ベストなメールサービスは、有料のケースがほとんどですが、無料メールプロバイダーにも優秀なものはたくさんあります。
問題は、そうしたプロバイダーを見つけるのが難しい、という点です。なぜなら、無料メールプロバイダーは、ユーザーのプライバシーと引き換えに、サービスを無料で提供しているものが多いからです。
ニーズに合わせて、サービスを選ぼう
サービス提供元の企業にもよりますが、メールのデータが、広告の表示や、そのユーザーのウェブ全体での行動のトラッキングに使われる可能性があり、極端な例ではメール内のテキストを人工知能(AI)のトレーニングに使っているケースまであります。
無料で使えることのメリットと、プライバシーの保護。どちらを取るのかは、なかなか難しい問題です。
一般的には、真の意味でプライバシーを保護しているメールプロバイダーを使うには、ある程度の料金を払うことは避けられません。また、その気になれば、自前のメールサーバーを立ち上げるという選択肢もあります。
この記事では、今のところは有料メールサービスに登録する気になれない、という人向けに、無料で使えるなかではベストなメールサービスを7つご紹介します。
ただし、1つの選択肢に縛られる必要はありません。複数のメールアカウントを作成して目的別に使い分けるのも、良いアイデアです。
自分のニーズに応じて、複数のサービスをうまく組み合わせて使ってみましょう。
Gmail:大半の人にとってベストなサービス

「Gmail」は間違いなく、大半の人にとってベストなメールサービスだと断言できます。
信頼性が高く、スパムメールも的確にフィルタリングしてくれますし、15GBのクラウドストレージも無料で使えます。
それに、Gmailのアカウントを持たないでいることが事実上難しい、という事情もあります。インターネットを利用していて、Googleを完全に避けるのは難しいですから、どこかの時点でGoogleアカウントが必要になるはずです。
大半のAndroidスマホの設定から、共有されたGoogleドキュメントへのアクセスまで、Gmailは幅広いユーザーにとって、とても役に立つサービスです。
加えてGmailでは、1アカウントで複数のアドレスを作成できます。これは、サービスごとにメールアドレスを使い分けることで、スパムが届くようになった時、どのサービスからメールIDが漏れ出したのかチェックできる、大変役立つオプションです。
その一方、Gmailが指摘されている最大の問題点は、このサービスがGoogleによって所有されていることです。
というのも、Googleは、ユーザーデータを広告主に売ることで収益を得ているからです。プライバシーに対する意識が高い人にとっては、Gmailはベストなメールサービスとはいえないでしょう。
長所:普及率が高く、使い勝手が良く、高機能で、ほかのGoogleサービスと統合されている。
短所:データがマイニングされ、広告主に販売され得る。
Outlook:Gmailの代替として

Gmailは使いたくないけど、似たような機能を持つサービスを探している、という人には、Microsoftの「Outlook」がベストな選択肢でしょう。
Gmailと同じように、Outlookもテック系の巨大企業がバックについていますから、これからも長い年月、サービスが提供されることはほぼ確実です。
しかも、最大で15GB分のメールボックス容量が使えるのに加えて、5GBの「OneDrive」クラウドストレージが無料で付与されます。
Gmailに代わる、信頼性の高いサービスであることは間違いありません。しかしGmailと同様に、プライバシーが最優先という人にとっては、使いたいサービスではないでしょう。
長所:大手テック系企業が運営している。機能豊富で、Gmailの代替サービスとして使える。
短所:Googleと同じように、Microsoftも、ユーザーのプライバシー保護に関しては疑問がある。
Proton Mail:プライバシー重視派に

「Proton Mail」は、プライバシーに関する意識が高い人にはベストな無料メールサービスです。
無料でエイリアスを10個まで作成可能で、とりあえず使ってみるには十分な機能が揃っています。ただしメールボックス容量は1GBで、1日に送信できるメールの数は150通まで、という制限があります。
私はGmailアカウントをもう10年以上使っていますが、それでも、ストレージの使用量は1GB未満です。
ですから、Protonのメールボックス容量が1GBまでであっても、かなりの期間、上限に達しないようにやりくりして使うことは可能でしょう。
さらにProton Mailには、メール以外の機能も豊富に用意されていて、こちらもまったくお金を払うことなく使えます。こうした機能には、無料VPN(ただし、使用できるデバイスは1台限定)や、無料のパスワードマネージャーなどがあります。
Proton Mailの最大のアピールポイントは、エンドツーエンド暗号化を採用している点です。これにより、ユーザーが送るメールが傍受されることはなく、Proton Mailやサードパーティー企業に読まれることもありません。
これは非常に素晴らしいプライバシー保護機能ですが、これが有効になるのは、やりとりをしている相手がProton Mailユーザーか、もしくはほかのエンドツーエンド暗号化を採用しているメールプロバイダーを使っている人である場合だけです。
広告ベースのメールアカウントを持つ人とやりとりするときは無効になります。こちら側はすべて暗号化されて読み取れない状態になっていても、送信先が使っているメールサービスは、こちらが送ったメールの内容を簡単に読み取ることができます。
また、利用料を払ってもかまわないという場合は、「Proton Unlimited」というお得な有料版サービスがあります。こちらでは、使えるメールアドレスが増え、メールボックス容量も増量され、ダークウェブのモニタリングなどの高度なプライバシー機能も使えます。
長所:プライバシーを重視している、エンドツーエンド暗号化の採用。
短所:メールボックス容量は1GBまで。1日に送信できるメール数にも制約がある。