受託研究/コンサルテーション
DR共同研究開発、及びDR受託研究
DRを効率的に行うために我々は、日本で上市されている既承認薬(約1200種)の内1000種以上を集めた既承認薬ライブラリを独自に構築し、そこから目的の薬理効果を持つものをスクリーニングし、臨床試験でその効果を確認するという戦略で研究を進めてきました。例えば、ドライアイに有効な既承認薬をライブラリから発見し、用途特許を出願した後、速やかに第二相臨床試験を開始することが出来ました(DRの有用性)。一方、製薬企業が特定の疾患に有効な、或いは特定のメカニズムで作用する既承認薬を発見しDR を行いたいケース、或いは製薬企業が持つ既承認薬や開発中止品の新しい適応疾患を発見しDRを行いたいケースが増えています。そこで我々は、これまで行ったDR研究により社内に蓄積されている材料(既承認薬ライブラリなど)やノウハウ(効果的な薬剤の選択、知財戦略,薬価戦略など)を提供し、DR共同研究開発、及びDR受託研究を行っております。
事例紹介
DR共同研究開発(LT-0011)
スクリーニング系またはスクリーニングを行う研究リソースを持っている企業が対象です。当社は無償で既承認薬ライブラリを提供すると共に、候補薬からの絞り込み、臨床への橋渡しに必要な研究、知財化に必要な研究等に関して、当社がこれまでの経験から得たノウハウや材料を提供します。また、当社研究所がこの研究の一部を行うことも可能です。興味深い候補薬が得られた場合は、その特許を当社と共同で出願して頂きます。DRの場合、用途特許、用法・用量特許、製剤特許などを出願することになりますが、これまでDRで数多くの特許を出願している当社の経験とノウハウを活かすことにより、効果的な特許の出願が可能であると考えております。その後、製剤製造、臨床試験プロトコールの作成、PMDA対応など、臨床試験へ向けた準備を共同で行います。DRに関する臨床試験を行った経験を持っている当社が主導的な役割を果たすことが可能です。
DRスクリーニング受託事業(LT-0012)
特定の薬理効果を持った既承認薬をスクリーニングする研究を当社が受託します。その場合、上記と同様の方法で研究を進め、用途特許、製剤特許、物質特許を出願し、それを委託企業に譲渡します。場合によっては、当社がPOC臨床試験まで行い、その結果を含めて譲渡することも出来ます(DRに関する臨床試験を行った経験が豊富な当社なら可能です)。この受託研究は、企業が自らのリソースを割くことなく、目的の薬理効果を持つ既承認薬を発見出来ることにメリットがあります。
適応拡大受託事業(LT-0013)
企業が既に上市している医薬品、開発中の新薬、或いは開発中止薬に関して、新しい適応症の発見を当社が受託します。その場合、当社は様々なドラッグリプロファイリングを行い(再委託を含む)、新しい適応を発見し、用途特許を出願し、それを委託企業に譲渡します。特に、薬効不足で開発を中止している新薬の新しい適応疾患を発見し開発に成功すれば、これまでかけてきた費用を無駄にしないですみますので、大変有益と考えております。
DDS製剤共同研究開発、
DDS製剤受託開発
当社はドラッグデリバリーシステム(DDS)研究の先駆企業として、DDS新薬を上市した経験を持ち、現在でも開発しています。一方、製薬企業の多くは、研究開発の効率化のために、製剤開発(DDSを含む)部門を縮小し外注化を加速しています。そこで、当社がこれまで培ってきた、以下に述べる製剤開発(DDS)技術を駆使し、オーダーメイドの製剤開発、DDS技術開発を行います。製剤開発を受託する企業は多いと思いますが、委託先企業が指定する方法で製造する、或いはその企業が持っている製剤技術をそのまま使って製剤を製造する企業が多いと思います。それに対し当社は、自らの製剤処方検討経験を活かし、委託企業の要望する体内動態を達成するために、製剤処方を一から確立します。共同開発とするのか、受託開発とするかなども、依頼者のご要望になるべく沿うように致しますので、是非お気軽にご相談下さい。尚、受託研究は契約しているアカデミアと一緒に行うこともあります。
事例紹介
