5月28日より塾長に就任しました伊藤公平です。就任早々、待ちに待った素晴らしいニュースが入ってきました。政府による新型コロナウイルスワクチン職域接種プログラムの発足です。これは企業・大学単位で従業員や大学生にワクチンが接種できるようにするものです。そこで慶應義塾では、まずは三田キャンパスにワクチン接種会場を設置し、政府が認める最速のスケジュールである6月21日から毎日1, 000名以上の接種を可能とし、総数としてはまずは50,000人分のワクチンを確保する予定です。50,000人の根拠を説明します。義塾教職員は一貫教育校も含めて約3,000人*、大学生・大学院生は約34,000人ということで合わせて37,000人となります。ということはまだ13,000人分が余るわけですが、これは非常勤講師、特任教員、研究者、非常勤職員、そして、塾雇用でなくても清掃業者、生協、警備員の皆様といったキャンパスで働く方々を接種対象とする予定です。要は、キャンパスにおける集団免疫獲得に向けて努力するということで、このことにより、昨年4月より大幅な制限を受けてきた、キャンパスライフを奪還するということです。授業や研究環境、すべての課外活動を活性化し、留学も推進するということです。今回供給を受けるワクチンは18歳以上への接種が認められたモデルナ社製です。よって塾生としては現時点では大学生と大学院生のみを対象とし、高校以下の一貫教育校生徒は対象としません。ただし一貫教育校の教職員は当然接種できます。
ワクチン接種会場を開設するためには実はいくつもの条件をクリアしなければなりません。ワクチンの打ち手に加えて、効率的に接種を進めるためには、ワクチンを注射器に正確に充填する薬剤師の方々や、接種前の問診を担当する医師、接種直後の経過を観察する医師、さらには、ワクチン会場での副反応に対応する医療・看護体制を整える必要があります。これができるのが、病院・医学部・看護医療学部・薬学部・保健管理センターを有する総合大学である慶應義塾なのです。とは言っても、慶應義塾大学病院はオリンピック・パラリンピックメインスタジアムである国立競技場に隣接しているため、オリパラ対応として医療スタッフを充実しなければならないうえ、現在も進むコロナ禍による新型コロナウイルス患者対応でも大忙しです。そのように逼迫した状況においても、病院の医師・看護師・薬剤師・職員の方々が支援してくださるのです。さらに医学部・看護医療学部・薬学部(含む、共立薬科大学)の卒業生の方々が「塾生のためなら」と声をあげてくださり、慶應義塾におけるワクチン接種に協力してくださることになりました。感動的な卒業生の皆様のお気持ちと行動力であり、感謝の気持ちしかございません。接種を受ける皆さんも是非とも、慶應医療の方々と、卒業生の皆さまへの感謝の気持ちをもって会場にお越しください。
ワクチン接種は、もちろん任意で、希望者のみの申し込み制ですが、塾生諸君には是非、積極的にワクチン接種を受けてもらいたいと願います。副反応を心配されるかもしれません。実際に若いほど副反応は強い傾向がありますが、その分、抗体も多くできます。そして何よりも君たちが望むキャンパスライフが奪回でき、さらには留学も可能になります。自分のためだけではなく、義塾におけるキャンパスライフを確立するため、そして、日本からコロナをなくすためにも是非、ワクチンを接種してください。
課外活動に関しても、ワクチン接種を皮切りに、塾公認団体であれば体育会やサークルの区別ない平等な活動再開を目指します。塾生のワクチン接種が終わらない夏休みに関しては、PCR検査によるモニタリングを活用することで塾生たちが夏休みから課外活動できる方策を思案中です。学生団体ごとに感染予防対策も作成・提出してもらい、その内容が十分となったうえで活動再開を認める方向を考えています。もう少々お待ちください。
さて最後にとても大切なことを伝えます。よく聞いてください。先ほども話した通り、企業や大学でワクチン接種会場を設置することは容易なことではありません。よって、慶應義塾の塾生や教職員が、他の国民の方々より先行してワクチンを接種することになります。この目的はあくまでも、安全な学習・研究・課外活動・留学環境を整えることであり、決して、楽しい食事会や飲み会や旅行を再開するためではありません。楽しい食事会や飲み会や旅行を諸君が再開し、その勢いで、公の飲食店で騒ぎ、三田、日吉、湘南台界隈で騒ぎ、旅行先で迷惑をかけるようでは、慶應義塾が目標とする「全社会の先導者」のまったく逆、社会を悪い方向に導いてしまいます。気品の泉源、すなわち、気品が溢れ出る泉としての理想を意識し、国民全体にワクチンが行き渡り、社会全体として安心感が得られるまでは、慎んだ日々を送ってください。