各界で活躍する群馬県ゆかりの著名人に、現在の自分のベースとなった学校生活や地元への思いなどを聞く「わたしの教室」。初回はアイドルグループの一員としてファンを魅了し、卒業後はミュージカルを中心に俳優や歌手として活躍する田村芽実さん(24)=伊勢崎市出身。地元の学校に通いつつ東京都内でのアイドル活動をこなした中学時代など、これまでの道のりを振り返る。

 

 ―小学生の頃からミュージカルに出演し、中学生でハロー!プロジェクトのスマイレージ(現アンジュルム)に加入した。

 劇団四季や宝塚歌劇団(宝塚)をよく見ていて、芸能界というより舞台の世界にずっと憧れていた。子役として出演したミュージカルでスマイレージの初期メンバーと共演した時、「アイドルってかわいくて、優しくて、歌もダンスも上手なんだ」と気づき、応援するようになりました。2期メンバーの募集を聞き、また会いたくて応募しました。

 ミュージカル俳優を夢見ていたので、アイドルは想像と違う道のりでしたが、大きな経験になりました。

 

 ―中学時代は伊勢崎市内の学校に通いながら、東京都内での仕事をこなした。

 朝学校へ行き、給食を食べる前に早退し、仕事に向かう電車の中で宿題をするという毎日でした。同級生たちに追いつくため、朝の3時まで勉強して、少しだけ寝て学校に行く時もありました。

 それでも諦めなかったのは、学校の先生方が芸能活動に寛容な人ばかりで、皆さんが応援してくれたからです。支えてくれた人への感謝の気持ちもありました。この先、学業より仕事が中心になると感じていたので、最後の義務教育期間はしっかり勉強したいと思っていました。

 

 ―舞台での経験から学んだことも多い。

 舞台は物事に興味のきっかけをくれ、多くのことを教わりました。例えば、小学1年の時に初めて見た宝塚の「ベルサイユのばら」でフランス革命に関心を持ったり、他のお芝居から科学に興味を持ったり。そして、心に響いたことを学校の授業で学んだ時、点と点が線でつながるような瞬間がすごく楽しかったんです。

 ―芸能活動で心がけていることは。

 このお仕事は短期間で現場が変わっていく。ミュージカルなら数カ月、テレビや映画などの撮影は1日で終わることもある。その分、出会いはたくさんあるけど、また一緒に働けるかは自分の頑張り次第。期待を超える仕事をしないと次につながらないので、一つ一つの作品に丁寧に向き合い、ストイックにやらないと、と思っています。

 

 ―コロナ下の2020年に配信ミュージカル、23年春に朗読音楽劇を企画するなど、最近は創作活動にも力を入れている。

 自分自身を見詰め、違った自分に出会いたくて始めた。朗読音楽劇は脚本と演出、作詞、出演を1人でこなした。3年前から趣味で小説を書いていて、やっと人さまに聞いてもらえる段階になったかなと思い、書き下ろしました。

 表現という意味では、文章もお芝居も歌も同じだと思う。ゆくゆくは小説を出版したい。以前は大きな夢だったけど現実味を帯びてきたと感じています。

 ―NHK連続テレビ小説「らんまん」にも出演予定だ。

 6月から大畑佳代役で出演します。普段は舞台の出演が多いので、テレビを通して群馬で応援してくださっている方々に見てもらえるのがとてもうれしい。コントみたいなシーンが多い役なので、主人公の人生を丁寧に描いている物語の中で、箸休めのような感覚で気楽に見てほしい。

 同月下旬からは、音楽劇「ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~」で、主人公が恋に落ちる女性を演じます。いつか県内でもミュージカルを披露したいなと思いながら頑張っています。

 

 ―今後の目標は。

 自分の世界を発信できる表現者になりたい。どんな役を演じても唯一無二の表現ができるような歌とダンス、芝居の3拍子そろった俳優さんが理想。実は賞や役といった具体的な目標はあまりなくて、1人でも表現ができる俳優になりたい。

 ―プライベートでは、古民家で暮らすなど、レトロで丁寧な生活を楽しんでいる印象だ。

 木造の古民家に住みながら、花を育てている。古い物や自然という好きなものに囲まれていると、空間自体が癒やしとなる。仕事が忙しくても、家に帰ると安心できます。

 こうした生活と直結した仕事もしてみたいです。まだまだ知識は浅いけど、古い暮らしを発信していけたら楽しいと思う。

 

 ―群馬の郷土愛は。

 地元への愛はとても強いです。私自身が育った場所で、その良さもよく知っているから。今の仕事を活用して、本格的に地元の力になりたいです。

 先日、前橋で街の活性化に向けて頑張っている方々と話して商店街を見て、さらに盛り上げたいと思った。例えば都心の人が群馬の温泉で羽を伸ばす時、前橋に寄って一休みするようになれば。自分で企画を準備して、意思を伝えていきたい。

 ―読者にメッセージを。

 地元への思いは強くなっています。本業を頑張りつつ、群馬でのお仕事やイベントにも取り組みたい。機会があればぜひ会いに来ていただき、一緒に盛り上げていけたらうれしいです。

群馬のおすすめ

 

 前橋市中央児童遊園「るなぱあく」のそれだけで絵になるような箱庭感がとてもかわいい。商店街も近くて、あの街一帯はすごく好きなスポットの一つ。

 

 グルメでいうと、焼きまんじゅうがとても好きで、帰省する度に食べます。なんで群馬でしか愛されていないんだろうと思う。特に、伊勢崎市民病院近くの忠治茶屋連取店はよく行きます。思い出すだけでよだれが出るくらい大好き。

 
【プロフィル】たむら・めいみ 1998年、伊勢崎市生まれ。ミュージカルの子役として活動後、2011年10月にハロー!プロジェクトのスマイレージ(現アンジュルム)の2期メンバーとしてデビューした。現在は俳優業を中心に活躍。6月は、NHK連続テレビ小説「らんまん」と音楽劇「ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~」に出演する。