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2024年10月19日(土)

女性差別撤廃 著しい遅れ

8年ぶり日本審議 「議定書批准 次回までに」

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(写真)国連の女性差別撤廃委員会の委員たち=17日、ジュネーブ(吉本博美撮影)

 【ジュネーブ=吉本博美】スイス・ジュネーブの国連欧州本部で17日、女性差別撤廃委員会による女性差別撤廃条約の履行状況を確認する日本報告審議が行われ、「先進国の中での取り組みが著しく遅れている」と厳しい指摘が相次ぎました。同審議が行われるのは8年ぶりです。

 日本政府は、内閣府の岡田恵子・男女共同参画局長らが法改正や実態調査・公表を通じて状況改善に努めていると報告しました。

 市民社会が求めている女性差別撤廃条約選択議定書の批准について政府は「注目すべき制度だ」としつつ「検討を続ける」と、従来の答弁を繰り返しました。傍聴席から落胆の声が上がりました。

 委員は「次回報告審議までに批准を」と改めて求めました。

 日本女性の9割以上が結婚時に名字の変更を強いられ、手続き負担や精神的苦痛を受けていることから、選択的夫婦別姓制度の導入が求められていると委員から追及され、政府は「国内でさまざまな議論がある」と従来の否定的な答弁に終始しました。

 5時間にわたった質疑では、賃金や雇用、政治分野での女性進出をはじめ多くの議題が上がり、委員から、日本社会に根付く家父長的な風潮が「女性への構造的差別を生んでいる」との指摘がされました。

 ▽政治家や公職者の性差別発言▽メディアによるステレオタイプ(固定観念や思い込み)の助長▽マイノリティー女性が受ける複合差別―などへの懸念や対策も求めました。

 また、沖縄など在日米軍による性犯罪の新たな問題が取り上げられ、日本軍「慰安婦」問題の解決、包括的性教育の推進、最低保障年金制度の導入や所得税法第56条の廃止なども指摘しました。

 議長は閉会にあたり、日本政府に女性への差別をなくすためにこれから出される勧告の実施を強く求めました。

 女性差別撤廃委員会は、日本政府への勧告を盛り込んだ総括所見を月内に発表する予定です。

 選択議定書 女性差別撤廃条約の実施を補完するもので、条約上の権利を侵害された個人が、権利救済を女性差別撤廃委員会に直接訴えることができる個人通報制度と、女性差別撤廃委員会が締約国を調査する調査制度を規定しています。


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