「人の顔と名前を覚えられない」とか、「資格試験の用語をどうやって記憶すればいいのかわからない」など、記憶に関する悩みを抱えていらっしゃる方は少なくないはず。そこで、きょうは『東大式 記憶力超大全』(青木 健 著、総合法令出版)をご紹介したいと思います。
著者は、記憶力を競う競技であるメモリースポーツの選手(メモリーアスリート)として活動している人物。記憶に関するサービスを提供するベンチャー企業の経営者でもあり、仕事やプライベートでも記憶に関する多くの方の相談に乗っているのだそうです。
本書は今まで私に相談してくださった方や、日々記憶に困っている学生から社会人まで幅広い世代に向けて、さまざまな記憶に関する悩みを解決できる100の方法をわかりやすく丁寧に、この一冊にまとめました。(「はじめに」より)
それら100の方法は、いますぐ取り入れることのできる小技から、世界中で行われている記憶や脳科学に関する研究をベースとした記憶法、メモリーアスリートが使う記憶方まで多種多様。
「顔と名前の覚え方」
「電子書籍と紙の本、どちらが記憶に残りやすいのか?」
「インプット:アウトプット=1:3の法則」
などの目次からおおよその内容がわかるようになっているので、辞書のように該当箇所だけ読むような使い方もできます。また記憶法や脳科学に関するライトな読み物としても楽しんでいただけるように執筆しました。(「はじめに」より)
きょうは第2章「生活の中で使える記憶のコツ」のなかから、2つをピックアップしてみることにします。
忘れ物をしない方法
忘れ物をゼロにすることは、実際のところなかなか困難。とはいえ、物忘れと違って忘れ物はこれから(未来)に関することなので、対策を講じやすいのだそうです。ここで紹介されている具体的な対策方法を確認してみましょう。
1. 思いついたらすぐに行う
たとえば翌日の仕事で名刺が必要なのだったとしたら、「寝る前に準備しよう」ではなく、いますぐカバンに入れるようにすることが大切。必要なものを「いますぐ」入れるのであれば、忘れることはないからです。
2. 荷物の準備を毎日のルーティンにする
一方、毎日寝る前に翌日の荷物を準備する癖をつけることももちろん忘れずに。カバンの中身だけでなく、着ていく服などの準備もしておけば、時計やハンカチ、靴なども併せて確認できるはず。1.「思いついたらすぐに行う」で対策したものも、改めて確認できればなおよいでしょう。
3. 家のなかに変化を加える
前日から準備できるものに関しては1と2の対策でこと足りますが、コンタクトレンズやメガネなど「いま使っているもの」に有効な対策が3.「家のなかに変化を加える」だそう。
「いまカバンに入れることはできないけれど、当日忘れると困るもの」については、家のなかに変化を加えることが大切なのだとか。
とくに著者が勧めているのは、「玄関」に変化を加えること。翌日に履いていく靴のなかにボールを入れておいたり、玄関のドアにハンガーをかけておいたりするなど『違和感を覚える状態』をつくっておけば、違和感が記憶を蘇らせてくれるのだといいます。
私も翌日絶対に忘れてはいけないものがある場合は、玄関のドアノブにハンガーをかけておき、朝家を出るときにハンガーを外して、ドアを開ける前にちゃんと準備できているか確認するようにしています。この習慣を取り入れたことで、忘れ物をすることがほとんどなくなりました。(112〜113ページより)
地味な方法ではあるものの、こうして家のなかに変化を加えれば相応の効果が期待できるようです。(111ページより)
パスワードの覚え方
ネットショッピングからWi-Fiの登録時まで、現代社会においてはパスワードなしの生活は考えられません。しかも数字だけでなく、アルファベットの大文字と小文字を組み合わせたものや、〇文字以上などの条件がある複雑なパスワードを求められることも増えています。
ところが、すべてのパスワードを正確に覚えておくことは非常に困難。そこで、銀行の暗証番号やスマホのID、よく利用するサイトのパスワードなど、「本当に重要なもの」を5種類ほどに絞り、一気に記憶すべき。
もちろん重要なのは、他人に推測されにくい安全なパスワードにすることです。しかし他人に推測されにくいということは、自分でも覚えにくいということでもあります。
そこで著者が勧めているのが、「数字記憶法」と「アルファベット記憶法」。
例えば「Pc38Nxj7」という8文字の銀行のログインパスワードを覚えるとします。
まず知っている単語に置き換えられないかを見ます。Pcは「パソコン」を意味するので、それを覚えます。残りはストーリーを作って記憶していきます。
「自分のよく行く銀行ATMで、大きなパソコンが複数台ある(Pc)を開くと、サヤエンドウ(38)から巨大な看護師(N)が出てきて、たくさんのクリスマスツリー(x)を立てた。クリスマスツリーにたくさんのジェット機(j)と七面鳥(7)の飾りとしてぶら下げた」というイメージで記憶するといいでしょう。(129ページより)
重要なパスワードは使用頻度が高い場合が多いため、一度がんばって覚えたら、何度か使用するうちに自然に覚えられることでしょう。
ちなみに、パソコンや机のまわりにパスワードを貼っておくのは非常に危険だと著者。重要度の低いパスワードは、パソコンやスマホが自動入力する機能を活用しつつ、安全に利用することを心がけるべきだということです。(128ページより)
著者がいうように気軽に読める構成になっているため、必要なことを効果的に学べるはず。記憶に関する悩みを解決したいなら、目を通してみる価値はありそうです。
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Source: 総合法令出版