「人生勉強」のたぐいであれば人間力を高めることもできますが、資格取得のための勉強などに対応するためには、「記憶する」ことが避けられません。「記憶」という言葉は小学校時代に九九を暗記したときのことを思い起こさせたりもしますが、結局は社会人になってもそこから離れることはできないわけです。

だからこそ、『一瞬で思い出せる頭をつくる 機械的記憶法』(牛山恭範著、日本実業出版社)は有力なツールになりそうです。「本書では、従来のやり方とは異なる非常識な記憶法を紹介しています~」と、冒頭からこんなことが書かれているのですから、もうこれだけで興味をそそられませんか? 少なくとも、根が非常識にできている私はこの一文を目にしただけで強く心惹かれました。

最大の特色は、「記憶に対するアプローチ」にあるのだとか。どういうことでしょうか? つまり、記憶は無理やりつくるものではなく、「自然と残るもの」だというのです。ですから本書には、「残す」ための数多くのメソッドが並んでいます。

説得力を感じたのは、記憶するためには戦略が必要だという考え方です。

多くの人が、勉強をしてもしかるべき効果が得られないとか、テストで点数をとれない理由は、ザルで水をすくっているからです。ザルで水をすくうと次から次へと水がこぼれてしまうのと同様に、何の計画もなく記憶しているのでは、覚えたことがこぼれてしまうのです。

つまり、それを克服するためには「計画的な記憶作業」が必要であるという考え方です。では、計画的な記憶作業とは、なんでしょうか? 例えば「これなら楽におぼえられそうだ」と感じたのが、耳からの勉強で効率化するという方法です。

問題集の蛍光ペンで塗った部分をICレコーダーに吹き込んでみましょう。

吹き込みは、あまり欲張らないようにしてください。せいぜい3分から長くても5分程度にしましょう。そして、その3~5分の区間を、リピート再生で聴き続けてください。

『機械的記憶法』(140ページ)

なるほど、これなら通勤時間やトイレの時間などを有効利用して、覚えたいことをしっかり覚えられそうです。あまり聞きたくない自分の声をリピート再生するというのは少しばかり辛いかもしれませんが、代わりに家族に読んでもらうなどの応用も利きそうですね。

本書では、このようにユニークな多くの事例がかなり具体的に紹介されています。自分にフィットしそうなアイデアから取り入れていくのもいいのではないでしょうか? 本書を読んだ方は、どのような感想を持ったでしょうか。facebookページや下のコメントなどで、ぜひ教えてください。

(印南敦史)