熾烈を極めるウェアラブルイヤホンの世界……
ここ数年のワイヤレスイヤホンといえば、完全ワイヤレスイヤホン(左右独立型イヤホン)が人気で、低価格な製品から高級な製品までラインナップが充実し、市場としてはやや飽和状態になりつつあります。そんな中でも最近注目を浴びているカテゴリが「ウェアラブル」です。
ウェアラブルイヤホンを象徴する製品は2つあります、骨伝導イヤホンのShokz製品、それからSONYのLinkBudsです。どちらもこのコロナ禍・テレワーク時代に名を上げたワイヤレスイヤホンで、最大の特徴は「周りの音が聞こえる」こと。Shokz製品やLinkBudsはどちらも、耳の穴を塞がないオープンタイプの製品のため、イヤホンであることを意識させません。
ただし、周囲の音が聞こえる自由さの犠牲になっているのが「音質」です。周りの音の影響を受けながら、高音質な音楽を聴くことは厳しいです。ShokzのOpenRun Proは音がいいと評判(私もそう思います)ですが、それはあくまで骨伝導製品としての話。一般的なオーディオ製品として比較すると超えられない壁があるのも事実です。
そんなウェラブルイヤホンの世界に革命が起きつつあります。「周りの音が聞こえるのに、音がいい」という難しい問題を解決する製品が登場したのです……そんなこと本当に実現できるの……?
Oladance ウェアラブルステレオ をレビュー
今回紹介するのは、Oladance ウェアラブルステレオ(ワイヤレスイヤホン)とOladance充電ケースです。
Oladance ウェアラブルステレオは、Makuakeで1億円以上の資金調達を達成し、一般販売が開始されました。(参考:Makuakeのプロジェクトページ)
Oladance ウェアラブルステレオには、Intersteller Blue(ブルー)、Space Silver(シルバー)、Martian Orange(オレンジ)、Cloud White(ホワイト)と4つのカラーバリエーションが存在します。
今回はIntersteller Blue(ブルー)を紹介します。
Oladance ウェアラブルステレオ ワイヤレスイヤホンのレビュー
まずは、Oladance ウェアラブルステレオのレビューを進めましょう。パッケージのデザインが素敵ですね。この箱自体は薄く、やけに細長いです。
内箱を開けると、ケースと説明書が現れます。Oladanceのケースが細長いため、パッケージも長くなっていたようです。
内容物は、ワイヤーキャリーケース、Oladance ウェアラブルステレオ、USBケーブル、説明書類とシンプルな構成です。
Oladance ウェアラブルステレオは、カプセル状の2つのパーツが連結したようなデザインです。各パーツをつなぐワイヤーは柔軟性があり、耳周りにフィットするようになっています。
ワイヤーキャリーケースは、小さいメガネケースのよう。中央がくぼんでいて、持ちやすく開けやすいデザインに仕上がっています。マットで上質な表面ですが、ちょっと指紋がつきやすいのは気になりました(拭きましょう)。
ワイヤーキャリーケースの前面には充電状況を確認できるLEDがあります。
背面には、充電用のUSB-Cポートがあります。ここまで充電ケースという言い方をしていないのですが、ワイヤーキャリーケースにはバッテリーが搭載されていません。つまり、付属のケースは充電ケースではありません!ただのケースです。
バッテリーが無くなったら困る!と思われる方もいるでしょう。私もそう思いました。でも、Oladance ウェアラブルステレオには1回の充電で最大16時間もつバッテリーが搭載されています。例えば1日2時間使ったとして、1週間以上は余裕でもつ計算です。
ワイヤーキャリーケース内で、Oladance ウェアラブルステレオは並行に配置されています。
ケース内の凹凸は浅く緩やかに作られているので、Oladance ウェアラブルステレオが取り出しやすくなっていました。適当に放り込んでもマグネットで吸着するので、出し入れのストレスがほぼありません。こういった細かな使い勝手に配慮されているのは嬉しいですね。
Oladance ウェアラブルステレオとワイヤーキャリーケースを足した重さは、約85.2g。
完全ワイヤレスイヤホンとしては重めの数字ですが、スリムで薄く長いため、握りやすく、持ち運びしやすいです。完全ワイヤレスイヤホンってコンパクトな製品でも意外と厚みがありますからね。
