睡眠改善と姿勢美矯正のサロン『プロスパービューティー』のオーナー・松本美栄さんは、午前2時に就寝、午前5時前後に起床する生活を、4年以上も続けているそうです。
3時間しか睡眠をとらないのに、およそ睡眠不足という言葉とは無縁。日中眠くなることもなく、公私とも活力に満ちた日々を送っています。
そんな松本さんも、かつては「許されるなら10時間でも寝ていたいタイプ」。仕事は多忙で十分な睡眠時間が確保できず、いつも寝足りない気分だったそうです。
体調を崩したのを機に「これはなんとかしなくてはいけない」と一念発起。脳科学などの徹底的な知識の探求と生活面の改善によって、驚異的ともいえる短眠生活へと脱皮を果たします。
睡眠時間3時間!サロンオーナーが編み出した睡眠改善法
松本さんは、自ら編み出した睡眠法を「濃縮睡眠メソッド」とよび、サロンで延べ5千人以上の睡眠の悩みを解決してきました。
そして、2019年9月には著書『誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠メソッド』(かんき出版)を上梓。
本書には、このメソッドの実践法が網羅されています。
睡眠の質を格段に向上させるという、このメソッド。本書からそのいくつかを紹介します。
「濃縮睡眠」の原理
通常、入眠してから深い眠り(ノンレム睡眠)に到達するまで約90分かかるそうです。
「濃縮睡眠メソッド」は、これを無理なく30分以内に短縮させ、その後も深い眠りを持続させます。
これによって、短い睡眠時間でも目覚めがよく、起きている間の頭の働きも良くなり、身体も活力がみなぎりパフォーマンスが向上します。
松本さん自身は、入眠から10分程度で最も深い眠りに到達するそうで、これを示したのが下のグラフです。
対して、松本さんのサロンを訪れたあるクライアントさんが、睡眠改善に取り組む前のグラフがこちら。
その差は一目瞭然です。
何時間寝ても寝足りないタイプは、このクライアントさんのように浅い眠りばかりが続きます。
「濃縮睡眠メソッド」を実践することで、こうしたグラフの高い山を低くし、深く持続的な睡眠を実現させるわけです。
「濃縮睡眠メソッド」の3つの柱とは?
松本さんによれば、「濃縮睡眠メソッド」の3つの柱は、「脳疲労を取り除くこと」、「血液の循環をよくすること」、「睡眠環境を整えること」だそうです。
この3要素を実現することで、入眠してすぐに深い眠りに到達できるようになると言います。
頭をスッキリさせる頭蓋マッサージ(6〜10回)
まず、「脳疲労を取り除く」ためのエクササイズの1つが頭蓋マッサージ。
マッサージにより、デスクワーカーに起こりがちな脳の疲労を和らげ、脳髄液の流れをよくして、老廃物を流す効果があると松本さんは言います。
本書では、頭蓋マッサージは3種類掲載されていますが、その1種が側頭部のマッサージです。
やり方は、両耳の上2cmほどのところを、掌底(手のひらの付け根)で6~10回グリグリと回す感じで押すだけ。
仕事の合間の休憩時間にやってみるだけで、頭の疲労感がスッキリと取れていくのが感じられるはずです。
「顔が若返っているのがわかる」というクライアントさんもいるそう 。
肩甲骨まわりを緩めるストレッチ(20回)
血液の循環をよくする肩甲骨のストレッチ2つめの柱の「血液の循環をよくする」必要があるのは、血の巡りをよくして筋肉を緩ませると、深く眠れるからです。
また、副交感神経が優位となり、リラックスモードになれるというのもあります。
逆に、こわばった体は血流を悪くし、深い睡眠の妨げとなります。
松本さんが特に指摘するのが、ビジネスパーソンに多い「肩甲骨まわりのコリ」。パソコンに向かって仕事する時間が長いと、猫背気味になって、この部位のコリが出てしまいます。
その対策として、「肩甲骨まわりを緩めるストレッチ」が幾つかあります。
その1つが、座ったままでも行える肩回し。
これは、両手の指先を肩につけ、後ろ側にひじを大きく回すと同時に肩も回すというものです。
目安として20回くらい。こわばっていた筋肉が伸ばされ、血が通って温かくなるのを感じられると思います。
睡眠環境を整える「枕+バスタオル」
3つめが「睡眠環境を整える」。
睡眠の質は意外なほど、寝室の環境(寝具、清潔さ、温度・湿度など)に左右されるそうで、そうした環境条件別の対策も記されています。
寝具については、高級品だから良いとは限らないとのことで、枕も高機能・高価格のものよりむしろ「自分の体とのマッチング」を重視します。
特に、合っていない枕は、高さが高すぎるというパターンが多く、その解消策としてバスタオルを使うやり方が載っています。これは、丸めたバスタオルを枕の手前にくっつけ、ここに首が乗るようにするというもの。
ポイントは、首・肩と敷き布団との隙間を埋めることです。そうでないと肩が浮き、このあたりの筋肉は緊張し続けていまい、安眠の妨げになります。
上に挙げたメソッドは、「濃縮睡眠メソッド」のほんの一部にすぎません。
深い睡眠に導くための多種多様なメソッドが本書にありますが、どれも手軽に実施できるものばかり。
アロマオイルの活用やお酒との付き合い方など、細かい点にも言及されており、一度に全部でなく、できることからやってみるのがよいと思います。
睡眠の改善に関心のある方は、トライして損はないでしょう。
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Source: かんき出版
Image: 『誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠メソッド』,Shutterstock