記者の視点=川崎総局編集委員・石橋学

菅義偉氏を首相にしてはならない。そう確信するに足る、醜悪かつ退廃の光景を目の当たりにしたのは2週間前、総裁選への出馬表明の会見でのことだった。
女性記者が質問を始めるや、せせら笑う菅氏の姿をニュースサイトの動画で確かめることができた。続く問いに菅氏はいらつきを隠そうとせず、進行役を任せた県内選出の国会議員に質問を切り上げさせようとしたのだった。
質問したのは東京新聞の望月衣塑子記者。官房長官会見で司会の報道室長から毎回、それも再三「質問は簡潔に」と問いを遮られ、しまいには指名されなくなるという排除を受けてきた。
まつろわぬ者への見せしめはそのまま繰り返された。あからさまな見下しと一連の振る舞いは、質問の仕方や記者自身に問題があると見る者に思わせ、言い逃れを許すまいと熱意を込めた追及を無効化させるものだ。なるほど回答はひどいものだった。
「自民党総裁になったら番記者の厳しい追及に応じるか」との問いに、「限られた時間の中でルールに基づいて記者会見は行っております。だから早く結論を質問すれば、それだけ時間が浮くわけであります」。