画像をトリミングするためだけに『Adobe Photoshop』や『GIMP』を立ち上げるのは馬鹿げています。こうした強力なツールが必要な場面もありますが、もっとシンプルなアプリで十分な時もあります。この記事では、特によく行う画像編集作業を、簡単な無料オンラインツールで済ませる方法を紹介します。
米LifehackerでPhotoshopの代替ソフトについて読者アンケートを行ったところ、圧倒的に人気があったのは『GIMP』でした。とはいえ、GIMPもそれなりに容量が大きく、動作の重いアプリです。ちょっとしたトリミングや、色の簡単な補正ができれば十分、という人にとって、包括的な画像編集アプリの最高峰を選ぶ必要はありません。ここでは、特によく行ういくつかの画像編集作業について、さまざまな無料ツールを比較したうえで、それぞれの作業に最適なものを紹介します。もしあなたが、ごく簡単な画像編集作業を毎日のように行っているのなら、わざわざGIMPを立ち上げて、操作が完了するまで待つよりも、こうした手軽なツールを使ってみてはいかがでしょうか。なお、この記事で取り上げた画像編集アプリはすべて、ウェブブラウザで作業ができるので、どのプラットフォームからでも利用できます。
トリミング:『Fotor』
画像のトリミングといってもさまざまです。画像の端に写っているものを取り除くだけの簡単な作業の場合もあれば、画像の解像度を一定の数値に合わせるなど、厳密さが求められる場合もあります。Fotorは、無料アプリとしてはとても強力なトリミングツールをいくつか提供してくれます。自由な形でトリミングできるほか、トリミングせずに画像サイズだけ変更したり、ピクセル数を指定してトリミングしたりもできるのです。Facebookのカバー写真のように、よく使うサイズについては、プリセットで用意されています。トリミングは以下の手順で行います。
- 『Fotor』のサイトにアクセスします。
- 「画像加工する」ボタンをクリックします。
- トリミングしたい画像を選びます(ブラウザの設定でプラグインをブロックしている場合、Fotorではプラグインを使用するよう、設定を変更する必要があります。そうしておかないと、画像のアップロード画面で固まってしまいます)。
- 左側のメニューから「切り取り」を選びます。
- ドロップダウンメニューで条件を指定します。その下の入力欄で画素数を指定することもできます。トリミング枠の大きさを変更しても形が変わらないようにしたければ、「比率を固定する」にチェックを入れます。
- メインウィンドウで、トリミング枠のつまみを調整して、画像の切り取りたい部分だけを選択します。
- 「変更する」ボタンをクリックします。
- フロッピーディスクのアイコンをクリックして、画像を保存します。
トリミングは難しい作業ではありませんが、正確な切り抜きが必要な場合には、並の画像編集アプリでは満足できないかもしれません。筆者が調べた限り、どんな状況にも対応できるツールが揃っていて、ほとんどトラブルも発生しなかったのはFotorでした。左側のメニューの一番下にある「リサイズ」を使えば、トリミングせずに画像のサイズだけを変更できます。
色の調整:『Pixlr Editor』
光の加減がイマイチな写真でも、少し色を調整するだけでぐっと良くなります。『Pixlr Editor』には、色の調整に使える、Photoshop並みに強力なツールがいくつか備わっています。明るさ、コントラスト、色調をスライダーで調整するのは、たいていの画像編集アプリで可能ですが、Pixlrはほとんどのアプリよりもずっと細かい調整ができて、しかも無料です。
Pixlrで画像を編集するには、このサイトにアクセスするとアプリが起動します。「コンピューターから画像を開く」「URLから画像を開く」などのボタンが表示されるので、加工したいファイルを指定します。ファイルを開いたら、メニューバーの「調整」から、さまざまな操作を行えます。以下に、いくつかのメニューの機能と使い方を紹介しましょう。
- レベル:「明るさとコントラスト」はたいていのアプリで調整できるので、おなじみですね。Pixlrには「レベル」というメニューがあり、ひとつのフィルターをいじるだけで、明るさとコントラストが一度に調整できます。メニューからレベルを選ぶと、画像のカラーヒストグラム(度数分布図)が示されます。ヒストグラムの横軸の下に3つつまみがあり、これらはそれぞれ、黒、白、灰色のレベルを表しています。これらのつまみをドラッグすると、黒の濃さと白の明るさを調整できるのです。おおまかな法則として、ヒストグラムの山が横軸の端の方で平らになっている場合は、黒または白のつまみをカーブの始まる辺りまでドラッグすると、色彩バランスの問題の多くを解決できるはずです。今の説明でよくわからなかった人はこのアルバムをご覧ください。
