Gallup」の最新の調査(2012)によると、会社員の87%は「仕事が嫌だ」、もしくは仕事から「外されているような状態」だということが分かりました。つまり平均すると、仕事が好きで熱心に働いている会社員1人を上回り、2人の会社員は燃え尽きているということになります。

これまでの定説では、長時間労働や永続的な過度のストレスが原因で燃え尽きると言われていますが、これは少し問題を単純化し過ぎているように思います。すべての人が、受信トレイにある96通の新着メッセージについていちいち深く考えすぎてまいっている訳ではありませんし、ストレスがあるからこそ高いレベルの仕事の成果を上げている人もいます。

また、誰にでも合う燃え尽き症候群の対処法というのもありません。ストレスが溜まるとジャンクフードを食べる人もいれば、夜眠れなくなる人もいます。「99U」では、燃え尽き症候群への対処法や、治療法、予防策などを長い間探ってきました。今回はその中でも、選りすぐりの11の方法をまとめてご紹介しましょう。

1. どのような理由で燃え尽きたのか把握する

The Association for Psychological Science(心理科学協会)」では、燃え尽き症候群には3つのタイプがあり、それぞれ別の解決方法が必要だということが判明しています。

1. 働き過ぎ

仕事を成功させるために疲れ果てるまで仕事をする、熱心な仕事人間には、精神的なガス抜きがかなり必要です。このようなタイプの人は、目標達成には限界を感じているにも関わらず、会社や組織に文句を言うことでストレスに対抗しようとします。当然のように、このようなやり方によってストレスが更に増し、最終的にはタオルを投げ入れられる(途中でやめざるを得なくなる)ことになります。

2. 伸び悩み

燃え尽きないための予防策が最も必要なタイプです。仕事に対して能力が足りていない人は、仕事と距離を置くことでストレスをコントロールしようとする傾向にあります。そのようなやり方では、厭世的になったり、皮肉屋になったりし、それが燃え尽きる前兆にもなっています。

3. 逃避

直面しているストレスから逃げ出すことが、ストレスに対抗する手段となっているタイプです。目標を達成したいという気持ちはあるにも関わらず、それを達成するまでの障害を乗り越えようというやる気が出ません。

元記事全文はこちら(英文記事)。

2. 「できません」と言ったり、情報をシャットダウンする

何でもかんでも「はい」と言っていたら、自分の仕事がどんどん追加され、エネルギーや創造性は逆にその分奪われていきます。

仕事の依頼が多過ぎると感じたら、「できません」と言うことから始めましょう。アイデアはたくさんあるのに少ししか実行できないのであれば、残りのアイデアは「棚上げ」フォルダに入れておきましょう。

情報過多でまいってきたら、休憩時間や仕事に集中したい時は情報が入って来ないようにしましょう。メールに返信する時間を決めたり、携帯やスマホの電源を切ったり、たまには見えないところに置いておくのもいいです。それで世界が終わったりはしません。約束します。

元記事全文はこちら(英文記事)。

3. がんばろうとしない

本当に燃え尽きモードになってくると、疲れ果てて前向きになることもできません。そんな時は、無理してがんばらないことです。

仕事に対してネガティブな感情しか湧いて来ない時は、無理にその感情を押し殺そうそしないでください。その代わり、仕事から少し距離をおきます。

机から少し離れて、落ち着ける場所で数分間呼吸に意識を集中し、自分のネガティブな感情を消そうとせずに、その感情に意識を向けます。それから、その気持ちのまま行動をします。そうすると、大抵ネガティブな感情はすぐに消えていきます。もし消えなかったとしても、少し大事なことに近づいているはずです。

元記事全文はこちら(英文記事)。

4. 症状に対処するのではなく、病気の原因に向き合う

燃え尽き症候群から本当の意味で回復し、二度と燃え尽きないようにするには、なぜ燃え尽きてしまったのか、表面的ではないより深いところにある原因を探る必要があります。

些細なことに大騒ぎするのではなく、一歩引いて事件だと思って考えてみましょう。そして、シャーロック・ホームズのように手がかりを探し、検証します。

例えば、こんな風に自問自答します。「足を滑らせる前にはどんなことがあったか?」「クライアントから直前の変更依頼があった、といような引き金になるような特定の出来事があったか?」「病気のような普段とは違う状況にあったか?」「自分の行動がおかしくなっているのに最初に気付いたのはいつか?」「このような状況や仕事が持続可能ではない要因はあるか? ある場合は、どのようにすればそれをもっと現実的に変えるられるか?」

