仕分けのために置いたはずのトレイに書類の山が...。心配ご無用。カオスのような机にため息をついているのは、アナタだけではありません。世の中には、整理整頓のための心得やコツがたくさんありますが、裏を返せば、それだけ多くの人々が整理整頓に悩んでいる証でもあります。そこで今回は、散らかり放題の仕事場をとことん整理整頓するための術をご紹介します。

Photo by Johan Larsson.

 

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実際に左画像のとおり、筆者の仕事場(英文記事)のビフォー(左)・アフター(右)もなかなかのギャップ。

子ども時代のしつけや性格、習慣づけのおかげで、整理整頓が得意な人もいますが、仕事場が今散らかっているからといって、ダメ人間というわけではありません。整理整頓する習慣を身につける時間がなかっただけのことです。そこで、「整理整頓の事始め」とこれを継続するコツについて手引きしたいと思います。

まず、GTDの「すべてを書き出す」というユビキタス・キャプチャー法を活用しましょう。「全部書き出す必要なんてないでしょ、覚えればいいじゃん」という人もいるかもしれませんが、ヒトの記憶は口で言うほど強力なものではありません。思いついたことを書き留めるくらいの手間は、かけた方がいいでしょう。

■なぜ仕事場が散らかるのか?

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人によって仕事場が散らかる原因は様々ですが、片付けにおいて考慮すべき点や「片付け下手」さんの傾向をいくつかみていきましょう。



念のためにとっておきたい

やたらと多いポストイットの買い置きやサイドボードに山積みになったジャンクメールすらも、「足りなくなったとき、ほしいときに備えておきたい」と考える人です。


物事をシロクロで決めるのが嫌

できる限り、決断を先延ばしにしたいタイプです。もちろん、上司の命令でやるべき仕事、光熱費の支払いなど、好きなだけ先延ばしできることはそれほど多くありませんが、「机の書類を片付ける」ことは自分のさじ加減ひとつで決められます。「あとでいいや」と思ったら最後、「あとで」は永遠に来ないこともあるのです。


時間管理が効果的にできない

きれいな仕事場にしたいとは思うものの、時間の管理がルーズでなかなかその時間が取れない人です。


では、アナタの仕事場に対する考え方や印象を整理し、仕事場が散らかっている原因を少し探ってみましょう。次の質問に答えてみてください。

  1. 仕事場でどんな気分になりますか?
  2. モノを捨てたらどんな気分になりますか?
  3. キレイなオフィスの人ってどんな人ですか?
  4. 散らかっててもOKなのはどんなときですか?
  5. 時間、お金、スペースなど、何があればオフィスがキレイになりますか?


筆者のオフィスは、以前まで散らかり放題だったそう。当時なら、質問1. に「モノの下で圧死してしまいそうな感じ」と答えていたでしょうが、すっかり整理整頓された今は「満足だし、自分の仕事の流れを管理できている」と感じているそうです。

重要なのは、散らかっている原因に何があるのかを理解すること。ゴミ箱の使い方を忘れてしまったくらいで書類が山積みになったり、ケーブルがぐちゃぐちゃに絡まったり、部屋がとっちらかることはありません。他に理由があるはずです。

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■どこから始めるべきか

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部屋が散らかる隠れた要因がわかったら、今度は物理的な観点から見ていきましょう。

整理整頓のための鉄則は「すべて捨てる」こと。もちろん、実際にすべてを捨てられるはずはありませんが、考え方を変える必要はあります。今の机の状態を見れば、散らかる理由はわかるはず。シュレッダーにかけたり、リサイクルに出したり、捨てればいいものを「念のため」と手元に残しているがゆえ、部屋がモノであふれかえってしまうのです

私たちが生活しているのは便利な現代社会、一年に一度しか郵便配達のない孤島に住んでいるならともかく、いつでも何でも買え、一晩で配達してもらえるものがほとんどです。「念のためとっておく」必要はありません。むしろ、有限なスペースを整理整頓するなら「何でも捨てる」を心がけましょう

仕事場が完全にとっちらかっている場合、徹底的にきれいにするまでには数週間かかるかもしれませんが、整理整頓したいなら、腰をすえて取り組みましょう。大変そうだから、時間がかかりそうだからと、やらないと決断することは「現状に適応する」ことではありません。「引き出しをキレイにするのは、自分の部屋には合わないな」、「引き出しいっぱいの状態が好きなんだもの」、「まあいっか、このステップは省略しよう」なんて言いわけをしていたら、いつまでたっても仕事場は整理整頓されないままです。

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備品はできるだけシンプルに

備品はシンプルに。仕事場がキレイになり、そのアイテムが本当に自分にとって便利なものであることがわかるまで、新しい整理整頓アイテムは買わないようにしましょう。必要かどうかがわかる前に新しいものを買ってしまうと、さらに部屋が散らかってしまいます。まずは、洗濯かご、丈夫なゴミ箱、ジップロックバッグの3種類があればOK。ラベル付けのためのマスキングテープとペンも準備しましょう。


片付けタイムを確保する

散らかった仕事場の片付けには相応の時間がかかります。週末にまとめてやるという方法もありますが、いずれにせよ、片付けのための時間をきちんと取って、これに集中できるようにしましょう


部屋をゼロクリアする

可能ならば、いったん仕事場を完全に空っぽにするのが理想です。筆者は大規模な整理整頓を敢行したとき、仕事場からすべてのものを搬出したとか。ゼロクリアした状態からスタートするほうが、ものをコントロールしやいです。とはいえ、仕事場のものを一時的に置く場所がないなど、物理的に不可能な場合は、仕事場にあるスペースの範囲で作業することになります。モノがあちこち散乱しないように気をつけましょう。

