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実写化映画『見える子ちゃん』は怖い?|原作・アニメとの違いと感想レビュー

クライマックスは「あっ」と驚くコメディ・ホラー!

映画『見える子ちゃん』実写化感想レビュー

ホラーとコメディの境界線を行き来する異色作であり意欲作『見える子ちゃん』が、ついに実写映画化を果たした。日常に突如現れる“見えてはいけないもの”と、必死に平静を装おうとする女子高生・四谷みこ(原菜乃華)の姿を描く本作は、恐怖と笑いが同居する独特の緊張感が大きな魅力である。アニメ版や原作漫画で人気を集めた世界観が、実写映画ではどのように表現されたのか――その仕上がりをレビューする。

私はアニメ版『見える子ちゃん』を視聴済み。映画の予告動画を観た際、アニメ版『見える子ちゃん』で四谷みこ役を演じた声優・雨宮天がナレーションを担当していることにすぐ気付いた。ファンにとっては細やかな演出だが、もうその時点で映画スタッフの、原作やアニメへのリスペクトが感じ取れる。近年の漫画やアニメからの実写映画化は目を見張るものが多い。ついこの間までは、その仕上がりに酷評される作品も多かったが、もうその域を踏み越えたといった印象を受ける。今回はどんな手法で視聴者を魅了してくるのか、お楽しみだ。

※ネタバレは控えていますが、新鮮な気持ちで本作を視聴されたい方はご注意願います。

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『見える子ちゃん』あらすじ

ある日突然、普通の女子高生・四谷みこは、人ならざる異形の存在が“見えてしまう”ようになる。彼女の周囲には、誰も気づかない怪異が日常的に現れるが、みこは怯えながらも「見えていないふり」を貫き通そうと決意する。友人や家族との関係を守りながら、恐怖をやり過ごす彼女の前に、次第に避けられない運命が迫っていく。

実写映画『見える子ちゃん』概要・キャスト・魅力

実写映画版『見える子ちゃん』では、主人公の四谷みこ(原菜乃華)が本人の意思とは関係なく“この世ならざるもの”を見えてしまう体質であるにもかかわらず、必死に「見えていないふり」をし続ける姿が描かれる。原作やアニメと比較すればシナリオにはオリジナル要素も多く取り入れられており、ファンにとって新鮮な仕上がりになっている。

登場キャラクターは、おおむね原作を踏襲。四谷みこの親友百合川ハナ( 久間田琳加 )、霊能力者志望の二暮堂ユリア(なえなの)、臨時教師の遠野善(京本大我)などが軒を連ね、キャストの再現度も見どころのひとつだ。

映画『見える子ちゃん』の舞台は、文化祭を控えた茶臼山女子高等学校。四谷みこのクラスでは定番の「お化け屋敷」を催すことになるのだか、そこに幽霊が出現し、さまざまにトラブルを起こしていく。

ストーリーは単純明快でわかりやすく、起承転結を楽しむ映画というよりは、幽霊なのにコメディというそのシュールさを面白がるように作られている。幽霊の描写もリアルでGOOD!幽霊がリアルとは自分で言っててもおかしく感じるのだが、つまりそれだけ雰囲気があるということだ。それなのに笑えて面白い!その独特のギャップが本作の魅力である。その点で言えばストーリーにも、もっと厚みがあってほしかったところではあったが、後述するクライマックスでの展開でそれを吹き飛ばすような仕掛けがあり、度肝を抜かれた。

ホラー映画としては恐怖演出が抑えられているものの、要所要所ではしっかり緊張感を保たせ、最後まで目が離せない構成になっている。ホラー初心者でも楽しめる一方で、コメディ要素との絶妙な融合によって、従来のホラー映画ファンにとっても新しい体験を提供している。

幽霊に驚く女子高生

『AIによる幽霊に驚く女子高生』

 

クライマックス感想と叙述トリックの魅力

実写映画『見える子ちゃん』のもっとも注目すべきポイントは、間違いなくクライマックスの展開だろう。主人公・四谷みこが“この世ならざるもの”を見えているにもかかわらず、あえて「見えていないふり」をし続ける――この独特の設定を逆手に取った叙述トリックは実に秀逸だった。「ああ、たしかにアニメでもそういう設定だったっけ」と思い出させ、そしてやや物足りなさを感じていたストーリーが一気に炸裂し、私を驚愕させた。

