「テレグラム」や「シグナル」というアプリを聞いたことがあるだろうか。一定期間でメッセージが消える機能があり、通信経路が全て暗号化される秘匿性の高い交流サイト(SNS)だという。若者らに強盗や特殊詐欺の実行役を担わせる「闇バイト」など、犯人グループが連絡手段として使うことでも知られる。間もなく成人式。新成人となる人たちにも、犯罪に巻き込まれる前にどんなアプリなのか知ってほしい。そんな思いを込め、20代の記者2人が体験した。

秘匿性の高いSNSのテレグラム(左)とシグナル

メッセージ消える

 両アプリともApple(アップル)が運営するアプリ配信サービス「App Store(アップ ストア)」の「ソーシャルネットワーキング」部門で上位に入っていた。Google(グーグル)が運営する「Google Play(グーグル プレイ)」ではテレグラムが10億以上、シグナルが1億以上ダウンロードされている。

 まずはテレグラムから。日本語非対応で、設定は全て英語だった。インターネットで調べながら、慎重にアカウントを作成した。

 電話番号を入力し、SMS(ショートメッセージ)に送られてきた番号を入力して本人確認をした。ここまでは他のアプリでもよく行われる手順だ。だが、直後にスマートフォンに登録された連絡先の共有を求められた。テレグラムを利用している友人らと自動でつながれるようだが、「悪用されたらどうしよう…」と不安になった。連絡先を共有しなくても使えることが分かったが、チャットを始めるまでの過程が煩雑で、犯罪グループの指示に訳も分からず従ってしまいそうだ。

 個別に作ったIDを教え合ってアカウントを交換し、メッセージを始めたが消えなかった。「シークレットチャット」のモードに変更しないと、他のSNSと同様の使い方のようだ。

スクリーンショットをすると、相手に通知された

 メッセージが消える時間は1秒単位から1週間まで選べた。試しに1分に設定した。すると、しゅわしゅわと泡のように、過去のやりとりが消え去った。思わず2人で「消えた!」と興奮してしまった。画面を保存するスクリーンショットをしたら相手に通知される仕組みで、撮影した画像には会話の履歴が全く写っていなかった。

記者が試したテレグラムでのやりとり。一定時間が経過するとメッセージが消えた