ここで活躍するのが、3つのコンテナ。「ゴミ箱行き」のもの、「他の部屋に移動させる」もの、「寄付する」ものの3種類に分類します。また、捨ててしまうよりも寄付が理想ではありますが、それで迷うのであれば、すぐに捨てるかリサイクルしましょう。何ヶ月も寄付先に持っていくこともないまま、仕事場に放置されているなら捨てるべきです。


■何を捨てるべきか

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まずは、「仕事場にはなにもない」という状態を規定値としてスタートさせます。そして、特定のものの存在に、確固たる差し迫った理由がないなら、ゴミ箱行きにしましょう。仕事場に戻してもいいかどうかを判断するには、次の2つの基準を活用してみてください。


仕事に必要なものか?

コンピュータやメモ帳がなければ、仕事になりません。つまり、これらは仕事に必要なものといえます。仕事場に残しておきましょう。一方、ここ何年もほとんど使っていない、使いかけのペンや色分けされたポストイットは、潔く捨てましょう。


仕事場を美しくし、生産性を向上させるか?

観葉植物や家族の写真は仕事には必要ありませんが、ちょっとした息抜きには役立ちます。ただし、枯れた植物は捨てること。自分が楽しい気分になるように環境は整えるべきですが、限度はあります。デスクは、あくまでも仕事をするための空間です


この二つの質問に正直に答えていけば、おのずとゴミの山ができるはず。USBケーブルは何本もいらないし、ペンは40本も必要ありません。5年前のファックス書類も不要でしょう。このルールは厳格に運用すること。真に役目を持つアイテムは、実はそれほど多くありません

ただし例外もあります。使用頻度は極めて低いものの、必要なものがこれに当たります。たとえば、デバイスの同期のときしか使わないケーブルであっても、別のものに切り替えるのはかえって面倒。安く買えるものではありますが、オンラインで探したり、注文したりするくらいなら、仕事場のスペースをほんの少し使ってでも保管しておくほうがカンタンです。この手のものはジップロックバッグに入れておきましょう。あとで「このケーブル、何だっけ?」とならぬよう、ジップロックバッグにケーブルを入れ、「パナソニックのデジタルビデオ用AVケーブル」とラベルをつけておくと便利です。

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■整理整頓を維持するには?

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「すべて捨てる」という鉄則には、ほとんど例外はありません。「何でも取っておきたい」という意識から、「何でも捨てる」という意識へと変えることが必要です。「これは必要だろうか? いらない、ではできるだけ早く捨てるにはどうすればいいだろう?」という発想に切り替えるのです。筆者は自身の経験上、マインドセットの切り替えこそ、重要なものだと悟ったとか。

まず、筆者が最初にやるべきだったことは、それまで「整理整頓」と呼んでいた行為が、単なる掃除にすぎなかったという事実を受け止めることでした。全体を整理整頓したときは、「これこそ整理整頓だ!」と感じたものの、次の週には散らかり放題の「元の木阿弥」になったそうです。その理由は、書類やデジタルファイルなど、あらゆるものをどう扱うか? というシステムがなかったから。カレンダーもスケジュール帳もコンテナも、自分の環境を自分でコントロールできない限りは役に立ちません

つまり、仕事場のスペースをきれいにして机のホコリを取り、いいことをした気になるだけでは不十分なのです。前述のとおり「なぜ部屋が散らかるのか?」を、自分の内面から検証することが大切になります。また、整理整頓した状態を維持したいなら、デスクをきれいに片付けるだけでなく、この状態をキープするためのシステムが必要です

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書類のワークフローを作る

書類にはワークフローが必要です。一種類のワークフローで足りる場合もあれば、書類の発信元によって、複数のワークフローが必要な場合もあります。最も基本的な書類のワークフローとしては、受信トレイで書類を受け取ったらこれを精査し、ファイルを保存するか捨てる、という流れとなるでしょう。

また、現行のファイルシステムを見直すことも必要。ライフハッカーアーカイブ記事「超気軽にできる『ボックス収納法』のススメ」のように、箱ひとつですべてを管理するという方法もあれば、同「記録保存の方針を決め、片付けを楽にしよう」を参考に、書類の保存方針を決めるのも一法です。


手に届く範囲には最低限のものしか置かない

仕事で使っているもの以外は、すべて仕事場から撤去すべき。机の引き出しや収納スペースには、普段仕事で使っているものだけを入れるようにしましょう。たとえば、毎日使うラベル付けグッズは机の引き出しに。月1回程度しか使わないパウチラミネーターは、クローゼットかキャビネットに片付けます。使う頻度の高くないものは、できるだけ身の回りに置かないこと。これを許容しはじめると、机の周りがあっという間に散らかります。


週次・月次で仕事場の見直しをする

今はキレイすっきり整理整頓できたとしても、またカオスのような状態に逆戻りすることもあります。一ヶ月に一度は仕事場をチェックし、その月に便利だったものとそうでなかったものを仕分け、不要なものは捨てましょう。このプロセスに情は禁物。目標達成に役立たないものはすべて捨ててください


机がキレイに整い、ワークフローが整理されたら、周りの人々に周知徹底しましょう。たとえば、家族や同僚に無造作に書類などを置かれて、机をぐちゃぐちゃにされたくないなら、受信トレイを使って彼らをトレーニングするのです。ポイントは機転を利かすこと。たとえば、「このトレイに書類を入れてくれたら、早めに対応します」といった具合です。

Jason Fitzpatrick(原文/訳:松岡由希子)