- トーンカーブ:Pixlrの「トーンカーブ」は、色の補正に関して、誰にでも使えるツールの中では最強クラスです。複雑なツールなので、限られた字数で説明することは不可能ですが、「Digital Camera World」のこのページに素晴らしい解説があります。Photoshopでは「調整レイヤー」を作成してトーンカーブを調整できますが、Pixlrでは残念ながら、画像を直接操作する形になります。それでも十分強力なツールと言えます。
- 色調と彩度:上の2つに比べると、ほかのアプリにも備わっている可能性の高い項目ですが、せっかくだから紹介しておきましょう。これを調整すると、色彩をより鮮明にしたり、色調を調整したり、明度の強弱を変えたりできます。
調整メニューの下にはほかにもさまざまな項目が用意されていて、自由に使えます。画像の色合いをこう変えたいと思った場合に、方法はひとつではありません。複数のメニューから、結果的には同じような効果を得られます。さまざまなメニューは、どれもひととおり試してみる価値があります。Photoshop風のインターフェースは、初心者には敷居が高く感じられますが、いろいろ触ってみたらそんなに難しくありません。
レイヤーを使った作業:Pixlr Editor
Photoshopでもっとも便利な機能のひとつがレイヤーです。Photoshopのレイヤーは、アニメーションでセル画を重ねるのと同じようなものです。ひとつのレイヤーを修正しても、ほかのレイヤーには影響がおよびません。また、それぞれのレイヤーを別々に動かすこともできます。うれしいことに、この機能を持っているアプリはPhotoshopだけではありません。先に紹介したPixlr Editorも、優れたレイヤー機能を提供しています。Pixlr Editorでのレイヤーの使い方は次の通りです。
- Pixlrで画像を開きます。
- 右側にある「レイヤー」という小さなウィンドウの右下の方にある「新しいレイヤー」ボタンをクリックします。これで、新しい透明なレイヤーが作成されます。
- 新しいレイヤーに描き込みます。ほかの画像から選択した部分をコピー&ペーストすることもできます。ペーストした部分には新しいレイヤーが自動的に作成されます。
- レイヤーウィンドウの左下にある、スライダーの形のアイコン(「Toggle layer settings」)をクリックすると、不透明度とモードを変更できます。不透明度を調整すればレイヤーが少しずつ透けて見えるようになり、モードを変更すれば、おもしろい効果が得られます。
もちろん、レイヤー機能があるからといって、何でもできるというわけではありません。Pixlrの選択ツールには若干の改善の余地があります。「reddit」で話題の、鳥に腕をつけたコラ画像を作るのは、Photoshopを使うのに比べたら少し難しいかもしれません。でも、Pixlrのほうがずっと安いのです。
テキストや字幕の追加:Fotor
インターネットの世界では、画像にテキストを載せるだけでちょっとしたアートになります。でも、画像にテキストを貼りつけるのは、そんなに簡単ではありません。この場合にも、Fotorはやはり使いやすいアプリのひとつです。というのも、Fotorではたくさんのフォントが用意されており、プレビューを見て選択できるからです。画像にテキストを追加するには、次のように操作します。
- Fotorで画像を開きます。
- 左側のサイドバーで「テキスト」のアイコンをクリックします。
- 表示されたリストをスクロールしてフォントを選びます。フォントの名前がそのフォントスタイルで表示されているのでプレビューできます。
- 「テキスト挿入」ボタンを押して、テキストボックスを追加します。サイズは調整可能です。
- ボックスの中にテキストを書き込みます。
- 画像の右側に表示された枠内の各種ボタンで、文字の配置を変えたり、ボールドやイタリックを指定できます。「ブラシ強度」(いわゆる透明度)、文字間や行間隔などの設定も変更できます。
Fotorでは自分のマシンにインストールされているフォントのほか、Fotorに組み込まれたフォント集からもフォントを選択できます。特定のフォントを「お気に入り」として保存できますが、これには会員登録が必要です。Fotorのマイナス点は、Photoshopのような「レイヤースタイル」メニューは見当たらないことです。だから、テキストが目立つように効果を追加したくても、限界があります。それでも、複数のテキストレイヤーを作っていろいろ設定すれば、ちょっとした効果が生まれます。
Eric Ravenscraft(原文/訳:松田貴美子、江藤千夏/ガリレオ)
Photos by davebloggs007, and William Murphy.