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ユーザー中心主義の開発者向けプラットフォームとプラクティスで顧客満足度を向上させる方法とは

原文リンク(2024-11-21)

「ユーザーに焦点を当てることで、プラットフォーム開発チームは開発者の真のニーズに応えるプラットフォームの構築を実現できる」とAna Petkovska氏がQCon Londonで語った。彼女は「Delight Your Developers with User-Centric Platforms & Practices(ユーザー中心主義の開発者向けプラットフォームとプラクティスによる顧客満足度の向上))」という講演の中で、自チームのデベロッパーエクスペリエンス(DevEx)グループや提供する製品・サービスを紹介した。

「開発者の真のニーズを理解するためには、プラットフォームの構築以前に、開発チームが開発の全段階においてユーザー中心主義であることが望ましい」とPetkovska氏は語る。問題が発生したときにサポートを提供するだけでなく、プラットフォームの導入や利用を促進するためにも開発者との密接な連絡を取り合うべきである。

目標は、利用や導入のしやすいプラットフォームを設計することだ。目標の実現のために、Petkovska氏は、今後はユーザーフィードバックに基づいたプラットフォームを重点的に開発することを提案した。

Accelerate State of DevOps 2023の年次レポートに示されているように、ユーザーエクスペリエンスの向上をはじめとして、ユーザー重視の姿勢がプラットフォーム開発チームにもたらすメリットには下記があげられる。「チームの業績を伸ばし、職務満足度の向上につながる」とPetkovska氏は主張する。

Petkovska氏は、自チームの発足当時は、製品開発チームの開発プロセスやリリースプロセスの改善に加えて、CI/CDツールの改善を通したデベロッパーエクスペリエンスや生産性の向上に焦点を当てる1チームであったと述べた。その後、インフラ開発とリリースに焦点を当てた別のチームが加わり、DevExグループとして編成された。最終的に、データインフラストラクチャを管轄し、その活用のためのツールやベストプラクティスを開発チームと提供するチームが結成されたという。また、Petkovska氏は次のように説明した。

チーム全体で自社開発プラットフォームやツール、サービスを提供して開発チームの製品開発を容易にするだけでなく、開発者の生産性やデベロッパーエクスペリエンスの向上にも貢献しています。

アクセス権限管理、リポジトリの管理、ビルドツールの設定などのさまざまなにニーズに対応したセルフサービス型プラットフォームを提供することで、開発者が必要なものを必要なときに自律的に入手できるようにしている、とPetkovska氏は言う。また、これにより、開発者が価値の提供に集中しやすくなるため、組織全体の生産性も向上する。DevExに注力するプラットフォーム開発チームでは、生産性における相乗効果が得られる場合が多い。

日を追うごとに、私たちのプラットフォームを利用する製品開発者全体の生産性が向上しています。

InfoQは、ユーザー中心主義のプラットフォームの開発と提供に関して、Ana Petkovska氏にインタビューを行った。

InfoQ: 自社製品としてプラットフォームを扱うためにどのような戦略を掲げていますか?

Ana Petkovska氏:私たちのプラットフォームを社内のエンジニアリング組織に向けて「社内で販売」するソフトウェア製品として考える場合、一般のソフトウェア会社への販売と関連付けることが容易です。社内販売の場合も、同様のプラクティスを適用することができます。

  • 私たちのチームでは、製品開発者はプラットフォームのユーザーであると認識するようにしています。これにより、開発者の真のニーズに合わせたプラットフォームのカスタマイズが可能になります。
  • 私たちはプラットフォームを製品として扱っており、プロダクトマネージャー(PM)の役割をテクニカルプラットフォームグループのマネージャーとチームのテックリードで分担しています。
  • 各チームごとに次のプロジェクトを盛り込んだロードマップを維持・公開しています。そのため、エンジニアリング部門の誰もが、過去に何を達成し、次は何を目指しているかを把握することができます。
  • 他のすべてのプロダクトチームへの利用解禁に先駆けて、アーリーアダプターとしてパイロットチームにプラットフォームの技術プレビューを実施してもらっています。
  • プラットフォームの開発において、ユーザーからのフィードバックを優先して取り入れるようにしています。例えば、オンボーディングや導入の段階で、開発者によるプラットフォーム導入の妨げやユーザーエクスペリエンスの低下につながる機能の欠落に関する指摘が得られるかもしれません。
  • プラットフォーム利用促進や、導入の簡易化、サポート提供のために、ユーザーとの間で確かなコミュニケーションチャンネルを構築しています。

InfoQ: プラットフォームのユーザーとはどのようにコミュニケーションをとっていますか?

Petkovska氏:種類や目的に応じたかかわり方を実施しています。

  • DevEx Connectという週1回のミーティングを設け、実施予定の重要な変更についての情報を開発者チームに提供しています。こうしたミーティングを通じて、開発者への進捗状況や重要な変更点の共有や、質疑応答、フィードバックの機会を得ることは、チームで構築したプラットフォームの導入する必要がある場合に、とりわけ役立ちます。
  • 日々の作業中に発生した問題については、開発者向けにプラットフォームチームの所有するツールやサービスのサポートチケットを開くための専用Jiraボードを用意しています。
  • プラットフォーム開発チームが所有するすべてのものについて、ドキュメントを作成し、プラットフォームの使用方法に関するガイドや使用例を提供しています。
  • 新しいCI/CDツールの提供や移行のような大きな変更については、製品開発チーム向けのワークショップやトレーニングも開催しています。
  • 大きな変更の採用については、専用のコミュニケーションチャンネルを設けています。こうした専用チャンネルは極めて有用で、コミュニティの形成やプラットフォームの使用経験の共有を通して製品開発者同士が互いに助け合うことができます。
  • 簡単な問い合わせであれば、パブリックコミュニケーションチャンネルからの連絡も可能です。

InfoQ: プラットフォームチームに向けて、社内のデベロッパーエクスペリエンスを向上させるためのアドバイスはありますか?

Petkovska氏:プロダクトチームやプラットフォームチームの開発者の生産性とデベロッパーエクスペリエンスを向上させるためは、 ユーザー中心主義のプラットフォームやプラクティスに注力することが大切です。

  • まずは、DevExに改善をもたらすことができるよう、しっかりとしたプラットフォームチームの構築から始めることです。
  • セルフサービス型プラットフォームを構築する際には意図を明確にし、製品として扱うことです。構築にあたっては、ユーザーのニーズが理解できているかを確認することも必要です。
  • また、ユーザーへプラットフォームの導入方法を紹介するだけでなく、積極的にコミュニケーションをとることも重要です。

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