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2023年10月9日(月)

きょうの潮流

 「むちゃくちゃだ」「現実からかけ離れている」。保護者からは怒りや不安の声がわきあがっています。虐待する親にされてしまうかもしれないと▼子どもだけで登下校させる、公園で遊ばせる、お使いに行かせる。子どもだけ家に残してごみ出しや回覧板で外出する―。これらを虐待とみなすというのが、埼玉の自民党県議団が出した虐待禁止条例の改正案です▼同県議団は子どもが放置されている状態を虐待と定義。県民には通報の義務を課すとしています。ネグレクトや車内への置き去りがたびたび問題になっているとはいえ、ここまで対象を広げては保護者を追いつめるだけです▼先の事例は共働きやひとり親世帯をはじめ、日常の中で当たり前のようにみられる光景です。低い賃金で長時間働かせ、家族や女性に子育てを押し付ける。そんな社会の実態を見ずに、さらに子育ての負担を強いるとは。そうした環境を放置し続けてきた自民党こそ、市民への虐待ではないのか▼改正案は6日の委員会で公明党も賛成し可決、13日の本会議で採決されようとしています。それを阻止するため、県民や民主団体が次々と声を上げ、オンライン署名も立ち上がっています。埼玉は学童の待機児童数で全国トップクラス。まずは子育てを支える仕組みの充実が先だと▼社会の実情に合った制度の導入を阻み、古い家族観や性別役割、保護者への子育て責任を強要してきた自民党。こうした動きに歯止めをかけるためにも世論の力で撤回に追い込みたい。


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