朝晩を中心にグっと気温が下がり、街にはマスク姿の人々もチラホラ...。いよいよ風邪の季節が本格的にやってきますね。風邪の予防や治療には、定番のガラガラうがいから、「ネギを喉に巻く」といった「おばあちゃんの知恵袋」的な知識まで、科学的根拠の有無を問わず、様々なものがありますが、実際、どのような方法が効果的なのでしょうか? こちらでは、このテーマについて採り上げてみたいと思います。
「風邪かな...?」と感じると、すぐに薬局で市販薬を買い求める人がいますが、風邪の治療のほとんどは、自宅にあるものでできます。
1. 塩水でうがいするPhoto by Casey Serin.オーソドックスな方法ですが、塩水でのうがいは、一般的な風邪には効果的な治療法。喉の痛みを緩和し、粘膜への刺激を和らげるだけなく、風邪予防にも役立ちます。『米予防医学ジャーナル』に掲載されたある研究では、塩水で1日3回うがいする人は、風邪のシーズンに病気になりづらいことがわかっています。小さじ半分の塩をグラス1杯の水に溶かして、数秒間ガラガラっとうがいをしましょう。このテーマについては、ライフハッカーアーカイブ記事「塩水のうがいは風邪や咳に効く!」でもどうぞ。
2. はちみつを摂るPhoto by Bethany Egan.2007年の米ペンシルベニア州大学のある研究結果(英文)によると、小さじ1~2のはちみつは、夜間の咳のケアに使え、その効力は、市販されている咳止めシロップのデキストロメトルファンより高いそうです。
3. 鼻うがいや鼻孔スプレーを使うPhoto by Dennis Yang.鼻づまりのときは、鼻孔スプレーや鼻うがいで洗い流すのも効果があります。研究結果(英文)によると、鼻づまりの軽減になるだけでなく、感染予防にもつながるとか。市販の鼻孔スプレーを利用するのもいいですが、塩小さじ4分の1、ベーキングソーダ(重曹)小さじ4分の1を、ぬるま湯8オンス(226.8グラム)に溶かしてもOK。球注射器で鼻にスプレーするか、ネティポット(Neti Pot)といった鼻洗浄グッズを使って、鼻を洗いましょう。実に効果的で、ほとんど副作用もなく、鼻づまりの不快感から解放されますよ。
4. ストレスを軽減する
Photo by John Mayer.ストレスが健康に影響を及ぼすことは、様々な研究から指摘されていますね。心理ストレスが多ければ多いほど、健康問題も起こりがちです。米カーネギーメロン大学の心理学部(英文)では、ストレスと急性疾患との明らかな関係を発見しています。日々、どのようなことにどれだけのストレスを感じているかは、人それぞれなので、まずは自分自身の生活を定期的に見直し、適宜、ストレス軽減に努めるようにしましょう。
5. 十分な休息をとるPhoto by Craig Dennis.あまりにも当たり前ですが、病気のときは、十分な休息をとるのが一番。ウイルスに打ち勝つための時間以外に自分の貴重なエネルギーを使わないようにするのです。多くの研究結果(英文)では、睡眠不足によって免疫機能の低下がもたらされることがわかっています。逆に言えば、健全な睡眠習慣は、風邪の撃退に役立つだけでなく、免疫力を高めてくれるわけです。病気のときのみならず、普段から十分な休息を心がけましょう。もちろん、睡眠は時間だけでなく、その質も重要。睡眠サイクルについては、ライフハッカーアーカイブ記事「今度こそベストな睡眠サイクルを手に入れるための9+3の方法」や「『週末の寝だめで平日の睡眠不足は穴埋めできない』という研究結果
」もご参考まで。
まだその効果は実証されていないものの、少なくとも害はなさそうな方法として、以下のようなものもあります。
6. 水分補給を増やすPhoto by Brian Turner.「水分を多めに摂ってね」は、風邪引きさんへの定番アドバイス。風邪の間に多くの水分を摂ることで、体の水分が保たれ、喉を潤すことができます。水分補給と風邪症状の緩和との関係は、まだほとんど明らかになっていませんが、十分な水分を摂ることは、体の健康には不可欠なことです。ただし、摂りすぎには気をつけましょう。
7. 蒸気を吸い込む加湿器を使って自宅の湿度をコントロールするのは、オススメな方法ですが、実は、風邪の緩和に対する効果はまだはっきりしていません。ヘルスケア系メディア「Cochrane」の記事(英文)によると、蒸気が症状改善につながったのは、6例のうちわずか3例だとか。ただし、加湿することにリスクはほとんどなく、家にとっては他のメリットもあるので、止める必要はないでしょう。
風邪の治療には、市販薬以外にも民間療法がいくつかありますね。しかし、中でもメジャーな以下の3つの方法は、科学的には、その効果はまだ証明されていないそうです。
8. ビタミンCを摂るビタミンCの効果については、長年指摘されてきましたが、「Cochrane」の記事(英文)によると、ビタミンCの大量摂取は、ほとんど効果がないそう。ビタミンCは、多くの人々が期待するほど「魔法の風邪治療薬」ではないようです。とはいえ、行き過ぎない限り危険性はほとんどないので、オレンジジュースなどを摂ることに問題はありません。ただし、ビタミンCなどが多く配合されているビタミン剤は、腎臓結石を引き起こす副作用があるかもしれません。
9. エキナセアを摂るPhoto by London Looks.エキナセアは、免疫システムを拡張し、風邪の悪化を軽減するハーブと言われていますが、「New England Journal of Medicine」のある研究(英文)によると、風邪の予防や風邪症状の緩和への効果は見受けられなかったとか。エキナサエアには多くの種類があり、エキナサエアの根の部分には、様々な効能があるので、まだ一貫した結果が得られていないそうです。また、エキナサエア自体の副作用はそれほどありませんが、アレルギーや他の薬と合わさることによって、深刻な問題が引き起こされるおそれがあるので、注意が必要です。
10. 亜鉛を摂るその他の代替治療薬として、のどあめや鼻孔スプレーの形態で摂取する亜鉛があります。この効果については数々の研究が行われてきましたが、その効力を示す結果は少数(英文)です。これらの事例によると、特に風邪の初期症状のときに、亜鉛を多く摂取すると、風邪の悪化を軽減することは明らかになっています。しかし一方で、金属味といった味覚障害や胃の不調のほか、まだ証明されていない副作用の可能性も指摘されています。また、亜鉛の大量摂取が味覚や嗅覚を失わせる原因になることも...。
このほか、家庭でできる風邪の治療法を紹介したものとしては、「healthクリック」のこちらの記事や、東京ガスの「世界の風邪 民間療法」などもありますよ。あわせてご参考まで。
Whitson Gordon(原文/訳:松岡由希子)