自分の撮った写真にがっかりしたことはありませんか?
誰でもありますよね。すばらしい写真を撮るのは、思っている以上に難しいというのが事実です。写真というのは、何を撮るかというより、どのように撮るかのほうが大事だからです。
自分の撮りたいように写真を撮る確かな技術を持った人がカメラを構えていなければ、どんなに美しい光景や被写体もひどいものになります。
この“写真を撮る”というプロセス全体を構図と呼んでおり、構図がうまくなりたい場合には、考慮すべきルールがいくつかあります。
注意:
“ルール”と読んでいますが、絶対に変えてはいけないものでもなければ、すべての写真ですべてのルールを忠実に守らなければならないものでもありません。なぜこのようなルールがあるのかを学び、今後写真を撮る時に必要なものを適用していきましょう。
1. 三分割法
多くの写真家にとって、三分割法は最初に習う写真のセオリーです。
三分割法のことはすでに知っているという人は、ここは飛ばして次のセクションに行ってください。三分割法なんて聞いたことがないという人は、よく聞いてください。これは、これから学ぶルールの中で一番役に立ちます。
初めてカメラを手にすると、おそらく被写体を真ん中に置きたくなるのではないかと思います。やはり被写体に注目させたいと思い、注目は真ん中に集まるものだと思いますよね?
それでうまくいくこともありますが、写真の仕上がりが何となくいまいちに感じることも多いです。
ほとんどの場合、完全に真ん中に集中した写真というのはバランス悪いのです。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが本当のこと。人間の頭がちょうど真ん中にあったら、体は下になり、頭の上は何もない空中になり……バランスがよくありません。三分割法はこれを解消する方法の1つです。
写真を3✕3のグリッドで分割したところを想像し、真ん中の四角の4つの角を見てください。その角は、上の三分割、下の三分割、左の三分割、右の三分割、すべての三分割の交差点です。写真を撮る時は、この4つの交差点のうちの1つに被写体を置きましょう。
ストックフォトの専門家は、写真を簡単により魅力的に見せるので、この手法を多用します。ただし、目を見張るほどの素晴らしい写真を撮るには、三分割法だけでは十分ではありません。それでも間違いなく重要な要素です。
2. 黄金比
黄金比は三分割法と似ていますが、もう少し上級者向けです。自然界全体に見られる数学的な概念が元になっており、この概念は、ある特定のものを美的に心地よいと感じる理由を理論的に説明しています。
端的に言えば、黄金比は関係性を表現しています。
数学では、2つの数の比率が、2つの数字の大きいほうと2つの数字を足した数の比率と同じ場合が黄金比です。
この比率は、黄金長方形や黄金螺旋という言葉で説明されることもあり、植物、動物、その他自然の形ではよく見られるデザインです。しかし、要するに簡略化するとこの比率は「1:1.6」ということです。
ある意味、黄金比は空白のスペースと物があるスペースのバランスについて説明しているのです。言い換えると、バランスを取るには、何かがあるスペース1に対して、何もないスペースが1.6必要だということです。そのようにして撮ったのが、上の写真や下の写真です。
普通の写真のように見えますよね? しかし、多くの人が「ルネッサンスの絵画のような」クオリティだと、この写真を称賛しています。結局、この写真は黄金比を完璧に守っているので、すばらしくいい写真に見えるのは当然なのです。
3. ゲシュタルトの法則
1800年代後半、ゲシュタルト心理学という概念が注目されるようになりました。この理論は、一見雑然とした世界において、人間は認識したものにどのように意味を与えるのかを説明しようとするものです。つまり、人間の脳は、どのようにして個別の部分をまとまりのある全体として整理するのか、ということです。
数十年後、写真家たちはこの理論を写真に適用しはじめ、目覚ましい成果をあげました。実際の法則は、少し抽象的で曖昧ですが、一度しっくりいくとわかるかもしれません。大事なポイントは以下の通りです。
- 形状:人間は、周囲との対比によって物を区別する傾向があります。構図を決める時に、被写体を周囲のものと明確に区別することができるところに配置し、見ている人が写真の注目すべきものを認識しやすくなります。