Oladance ウェアラブルステレオを見ていきましょう。まずは、左右のユニットの重さです。こちらは25.5gありました。完全ワイヤレスイヤホンの重さを知ってる方からすると、重そうに感じるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。むしろ装着しても重さを感じにくかったです。
Oladance ウェアラブルステレオの内側にはシリコン素材が使われていて、快適な装着感を提供してくれます。なお、楕円形のノズル(音の出口)が不思議な位置にありますが、これは耳に効率的に音を届けるために考えられた配置のようです。
このワイヤー部分には形状記憶タイプのチタン合金が採用されているそうで、耳に装着する際にも強すぎず弱すぎず、適度なしなやかさを持っています。表面は光沢加工で美しいんですが、ちょっと指紋がつきやすいかも。
次は、実際に装着してOladance ウェアラブルステレオの付け心地を確認してみましょう。
Oladance ウェアラブルステレオの付け心地は……?
Oladance ウェアラブルステレオは、耳に引っ掛けてひねるだけで装着できます。カナル型のように耳の穴に入れる必要はありません。慣れると一瞬で装着できますね。
耳には密着せず、浮いています。付け慣れないうちは、本当にこのポジションでいいのか、何度か確認してしまいました。
もちろんメガネにも干渉しません。バッテリーユニットが背面に回るので重量バランスがよく、Oladance ウェアラブルステレオを固定してくれます。頭を振っても落ちる気配はありません。
耳の穴を塞がないオープン型ということもあり、Oladance ウェアラブルステレオを装着しても、周りの音はいつも通りに聞こえます。
大口径16.5mmの振動板!Oladance ウェアラブルステレオの音質は……?
デザインや付け心地については言うことなしの完成度です。それでは、肝心の音質はどうでしょうか?iPhone 13 Pro Maxとペアリングしてみます。コーデックはSBC固定です。Apple Musicの音源を聴いてみました。
とりあえず、Adoの「新時代」から再生してみたんですが、最初から度肝を抜かれます。オープン型と思えない音圧、迫力があるんです。耳元でクリアな高音と量感のある低音が響き、解像感の良さだけでなく立体感もあり、音の厚みも感じられます。
とてもイヤホンというイメージではなく、どちらかというとオープンタイプのヘッドホンや、小型のスピーカーに近い印象です。これはかなりすごいのでは……!
改めて製品情報を読むと、ドライバーとして大口径16.5mmの振動板を搭載しているとあります。広がりのある音場と迫力のある音圧を展開できるのにも納得です。
これほどの大口径ドライバーは完全ワイヤレスイヤホンでは実現できません。ドライバーの大きさでいうと、完全ワイヤレスイヤホンはせいぜい12mm程度。JVC HA-XC91Tは12mmですが、重低音を特徴にした製品です。これをゆうに上回る16.5mmの凄さ、わかってもらえるでしょうか……。
もちろん、ただ大口径のドライバーを採用すればいいわけではなく、チューニングまで込みでこの音質を実現しているんですが……。それにしても、ワイヤレスでの音楽の楽しみ方を変えてしまうほどのインパクトがあります。(このレビュー記事を書いている今も、Oladance ウェアラブルステレオで音楽を楽しんでいます)
大胆なデザインのコンパニオンアプリ「Oladance」
すっかり気に入ってしまって、1週間くらい使っていたんですが、そういえばコンパニオンアプリがあるんだったと思い出し、iPhoneにインストールしてみました。
アプリを起動すると、本体ソフトウェアのバージョンアップを促されました。Oladance ウェアラブルステレオを装着したままでも問題ないので、バージョンアップは済ませておきましょう。
アプリのメイン画面は、ほぼイメージ画像という大胆なレイアウトです。潔い。
設定画面では打って変わって、各種機能を細かくカスタマイズできるようになっています。
イコライザーで自分好みの音質に設定できますが、正直なところデフォルトで満足できる音質で、イコライザーを使うほどの不満はありませんでした……。
Oladance ウェアラブルステレオは、本当に音漏れしない?
