電車の待ち時間など、ちょっとした「スキマ時間」、あなたはどう過ごしていますか?
ケータイでゲームをしたり、ツイッターでつぶやいてみたりと、様々な時間の使い方がありますが、日々時間に追われながら仕事している一方で、何気なく時間をつぶしている瞬間があるなら、その時間も仕事に有効活用するのはいかがでしょう?
終業時刻になっても、実際サクっと仕事が終わるわけではありませんし、たとえオフィスを離れたとしても、仕事モードからオフモードに一瞬でパチっと切り替えられるとは限りません。間近に迫っている書類の締め切りや、なかなか納得してくれないクライアント、計画通りに進まないプロジェクトなど、頭の中がいつまでも仕事の「囚われの身」となっていることもしばしばです。それならば、いっそのこと仕事をやり続けましょう。スマートフォンやラップトップPCで、ネットワークさえあれば、いつでもどこでも仕事できる時代です。
クリエイター向けオンラインマガジン「Explore Create Repeat」の編集者でデザイナーのStefan Pintaric氏は、スキマ時間を使って、それほどストレスや集中力を必要としない、ちょっとした仕事をこなすようにしているそう。名づけて「ミクロ生産性向上術」です。このポイントは、目標の設定やタスクのリスト化といった、通常のタスクマネジメントの対象からは外すこと。あくまでも、「やらないよりは、やったほうがまし」というスタンスです。
ポイントは、現実的な「スキマ時間」を特定すること。スーパーのレジやエレベーター、地下鉄などの待ち時間がこれに当たります。「どのタスクをどれだけやれるか?」を適切に予測するには、正確なスキマ時間を把握することが不可欠。くれぐれも、無理やり多めに見積もったりしないようにしましょう。
スキマ時間の有効活用は、生産性の向上に役立ちます。じっくり探してみると、意外と頻繁にあるものですし、まとめてみるとかなりの時間になることも...。ただし、それぞれは小刻みなので、その時間の範囲内で現実的に達成可能なタスクを掲げるべきでしょう。とはいえ、たった30秒でもいろんなことができます。具体例として、次のようなものがあります。
受信メールの題名だけなら、全体にざっと目を通すことができ、「どれに返信すべきか?」程度は大まかに把握できます。Gmailを使っているなら、タスク別にラベルを活用すると便利。たとえば、編集者ならラフドラフト(Rough Draft)、最終チェック(Final Review)のように、ステータス別のラベルを設定するなど。ウェブデザイナーなら、「.psd」、「.css」、「.ai」など、添付ファイルの形式別にタグ付けするのも一法です。
なんとなく日常のルーチンは決まっていても、毎日それぞれのスケジュールがあるもの。たとえば、ランチに出かける途中のエレベータで、ランチからオフィスに戻ってくる時刻の10分前をアラーム設定しておけば、午後イチの会議にも余裕を持って臨めます。一日のスケジュールにあわせて、アラームをうまく活用しましょう。
備忘録には、テキストメモ機能や手書きのメモを使っている人が多いかもしれませんが、携帯電話の録音機能が意外と便利。最初は違和感があるかもしれませんが、30秒もあれば、デバイスにテキスト入力するよりも、より多くの連関性ある情報を記録できますし、ひらめいた瞬間の自分を思い出しやすいという効果もあります。殴り書きのような手書きメモの判読に手間取ることもありません。
プロジェクトマネジメントソフトでも、Googleカレンダーでの共有でも、メーリングリストでの発信でも、手段は問いません。最新の自分の進捗状況をチームメンバーと常に共有しておくことは、大切なことです。
数週間も経つと、仕事を通じて多くの人々との新しい出会いがあり、その分連絡先の登録データはどんどん増えていくもの。もちろん、後々何かの役に立つこともありますが、たいていの場合、データがやたらと増えすぎてしまうだけかも...。たとえば、「ジョン・スミス(John Smith)」という同姓同名のデータが5件あったとして、実際連絡を取っているのは一人だけなら、あとのデータは削除したほうがいいかもしれません。
チャンスは、いつ、どこに転がっているともしれません。この絶好のチャンスをつかみ損ねないためのひとつの方策として、名刺交換し、自分の営業活動をしてみるのはいかがでしょう。たとえば、自分がデザイナーだとして、お肉屋さんに名刺を渡しておけば、後々お店の看板を作り直すときに、お声ががかかるかもしれないし、お店のウェブサイトの作成依頼がくるかもしれません。家族にデザイン事務所の人がいる可能性も。30秒もあれば、握手をして名刺を交換するくらいはできます。思わぬ仕事が舞い込むかも!?
「スキマ時間くらい、仕事から離れたい...」という考えからすれば、ちょっと極端すぎる方法ですが、この「ミクロ生産性向上術」を使って、スキマ時間の一部でも、ストレスなく仕事に充てると、生産性アップにつながるかもしれませんね。
Microproductivity:Not a Second Wasted | Explore Create Repeat
Stefan Pintaric(原文/訳:松岡由希子)