Business Insider Japanより転載:アマゾンは、常に次のターゲットを探している。
eコマースの巨人は30日(現地時間)、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ、JPモルガンと提携、アメリカ国内のそれぞれの従業員の医療費削減に向け、ヘルスケア企業を共同で設立する計画を発表した。
このニュースはヘルスケア市場に波紋を広げた。ドラッグストアのCVSやウォルグリーンの株価は、時間外取引で4.5%~6%下落し、医療保険のユナイテッドヘルスは6.2%下落したと、ロイターは報じている。
アマゾンは成長に貪欲なことで知られる。そして同社が伸びると、競合他社は苦戦を強いられる。
アマゾンが脅かしつつある、8つの業界をまとめた。
家電
ベストバイ(Best Buy)は何年にもわたってアマゾンに包囲されているが、家電量販店には1つだけ有利な点があった。何らかのトラブルがあったとき、商品に詳しい従業員「プロ集団」がいつでも助けてくれることだ。
だが、Recodeが2017年7月に報じたように、アマゾンは独自の「プロ集団」を作り始めている。同社は「社内にガジェットの専門家を置き、アレクサ(Alexa)に関する相談に無料で応じたり、料金をとって製品を設置する」などしているという。
生活必需品
電池の未来は、オンラインにあるのかもしれない。エナジャイザー(Energizer)のようなメーカーにとっては、悪いニュースだ。
オンラインでの電池の売り上げは現在、全体のわずか約5%に過ぎない。しかしUBSは2017年、投資家に向けたメモの中で、この数字が2025年までに17%まで上昇するとの見方を示している。また、オンラインでの電池の売り上げのうち約90%は、独自のプライベートブランドを展開するアマゾンが占めていることから、エナジャイザーにとっては二重苦となりかねない。
百貨店
アマゾンとの戦いに直面しているメイシーズ(Macy's) やJCペニー(JCPenney)のような百貨店は、苦戦を強いられている。
「2005年以来、(アマゾンがリードする)ネット小売りはアパレル全体の売り上げに278億ドルを貢献してきた。一方で、百貨店は296億ドルを失った」モルガン・スタンレーのアナリストは、2016年のメモに書いている。「この背景にあるのは、1) アマゾンのファッション業界へのさらなる進出と、2) アマゾンでファッション関係の買い物をすることに対する、消費者の意思/受容だ」
アマゾンが6月に始めた、プライム・ワードローブ(Prime Wardrobe)のサービスも「百貨店の寿命をますます縮めるものだ」と、ウェルズ・ファーゴのアナリスト、アイク・ボルチャウ(Ike Boruchow)氏は顧客向けのメモに書いた。
高級百貨店
ノードストローム(Nordstrom)も、アマゾンの影響を大きく受ける、伝統的な小売業者の1つだ。
「アマゾンは彼らよりも消費者をよく分かっている」ノードストロームが2017年5月に報告した業績不振を受け、CNBCのジム・クレイマー(Jim Cramer)氏は書いている。「良く言っても、彼らは未だに手探り状態だ」
10月には、アマゾンによるホールフーズ買収を予見していた、ニューヨーク大学の経営大学院でマーケティングを教えるスコット・ギャロウェイ(Scott Galloway)教授が、次にアマゾンが買収するのはノードストロームだと述べた。
フードデリバリー
2017年9月、アマゾンはオンライン注文会社のオロ(Olo)と提携、フードデリバリー・サービスを加速させ、シームレス(Seamless)の親会社グラブハブ(GrubHub)に戦いを挑んでいる。
書店
アメリカの書店チェーン大手バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)とアマゾンの戦いの歴史は長いが、両者の差は最近特に動かしがたいものになりつつある。
バーンズ・アンド・ノーブルは1月、ホリデーシーズンの売り上げが6.4%減ったと報告している。アマゾンも苦戦を強いられ、同時期で4.5%減少した。
食料品店
2017年8月のアマゾンのホールフーズ買収は、アメリカ国内の他の食料品チェーンに大打撃を与えた。アマゾンの参入により、値下げ合戦が進む可能性もある。
アメリカでは、アマゾンはすでに食料品のオンライン販売最大手だ。市場シェア2位のウォルマートの2倍にあたる18%をアマゾンが占めている。
実店舗へのアクセスを手に入れたことで、アマゾンはアメリカの国内各地に進出することができる。また、同社はこうした店舗を、オンライン注文の流通センターとして使用している。
ヘルスケア
バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ、JPモルガンとのアマゾンの最新事業は、アメリカのヘルスケア市場に大きな衝撃を与えた。
3社はテクノロジーを活用し、それぞれの従業員とその家族に、より妥当な価格で医療保険を提供する方法を検討していると、ロイターは報じた。
「増大する医療費はアメリカ経済をむしばむ飢えた寄生虫のようなものだ」ウォーレン・バフェット氏は語った。「この問題に対し、我々にも答えがあるわけではないが、避けることのできない問題として容認するつもりもない」
Image: Drew Angerer/Getty Images, Shutterstock, Danny Mackiernan/Flickr, Business Insider, Seamless
Source: Reuters(1, 2, 3)Recode
Kate Taylor - Business Insider[原文]