さて、Oladance ウェアラブルステレオはオープン型なので、外の音がしっかり聞こえます。それはつまり、周りにも音が聞こえてしまう(音漏れ)ということではないでしょうか?そこで、他の方に聞いてもらいました。
まずは、Oladance ウェアラブルステレオで「マツケン・サンバ II」を流します(iPhoneは50%程度の音量)。
静かな部屋で、1人分くらい間を開けて向かい合うと「聞こえない」。隣に座ってみてもらったら「何か鳴っている感じはするが、音楽なのかわからない」。電車に乗って、隣に座ってもらうと「周りの音で何も聞こえない」という感想でした。(なお、電車の中では周りの音がうるさかったので、音楽もいまいち聴こえませんでしたが……)
というわけで、Oladance ウェアラブルステレオはほぼ音漏れしない、という安心感を得ました。もちろん、音量を爆上げするとそれなりに響いていくので、ご利用は適度な音量で。
Oladance ウェアラブルステレオのタッチ操作は感度が高め?
最初に苦戦したのは、タッチ操作です。ロゴのある面がタッチセンサーになっているので、ここをタップすることで、再生(1回タップ)や曲送り(右を2回タップ)等ができます。
それ自体はよくある操作なんですが、Oladance ウェアラブルステレオはこのセンサーの感度が高めで、ちょっと触れただけでも反応してしまいます。ケースから取り出すときや、耳から取り外すときに触れてしまって、再生が始まったりします。
ただ、これは困ったことか?といえばそうでもなく、捉え方によるかなと思いました。
感度が高めなのでしっかり押さなくても反応してくれる、適当に押してもしっかり反応してくれる、そう考えると一気に使いやすくなりました。完全ワイヤレスイヤホンのストレスって操作系にある(なかなか反応しない・押したかどうか分からない)ので、Oladance ウェアラブルステレオのこの作りは正解だと感じました。
超長時間のバッテリーもちを実現する、Oladance 充電ケースをレビュー
さて、話はバッテリーに戻ります。Oladance ウェアラブルステレオは内蔵のバッテリーで最大16時間持ちます。実際に使ってみると、同程度の時間使うことができました。
私は十分なバッテリー持ちだと感じましたが、ただやはり充電ケースが欲しいという声もあるでしょう。そこで、Oladance ウェアラブルステレオには、専用の充電ケースが用意されています。ちなみに、別売りです。
この専用充電ケース、なんと78.4時間分のバッテリーとして、2,550mAhもの容量を搭載しています。Oladance ウェアラブルステレオ本体の16時間と合わせて、最大94.4時間も使えます。1日4時間使ったとして、約23日。1カ月近く使える計算です。
こちらがOladance ウェアラブルステレオの専用充電ケース。完全ワイヤレスイヤホンのケースとして見ると、かなり大きめです。
ワイヤーキャリーケース(写真上)と充電ケース(写真下)を比較しています。細長いワイヤーキャリーケースと、正方形に近い充電ケース、一目で見分けやすいデザインです。
専用充電ケースに、Oladance ウェアラブルステレオを収納しました。ワイヤーキャリーケースと同様に、取り出しやすくなっています。
Oladance ウェアラブルステレオ+充電ケース込みの重量は、なんと146.4g。完全ワイヤレスイヤホンとしては最重量クラスです。
巨大な完全ワイヤレスイヤホンとして思いつくのが、SHUREの完全ワイヤレスアダプターRMCE-TW2(写真右)です。底面積でいうと、RMCE-TW2の圧勝でした(でかい)。
SHURE RMCE-TW2のレビュー記事はこちらから。
ただし、重量は133.2gと、Oladance ウェアラブルステレオの方が重かったです。これはバッテリーが重いということですね。
デカくて重い、という専用充電ケースですが、その欠点を補って余りある大容量のバッテリーを搭載しています。ただ、Oladance ウェアラブルステレオ自体のバッテリー持ちがいいので、慌てて買う必要はないです。
実際に運用してみて、足りない、不満だ、と思うようになったら検討しましょう。
周りの音が聞こえるウェアラブルイヤホン、Oladance ウェアラブルステレオの強みは?
