Inc.:男性も女性も人々はみな、子宮の中、思春期、成人期などそれぞれの成長の過程でテストステロン(男性ホルモンの一種)の影響を受けています。科学者の多くはテストステロンのレベルが脳の発達に影響を及ぼす、ということを事実として受け止めています。

成人するころには男女共にテストステロンの基礎レベルは安定し、その後の人生においてこれが大きく変わることはそれほどありません。つまり、テストステロンは男性だけの問題ではないのです。ですが、テストステロンが非常に高い場合、これはビジネスにとって好影響なのでしょうか、それとも悪影響を及ぼす可能性が高いのでしょうか?テストステロンは攻撃性と関連していると言われています。中にはテストステロンが多い方が有利である、と言われている職業もあるくらいです。デイトレーダー、弁護士、M&Aスペシャリストなどの職業がその例として挙げられます。銀行で働いている人のテストステロンレベルがもっと低ければ、よりリスクを回避する安全な運用を行うであろう、という議論もある一方で、フルスロットルで行われる激しい競争があるおかげで成長する人がいる、という意見もあります。

テストステロンはあなたのチームにとってどんな影響を与えうるのか?

現実での結果といえば、実はなかなか微妙であり、かつ少し心配な要素を提示しています。テストステロンは判断力の低さや感情的知性の低さに関連付けられます。とある実験では、感情移入のレベルを測定するためのテストを受けるように依頼した女性グループにテストステロンを投与しました。すると研究チームが予測した通り、投与された女性は非言語的な信号を理解する能力が著しく弱まっていました。

ですが、より興味深かったのはテストステロンと協力者たちの関係性です。口からテストステロンの投与を受けたグループは、プラシーボ(偽薬)を投与されていたグループよりも共同作業が苦手だということがわかったのです。主にこれはホルモンを投与された人たちが「自己中心的傾向」を強め、自身の意見を重要視し、仲間の意見を真剣に聞き入れなくなったことが原因です。つまりテストステロンのレベルが上がると、人はよりわがままになり、他者と協力することが難しくなるのです

男性も女性もテストステロンの量は常に変動を続けているので、この実験は男性についてのみ、というわけではありません。これは個人の、そして無意識的なオリエンテーションです。面接の前にはホルモン注射が必須という日が来ないことを私は祈っています。

ですが、面接や人材の評価を行う場合には人が他人とどのくらい協調しているのか、というのに注意を払うべきです。なぜならば、人のテストステロンレベルが急に上がったり下がったりすることはとても稀なことなので、今日の行いと明日の行いがさほどぶれることはありません。共同作業を行うことができる人へのニーズが増える今、大きな変化への期待もほどほどにするべきなのかも知れません。

Is Testosterone Good for Business? Nope. | Inc.

Margaret Heffernan(訳:まいるす・ゑびす)