元記事全文はこちら(英文記事)。

5. 毎日の休息の時間を決める

プレッシャーから解放するには、脳を休めてリフレッシュするための休息の時間を、毎日のスケジュールに入れましょう。瞑想でも、昼寝でも、散歩でも、単にネットに繋がらない時間を持つことでも、何でもいいです。

スケジュールを組む時には、落ち着いて考えることができるようなまとまった時間を取る必要があります。散歩に行ったり、コーヒーを飲みに行ったり、何か大きなことをぼんやりと考えたりするために、毎日のスケジュールから1~2時間を捻出しましょう。

自宅に帰ったら、夜ご飯や寝る前のしばらくの時間は、Wi-Fiのネットワークをシャットダウンしたり、ネットワークやデータにアクセスできないような時間を取るというのもいいです。ステイタスの更新や、その他のコミュニケーションの一定の流れを、一時的に止めるだけでいいのです。

今のテクノロジーに依存した世界から逃れるには、瞑想ほど精神的に良いものはありません。たった15分でも、定期的な刺激から頭と心を完全に解放することができます。瞑想にも色々な種類があります。頭の中を空っぽにして、まったく何も考えないようにするという瞑想もあります(これは筆者にはかなり難しかったです)。しかし、呼吸や、頭の中で繰り返し何度もお経を唱えるなど、何か1つのものに10~15分間意識を集中させるという瞑想もあります。

瞑想が合わない人には、昔ながらの方法ですが頭の中をクリアにする別の方法もあります。それは昼寝です。伝説的なエネルギー専門家でベストセラー作家のTony Schwartzさんは、毎日20分ほどの昼寝をしています。大観衆の前で講演をする数時間前でも、短い昼寝をするそうです。

元記事全文はこちら(英文記事)。

6. 完璧主義者はやめて、満足することを覚える

すべての仕事で最大限の成果を出そうしたり、クリエイティブな仕事の生産性を最後の1滴まで搾り取ろうとするのは、自分を疲れ果てさせたり、仕事を先延ばしにするだけです。仕事の許容範囲を決めて(緩めて)、それを守るように心がけましょう。

あなたの健康や、幸せや、人間関係や、精神衛生を、不可能な基準の仕事を達成するために犠牲にし続けるのは、とても危険な行動や、皮肉なことに仕事の先延ばしにもつながります。

「この仕事が終わるまでは寝ない」と言うのではなく、「○○時までは仕事をするけど、時間が来たら仕事は止める。追加の仕事をしなければならなくなるかもしれないし、完璧な仕事ではないかもしれないけど、それでいい。十分それに値することはやった」と自分に言いましょう。

睡眠をとり、運動をし、定期的に休息の時間を取ることは、生産的でクリエイティブな仕事を長く続けるために一番大事なことです。

元記事全文はこちら(英文記事)。

7. 日々やっていることを記録する

毎日でなくても、定期的に長期間記録をし続けることで、自分がどれくらいのことをやったのか、正確に認識できるようになります。

期待はずれだったというような意見や批判を聞くと、最初はとても傷つきます。研究でも、失敗や損失は、同じだけの賞賛や喜びの2倍傷つくことが証明されています。

しかし、一度落ち込みから回復すれば、そのような意見がいかに信頼できるものだったか分かります。それから、取り戻すための行動を起こしたり、新しいトレーニングや仕事をする機会が持てます。ネガティブな意見による一時的な痛みは、仕事で壊滅的な失敗をしてしまった経験とは比べ物になりません。

自分の能力や実力が足りず、毎日1時間でも早く仕事に取り掛からなければならないということが分かるのは、仕事に失敗して契約の内容が悪くなるよりも、はるかに良いことです。

元記事全文はこちら(英文記事)。

8. 場所を頻繁に変える

起業家やフリーランスは、特に燃え尽き症候群になりやすいです。Joel Runyonさんは、場所によって仕事を変える「workstation popcorn」を使っています。そうすることによって、仕事は管理しやすく、休憩も頻繁に取ることができ、時間を有効に使えるからです。

いかにも"仕事してます"という雰囲気でパソコンに何時間も向かっていても、ほどんど何も仕事が終わっていないことに気付くことがあります。毎日が仕事が進んでいないという恐ろしい感覚で終わっていきます。延々と続くToDoリストに埋もれていくような気になります。翌日になってもその感覚は変わらず、仕事がまったく進まなくなっていきます。

