの背面に貼り付けておくことで、外付けの動画撮影ストレージとして使えます。容量が足りない場合に使うのもアリですが、やはりiPhoneの超高画質な動画撮影で使うならProRes形式で撮影したいですよね。
ただ、内蔵ストレージでProRes 4K/60fpsの録画をしようとすると、外部ストレージが必要だとアラートが表示されます。通常であれば外付けのSSDなどを使うわけですが、今回はこのMagGo USB-C カードリーダーを使って、ProResの録画を行ってみます。
ProResでは、microSD/SDカードの書き込み速度に注意
さて、ProResで録画するためにMagGo USB-C カードリーダーを使おうとしている方は注意してください。どのSDカードでもいいというわけではありません。下記の表は本製品のマニュアルにあった表です。
ビデオ形式 | 推奨書き込み速度 | 推奨容量 |
---|---|---|
ProRes 4K/60fps | 220MB/s 以上 | 256GB以上 |
ProRes 4K/30fps ProRes 4K/24fps | 150MB/s 以上 | 128GB以上 |
ProRes HD/60fps ProRes HD/30fps | 100MB/s 以上 | 64GB以上 |
高速なSDカードはそれなりに高いですし、信頼度・安定性を求めて有名メーカーの製品を選べばさらに高価な製品になります。素直にSSDを購入した方が安くつくこともあります。ご注意ください。
ProResで撮影すると何が起きるのか?
というわけで、本製品を組み合わせてiPhoneでProRes撮影を行うと何が起きるのか、実際に試してみました。撮影に使用したカードは下記のものです。いずれもマニュアルにあったProRes 4K/60fpsでの撮影にはスペックが足りません。
- SDカード – SUNEAST製 V60 UHS-II対応 最大書込速度150MB/s →Amazonの商品ページ
- microSDカード – SanDisk製 V30 UHS-I 最大書込速度 90MB/s →Amazonの商品ページ
まず、前提条件としてProRes 4K/60fpsでの撮影には外部ストレージが必須です。また、カードのフォーマットはexFATのみです。AFPSでも試しましたが警告が出ました。
本製品を接続した状態でカメラアプリを開くと、画面最下部に「USB-C」の表示が出ました。これで撮影準備は完了です。なんだ、スペック不足のカードでもProRes 4K/60fpsで撮影できるじゃないか、と意気揚々と録画を開始したんですが……録画終了時に「録画書き込みスピード不足」の表示が出て、撮影した内容は記録されず……。
結果、どちらのカードでもProRes 4K/60fpsでの録画は不可でした。ただし、フレームレートを落としてProRes 4K/30fpsであれば録画することができました。V90で超高速なSDカードが必要と思われます。
なお、ProResで撮影するとストレージがみるみる消費されました。ProRes 4K/30fpsですら、30秒でも3-4GB、1分でも7GB超えていました。また、iPhoneもカードリーダーもほっこり熱くなっていたので、かなり負荷がかかっているようです。
iPhoneを使ったProRes撮影についての詳細はAppleのヘルプページを参照してください。
microSDとSDカードの両方ともマウントされる親切設計
本製品はMagSafeで吸着することから、iPhone専用と思われるかもしれませんが、USB-Cポートを使えばMacでも使えます。見た目はトリッキー。なお、SDカードスロットとmicroSDカードスロット両方とも同時に使用できます。macOS上には2枚のカードが見えていて、カード間でのファイルコピーも可能です。
microSDとSDカード両方が使えるカードリーダーは数多ありますが、「同時に使えるのはどちらか1スロットのみ=排他利用」の製品もあったりします。その点では親切設計ですね。
まとめ:新世代カードリーダーは、常設ストレージ扱い
MagGo USB-C カードリーダーは、カードを挿しっぱなしにすることを想定した、ストレージ用途での使い方が向いています。(逆に、たまにSDカードを使うくらいなら、安いカードリーダーでもいいんです。)
MagSafeを活用した新世代カードリーダーは、常設ストレージのように使えます。SDカードやmicroSDカードが余っていれば好都合、本製品を使ってiPhone専用のストレージとして使ってしまいましょう。
また、Amazonのセール時には特定メーカーのSDカードが安くなることが多いので、そういった機会を活かしてリーズナブルなストレージを作り上げるのもアリですね。