流行になりつつあるウェアラブルイヤホン、私の手元にも気に入った製品がいくつかあります。いずれも一長一短ありますが、比較してみましょう。
今回用意したウェアラブルイヤホンは、下記の5製品です。(リンクはレビュー記事に飛びます)
- Shokz OpenRun Pro
- Oladance ウェアラブルステレオ(本製品)
- SONY LinkBuds
- HUAWEI Eyewear
- ambie AM-TW01
比較する項目は、音質=音の良さ、装着性=長時間装着して快適か、付け外し=ストレスなく付け外しできるか、の3項目で相対評価しています。◎→○→△の順です。
製品 | 音質 | 装着感 | 付け外し |
---|---|---|---|
Shokz OpenRun Pro | ○ | ○ | ◎ |
Oladance ウェアラブルステレオ | ◎ | ○ | ○ |
SONY LinkBuds | ○ | ○ | ○ |
HUAWEI Eyewear | ○ | ◎ | ◎ |
ambie AM-TW01 | △ | ◎ | △ |
5製品で比較してみて、Oladance ウェアラブルステレオが際立ったのは、やはり音質の良さでした。圧倒的です。そもそも、数ある完全ワイヤレスイヤホンを使ってきた中でも、抜群に音がいいと感じるので、ウェアラブルという縛りの中では敵なしですね。
装着感という点ではメガネ型のHUAWEI Eyewearや、イヤーカフ型のambie AM-TW01の評価を上にしました。ほぼ付けていないような感覚なので。
付け外しに関しては、メガネ型のHUAWEI Eyewearや、ワイヤー型のShokz OpenRun Proは片手で外せるので評価は上にしていますが、Oladance ウェアラブルステレオもかなり楽な部類ではあります。
実際に並べて比較してみると、Oladance ウェアラブルステレオの最大の魅力は音質です。完全ワイヤレスイヤホンも含めて、唯一無二とも言える音楽体験を可能にしていると言えます。
Oladance ウェアラブルステレオ ワイヤレスイヤホンのまとめ
Oladance ウェアラブルステレオは、周りの音が聞こえるイヤホンなのに高音質、という難しい問題をクリアしました。最初の再生のときは、予想外に高音質な音楽が流れてきて、衝撃でした。耳元で小型のスピーカーを鳴らしているようです。あまりに音が良すぎて、過去の名曲を聞き直したりしています。(いいイヤホンに出会ったときの行動)
テレワークで自宅にいるときは、家のチャイムを気にしてイヤホンができませんが、Oladance ウェアラブルステレオなら周りの音が聞こえるので問題ありません。朝晩の犬の散歩のときにも、音楽を聴きながら歩けます。完全ワイヤレスイヤホンにも自然な外音取り込み機能を持つものはありますが、実際に聞こえる音には敵いません。
Oladance ウェアラブルステレオは、新時代のイヤホンの道を指し示したような、素晴らしい製品でした。現時点で文句のつけようがない、★5つです。超オススメ!!!
- 耳元に高性能スピーカーがあるような高音質!
- オープン型なので、周囲の音が聞こえる
- 単体で最大16時間もつバッテリー持ち
- 付け外ししやすく、ずれにくいデザイン
- IPX4の防水性能
- タッチ操作に慣れるまで時間がかかるかも