今日やらなければならないことをすべてリストにあげましょう。できるだけ具体的にあげます。次に、そのリストを3つのグループに分けます。

  • STEP1:カフェ(もしくは社内のどこか違うデーブルやデスク)に行きます。
  • STEP2:分類したグループ1の仕事をやります。
  • STEP3:グループ1の仕事が終わったら、荷物をまとめて次の場所に移動します。できることなら、歩いたり自転車に乗ったりして移動する方がいいです。

次の場所に着いたら、またSTEP1から同じことを繰り返します。(仕事は当然違うグループのものをします)

その日のToDoリストの仕事がすべて終わったら、リラックスして日常に戻りましょう。これ以上仕事はできないと思うので、家に仕事は持ち帰らないように。家に戻ったらただくつろいでください。

元記事全文はこちら(英文記事)。

9. 休暇の予定も詰め込み過ぎない

ストレス過多の環境にいたり、過度の期待をされていたり、睡眠障害があったりすると、バケーションを取ること自体が、燃え尽き症候群を引き起こしたり、悪化させたりすることもあります。バケーションは燃え尽き症候群から回復するために使いましょう。

バケーションを取る時は、旅の日程は融通が利くようにしておいてください。ラットバウト大学の研究で、やりたいことの選択が自由に選べるようにすると、バケーションが効果的に使えることが分かりました。

大事なポイントは2つです。旅行の日程はギチギチに詰め込み過ぎないこと、天気や体調、予算に合わせて、行きたい場所の選択肢をいくつか用意しておくことです。

元記事全文はこちら(英文記事)。

10. 自分宛てのファンメールを書く

アメリカの作家セス・ゴーディンさんは、完璧とは程遠い仕事をして燃え尽きそうになった時は、自分を励ましてやる気を保つために、自分宛てのファンメール(ファンレター)を書いています。

私は、不安というのは"前もって経験する失敗"のようなものだと考えています。まだ起こっていない将来のことや、最悪のことが起こるのではないかと心配でしょうがない場合は、仕事が手に付かないのも不思議ではありません。

残念ながら今の時代は、楽天的になろうと思ってもそう簡単ではありません。"前もって経験する成功"や、起こりうる最高のことを頭に思い描くには、それを書き出してみることです。自分の話が誰かを感動させたとして、その人がそれをあなたに伝えたいとしたら、どんな風に言うでしょうか? 新しい製品が地元のスーパーの棚に並んでいたらどう思いますか? 具体的に頭に思い描きましょう。そして、成功した前提で自分にファンメールを書きます。実際に行動を起こし、自分を励まして前進させるのに効果的です。

元記事全文はこちら(英文記事)。

11. 大きな仕事は細分化する

仕事全体をひとまとまりとして考えると、それだけでまいってしまうこともあります。そのような仕事は小さな仕事に分け、それぞれの仕事に締め切りを設けて、少しずつやっていく方が気持ちも楽になり、健康的で、最終的に大きな仕事を終わらせることができます。

締め切りというものは、基本的に厄介でストレスになります。しかし、見方を変えれば、締め切りが仕事に与えるメリットもとても大きいものです。厳しい締め切りがなければ、仕事に集中できず、仕事を前進させ終わらせることは難しくなります。誰もが、まったく融通の利かないギリギリの進行の困難な仕事をやったことがあるのではないでしょうか。

締め切りというものが、実際に行動を起こしやる気を出すことに、かなり大きな影響力があることが判明しました。ドイツのコンスタンツ大学のSean McCreaさんの研究によると、抽象的な仕事よりも、明確で具体的な仕事の方が、人間はかなり取り組みやすくなることが分かりました。

私にはこれが、地図を手渡されることと、GPSデバイスで少しずつ行き方を案内してもらうことの違いと、同じように思いました。地図を読めない人はいますが、案内にしたがって歩くだけなら誰にでもできます。このように、大きな仕事は小さな仕事や、より具体的な仕事に細分化することで、進むべき道が明確になり、行動が起こしやすくなります。

元記事全文はこちら(英文記事)。

仕事で燃え尽きそうになったことはありますか? 燃え尽き症候群から回復した方法や、燃え尽き症候群にならないようにしている予防策などがあれば、ぜひ教えてください。

11 Ways to Avoid Burnout|99U

Sasha VanHoven(訳:的野裕子)

Photo via Shutterstock.