- 近接:人間は近くにある物同士をひとつのグループとして認識する傾向があります。配置や奥行きなどを使い、物を一緒にグループ分けすると、写真全体のバランスを取るのに役立ちます。
- 類似:物のグループの中では、同じグループやパターンの一部として、同じ“種類”の物を認識する傾向があります。物の種類は、色、形、全体的な感覚などで区別されます。
- 閉合:人間の脳は、穴や隙間があっても、輪郭に従ってパターンを認識することができます。それを元に、景色の切り取り方によって、見る人は実際に存在していない形やパターンを認識できるかもしれません。これによって、さらに写真が魅力的になります。
- バランス:三分割法や黄金比で説明したように、バランスは審美的な側面において重要です。対称性という意味もありますが、多くの場合、写真におけるバランス感覚(均等感覚)を意味しています。
繰り返しますが、ゲシュタルトの法則は、わかりやすいルールというより、抽象的なガイドラインのようなものです。理由を説明しようとしていますが、実際はどのようにという指示はほとんどありません。
4. 引き出し線
写真で最も大事な概念のひとつは、見ている人の視線をどこかに引きつける写真にしたいということです。理想を言えば、写真に特定のパスを引きたいです。ほとんどの人の視線は上部の左からはじまり、中心に移りますが、必ずしもそうとは限りません。
見ている人の視線を写真に引きつける一番簡単な方法は、視線の直接的なルートを提供することで、引き出し線によってそれが実現します。引き出し線は、道、フェンス、木の枝、壁、自然の輪郭、シルエットでも何でもいいです。海辺や行列のような、少し曖昧な線でも可能です。
引き出し線の形、方向、奥行きによって、写真の中に躍動感を生み出すことができます。このダイナミズムは、写真を静的で退屈なものではなく、生き生きと活発なものに感じさせます。このエネルギーが、つまらない写真と魅力的な写真の違いになります。
ですから、今度カメラを構えてファインダーを覗いた時は、その景色の中で引き出し線になりそうなものをすべて探してみましょう。身の回りの線を効果的に活用できそうであれば、遠慮せずに止まったり、場所を変えたりしましょう。
5. 前景と背景
ある意味、写真で最高に難しいのは、三次元の美しさと特質を二次元に写し取ることです。生物的なものが何もない光景の場合は、平らで静的でもすばらしい写真になることはよくあります。
二次元の画像を三次元に思わせるように脳をだます方法はたくさんありますが、最も簡単な方法のひとつは、意図的に被写体を配置して、写真の前景と背景を補い合うようにすることです。
上の写真を見ると、木(カメラに近いところにある)と山(カメラから遠いところにある)が一体となることで、比較的三次元的な空間(奥行き)を生み出していることに気づき、その山は大きいと言うことができます。木がなければ、山がどれほど大きいのかわかりません。
前景ー背景効果は、被写界深度を操作することでさらに強調することができます。広い絞り値を使うと、被写界深度が浅くなり、被写体よりもカメラの近くにある物や、被写体よりもカメラから遠くにあるものがぼけます。このぼかしによって視覚的な奥行きが出ます。
上の写真を見ると、前景のノートパソコンと背景のカメラの両方で、描き込んでいる手とタブレットを挟むことで、写真により奥行きや臨場感が出ます。狭い絞り値(ぼかしなし)では、もっと退屈な写真になるはずです。
どのルールを一番使いますか?
忘れているかもしれませんので、もう一度繰り返しますが、写真を撮る度に毎回すべてのルールを使う必要はありません。実際、前述のルールをまったく使わずに、素晴らしい写真が撮れることもあります。
一般的な経験則として、いい写真が撮れない場合は、この記事で紹介したルールを1つ以上使うと、おそらく写真がよくなります。ここで言いたいのはそれだけです。
もっと写真がうまくなりたい場合は、このような無料のYouTubeチャンネルや、素晴らしいオンラインの写真コース、写真家のための秀逸な「Lynda.com」のコースなどをチェックしてみてください。どれも学びを10倍加速してくれます。
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Image: Bullstar/Shutterstock.com
Source: Twitter
Original Article: How to Compose a Photograph: 5 Essential Rules to Follow by MakeUseOf