99u:チームリーダーにとって、メンバーへのフィードバックは最重要課題であると同時に、最難関課題でもあります。悩んだ末に伝えたフィードバックが、果たして効果的だったのか、気になってしまう人も多いのでは。良かれと思って伝えた言葉でも、逆効果になってしまう場合があります。褒めたのに自信につながらない。専門的なアドバイスをしたらかえって自信をなくしたようだ。ある女性社員には「言いすぎないようにしよう」と心に決め、控えめに伝えたら、日に日に不安が増している様子...。
ご安心ください。モチベーションに関する科学的研究により、伝わるフィードバックとそうでないフィードバックについて、明確で理にかなった理由が明らかになっています。そう、相手の反応は、ミステリーでもランダムでもないのです。そこで、科学に基づく、より良いフィードバックをするためのシンプルなルール3カ条をお伝えします。
ルール1: うまく行っていない相手には、真実を伝える
混乱している相手にそのことを伝えるのは簡単ではありません。伝えることで、相手に不安や失望、羞恥心をもたらしてしまうかもしれません。でも、嘘をついてまでメンバーの心を守ることはしないでください。正直なフィードバックなしには、そのメンバーが立ち直ることはできないのですから。ネガティブな感情は、問題解決に向けて立ち上がるモチベーションを与えるために存在しているのです。
あるメンバーの責任で問題が発生したとき、きつくあたりたくないからという理由で、「君のせいではない」と取り繕うのは厳禁です。責任の所在を曖昧にしてしまうと、メンバーは「自分で仕事をコントロールしている」という感覚を失ってしまいます。この無力感ほどモチベーションを下げるものはありません。それによる長期的な被害を避けるためには、短期間の不快は受け入れなければならないのです。
ルール2:うまく行っていない相手には、自己不信からの脱却を促す
過去にどんな失敗を経験していても、成功は手の届くところにあると思うことが肝心です。そのためには、機転を利かせることと、改善の可能性を犠牲にしないフィードバックをする必要があります。以下の3点を心がけるといいでしょう。
(1)具体的なアドバイスを!
具体的にどこを改善すべきかを伝えましょう。リーダーとして、相手の間違っているところを伝えるだけではなく、改善方法の発見を手助けしてあげることも重要です。
(2)変われる点を指摘する
相手がコントロールできる範囲内でのフィードバックに徹しましょう。例えば、プロジェクトにかけている時間や努力、目標達成に向けた戦略的アプローチなどを話題にするといいでしょう。
(3)努力を褒めない
研究によると、失敗したときに「努力」を褒められると、バカにされたように感じる人が多いそうです。さらには、「自分に目標達成は無理だ」という諦めの感情を与えてしまうことも。これを避けるためにも、純粋な情報としてのフィードバックに徹した方がいいでしょう。問題が努力でないのであれば、本当の問題を見つけて、指摘してあげることです。
ルール3:うまくいっている相手には、能力を褒めない
誰しも、自分の才能を認められると嬉しいものです。だから、チームメンバーも才能を認めてもらえたら嬉しいだろうと思うのは自然の成り行き。もちろんそうなのですが、メンバーのモチベーション維持のためにそれが必要かといえば、そうではないのです。
研究によると、能力の高さを褒められている人は、困難に遭遇したときに自己不信に陥りやすいそうです。成功が「あたりまえ」の人が壁にぶち当たると、自分の才能がないと結論付けてしまうのです。
能力ではなく、メンバーが自分でコントロールできるパフォーマンスを褒めるといいでしょう。それは、クリエイティブなアプローチ、入念に練られた計画、粘り強さや努力、協力的な態度などです。つまり、人物を褒めるのではなく、プロセスを褒めるのです。そうすることで、そのメンバーが後にトラブルに遭遇したときに、過去に成功をもたらしたプロセスを思い出し、うまく乗り越えることができるはずです。
上記3つのルールを守れば、真実と指針がバランスよくチームメンバーに伝わり、チームのモチベーション向上につながるでしょう。
The Key To Great Feedback? Praise the Process, Not the Person | 99u
Heidi Grant Halvorson(訳:堀込泰三)
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