11月8日に皆既月食がありました。京都御苑から眺めてきました。
11月8日の満月は皆既月食となりました。皆既月食は数年に一度しかない現象で、さらに月が欠けたまま出てきたり、欠けたまましずむなど、全行程が見えないこともあるため、今回のようにすべてが見られ、しかも皆既状態の時間が1時間半近くと長いのはとても貴重な機会でした。皆既月食では月は完全に真っ暗にはならず、地球の大気で屈折した光が月を照らすために、月全体が赤っぽくなります。ただ、欠けて行く最中はまだ残っている月の光が強く目に届くため、欠けた部分は暗く見えます。私はこの欠けて行く時間のワクワク感が少年時代から大好きで、事前に「皆既月食は赤くなる」とは聞いていても、もしかしたらこのまま月が真っ暗になるのでは?、と思ってしまいますね。
皆既食の「皆既」という言葉は「みなつきる(皆尽きる)」という意味で、「既」という漢字には「ごちそうをおくび(ゲップ)が出るまですっかり食べてしまう様」という成りたちがあります。日食・月食の「食」の通り「全て食べつくす」という意味とも取れる「皆既」の言葉。古代の人たちは、欠けて行く様子にさぞ驚き、人知を超えた何かが月や太陽を食べると考えたのかもしれません。
2011年の皆既月食のときは京都タワーと一緒に月を眺め、2014年は二条城や神泉苑などから眺めてきました。今回は京都御苑は出かけて、御所の門や塀を背景に撮ってみました。藤原道長が有名な「この世をば 我が世とぞ思う」の歌を、寛仁2(1018)年10月16日に土御門殿で詠んでいます。土御門殿の跡地は現在の仙洞御所の辺り。8日は旧暦だと10月15日ですので、道長の栄華からほぼ1004年目の月でした。近くの清和院御門前で写真を撮りました。
平安時代の天皇や貴族が同じように皆既月食を見たかといえばそうではなく、月食や日食は不吉な出来事とされ、むしろ見ないように室内に籠ってやりすごすものでした。同じものでも時代が変われば、捉え方が変わります。
今回は天王星食もあるという、大変珍しい皆既月食となりました。月を拡大して写真を撮ると、天王星も見えていました。天気に恵まれ、美しい光景を目にすることができました。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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