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高校分野の解法を使って円周率の新しい求め方を証明した(左から)中山啓太さん、丸尾祐希さん、田中陸人さん、宮本陣弥さんと指導した宮寺良平教諭=西宮市高座町
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高校分野の解法を使って円周率の新しい求め方を証明した(左から)中山啓太さん、丸尾祐希さん、田中陸人さん、宮本陣弥さんと指導した宮寺良平教諭=西宮市高座町

 西宮市立西宮高校(兵庫県西宮市高座町)3年の4人が「三角比の定理」などを用いて証明した「円周率の新しい求め方」が、オーストラリアの大学が発行する数学雑誌に掲載された。授業の一環で取り組んだ。高校までで学ぶ公式などを使って証明することは困難とされており、新たな証明方法として評価された。大学受験と部活に励む生徒たちは「答えのない研究だったが、成果を出せて安心した」と快挙を喜んでいる。(久保田麻依子)

 メンバーは、同校グローバル・サイエンス科の田中陸人さん(17)▽中山啓太さん(17)▽丸尾祐希さん(17)▽宮本陣弥さん(18)。臨時講師の宮寺良平教諭(67)が指導した。

 研究を始めたのは1年生だった2021年9月。身近な疑問を出発点に深く探究する授業の中で、田中さんが高校受験の問題集から着想を得たのが、「円の面積と内接する多角形の面積は近似する」というテーマだった。

 4人は週1回の授業で、それぞれの知識や解法を議論した。中山さんや丸尾さんは「『この解法ならできる』と思っても、計算していくうちに複雑化していき、1回の授業では何も得られないこともあった」と振り返ったが、半年ほどかけて挑んだ末、高校1年で習う「三角比の定理」などを用いて、スムーズに証明できることが分かった。宮寺教諭は「私がほとんど口を挟むことなくやってのけた。円周率の証明は伝統があるが、高校生が学ぶ知識で解けたということに大きな意義がある。数学界でいうと“エレガント”な証明」と太鼓判を押す。

 4人は14ページの論文にまとめ、宮寺教諭が英訳の補助を行った。今回掲載されたのは、オーストラリアの国立ニューサウスウェールズ大が発行する「Parabola(パラボラ)」59号(4月30日付)で、特に注目すべき記事として取り上げられた。宮本さんは「答えにたどり着くまでの過程を導くために、自分たちなりに試すことに楽しさを感じた」と喜ぶ。数学の研究者を目指す田中さんは「諦めないで続けていけば道は開ける、という自信につながった。これからも大好きな数学に関わっていきたい」と力を込めた。

 4人は受験勉強の傍ら、今回得られた発見を応用し、新たなテーマの証明にも挑む。

 原動力は、尽きぬ探究心だ。

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