難溶性APIの可溶化(LT-0003)、(LT-0004)
当社は、リポソーム、エマルションといった製剤技術を有しており、特に難溶性APIの可溶化およびPK改善を得意としています。そこで弊社が難溶性化合物をその物性に適した手法で製剤化し、最適のPKを達成します。これまでの研究実績として、製薬企業からの受託研究により、難溶性化合物のリポソームへの封入を独自の処方で達成し、動物実験用のサンプルを提供し、目標とする体内動態を達成しました。
生分解性高分子化合物・ポリ乳酸(PLA)を用いた製剤化(LT-0001)
生分解性高分子化合物PLAを用いた製剤化も得意にしています。例えば、チャージを有する、または疎水的な低分子化合物をPLAナノ粒子封入し、その表面をPEGでコーティングすることで、大きさ100 nm程度のナノ粒子を調製する技術(ステルス型ナノ粒子)を確立し知財を得ております。また脂溶性の高い化合物の場合、特定の高分子と共にAPIを油層に封入させることよる放出速度調整や、初期バーストが少ないエマルション製剤の調製も可能です。また既にこの粒子に核酸を封入することに成功しています。なお本技術は当社と日本大学 工学部 石原務教授との共同研究により実施されています。
フォスファチジルコリン(PC)修飾によるバイオ医薬品のPK改善(LT-0002)
PK改善を目的としたバイオ医薬品の改善技術としては、PEG化が有名です。一方、当社はフォスファチジルコリン(PC)修飾技術を持っており、これは世界的にも当社オリジナルな技術です。当社ではPCでタンパク質・酵素を修飾することで、血中滞留性を向上させつつ細胞表面への親和性を上げることに成功しています。これは血中滞留性のみを向上させ細胞との親和性を低下させるPEGとは大きく異なる点です。弊社では、このPC化を応用した製剤(活性酸素除去能を有しているスーパーオキシドディスムターゼにPCを修飾したPC-SOD)を使って臨床試験を実施しています。さらに、上市しているバイオ医薬品をPCで修飾することで、動態改善による投与量の低減が可能になること考え、改良型バイオ医薬品(バイオベター)の開発も進めています。このPC修飾技術はタンパク質だけでなく、ペプチドなどの動態や薬効を改善することが可能です。
ニーズに合わせた新しいDDS技術の開発(LT-0010)
弊社のDDS技術の特徴として、技術オリエンテッドではなく、疾患オリエンテッドである点があります。つまり、疾患を治療するためにはこのようなDDS技術が必要であるというニーズに合わせてレシチン化などのDDS技術を開発してきました。一方当社は、上述のように様々なDDS技術を持っており、また様々なDDS技術を持っているアカデミアとも連携しています。そこで、「このAPIに対してこのような(徐放、ターゲッティング、血中滞留性の改善等)DDS技術を開発してほしい」というニーズを頂ければ、オーダーメイドの新しいDDS技術を開発することを検討します。
DRコンサルティング事業
ドラッグ・リポジショニング(DR)が効率的な創薬手法であることは、世界的に広く受け入れられています。一方、サイエンス以外の問題がDRの成功を阻むケースが少なくありません。
①古い薬は薬価ダウンによりかなり安くなっており、その値段では採算が取れない。どうすれば高い薬価が得られるのか?
②DRの生命線である用途特許はどのようにすれば成立するのか?
③用途特許でジェネリックの参入を防ぐためにはどうすればいいのか ?
④古い薬の場合、毒性試験なども古い基準で行われているが、やり直さなくても大丈夫か?
⑤先発メーカーの協力が得られなくても、承認申請出来るのか?
などの問題で、患者さんにとってメリットのあるDRを進めることが出来ないケースが多いと思います。 当社の代表取締役の水島徹はDRの先駆者として、これまで多くの企業の相談に乗って来ました。そこで、当社はこのような問題の解決を支援する、DRコンサルティング事業を開始し、その第一号としてあすか製薬株式会社と契約を締結しました。長年のDR経験から得た当社ノウハウを活かし、皆様のDRを成功させたいと考えておりますので,是非ご相談ください。