さらには、そのトリックは二段構えで仕込まれており、驚きの上にもう一つ驚きを重ねるという妙手をやってのけている。あのシーンの真実、この場面の意味が次々と明らかになることで、違和感や心に引っかかっていたシーンが“浄化”され(幽霊映画なだけに)、あんまりカタルシスって言葉は使いたくないんだけど、これはまさにホラー映画におけるカタルシスと呼ぶべき瞬間であった。

このラストの感覚はアレだ、前田敦子主演の映画、『イニシエーション・ラブ』に似ている。私はアイドルには全く興味がないが、あの映画の前田敦子は可愛かったよね。

『イニシエーション・ラブ』では私は視聴途中におおよそ気付いてしまったが、『見える子ちゃん』実写版はその雰囲気の緩さゆえ最後まで油断しており、見事に裏をかかれた。ホラー×コメディ作品でここまでの仕掛けを用意しているのは稀有であり、視聴者を大いに楽しませてくれる。

とにかく、映画『見える子ちゃん』のラストには予想を裏切る仕掛けが待っているのだ。真実はその目で、ぜひ確かめてほしい。

 

映画『見える子ちゃん』は怖い?ホラー要素を徹底レビュー

映画『見える子ちゃん』をインターネット検索すると「見える子ちゃん 怖い」という関連ワードが出てくる。つまり、実写映画版を観たいけれどホラー要素が気になる人が多いということだろう。ここでは、本作の“怖さ”について解説していく。

幽霊の造形は怖い?

主人公・四谷みこが見えてしまう“この世ならざるもの”そのものの造形についてだが、そのディティール自体は非常に完成度が高い。見た目だけで言えば「怖い」部類に入るだろう。アニメ版でも禍々しいタッチで描かれていてそれなりに狂気めいているが、やはりイラストではあるので実写版ほどではないと私は感じる。実写映画版の方がリアルで迫力があるだろう。

恐怖演出は抑えめ

恐怖演出についてはかなり控えめで、いわゆるジャンプスケア(突然の脅かし演出)は全くない(と私は思う)。その点では同じホラー作品でも映画『8番出口』の方が圧倒的に怖いだろう。

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昼間のシーンが多く見やすい

画面が暗いシーンは一部だけでほとんどは昼間に物語が展開され、いわゆる「見えない恐怖」というものもない。『見える子ちゃん』はホラー映画の部類ではあるが、恐怖体験を楽しむというよりは、むしろ見た目が怖いのに「見えていないふり」をしている四谷みこの反応の面白さに焦点を置いている印象だ。

ストーリー面の怖さは弱い

映画版はオリジナル要素が強く、アニメと違って序盤から積極的に霊を払おうと奮闘する展開だが、それにも特に怖さを感じるところはない。唯一挙げるなら、遠野善というキャラクターが持つアダルトチルドレン的要素が精神的にじわじわ効いてくる部分であろうか。

.「アダルトチルドレン(Adult Children)」とは、子ども時代に家庭環境の影響で心に傷や不安を抱え、それが大人になってからも生きづらさとして表れる人を指す言葉である。.

こうした人間ドラマ的な部分は、韓国映画『毒親』のような、何とも言えない悲痛さを覚える。

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怖さは控えめで初心者でも安心

総じて映画『見える子ちゃん』は「怖くないホラー映画」と言える。とは言え、これは私の見解であって、「意外と怖かった」という感想もSNSやレビューサイトでは散見される。参考程度にして欲しいが、ガチ恐怖という作りではないことは確かだ。少なくとも大島優子主演の映画『テケテケ』の方が恐怖演出としては上だろう。

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ꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀꕀ

ホラーが苦手な人でも問題なく楽しめるレベルであり、子どもでも観られると私は思う。どうしても勇気が持てないという人は、まずはアニメ版『見える子ちゃん』から視聴してみるのも良いだろう。さらに恐怖は軽減される。最終的には、ぜひアニメと実写映画の両方を味わってみてほしい。

 

こんな人にオススメ!

映画『見える子ちゃん』は、ホラー映画でありながら笑える要素が強く、観る人を選ばない仕上がりになっている。以下のような人には特にオススメだ。

  • ホラーは苦手だけど、ちょっとスリルを味わいたい人
  • コメディと恐怖のギャップを楽しみたい人
  • アニメや原作ファンで、実写版の新しい解釈を体験したい人
  • 「叙述トリック」や意外性のある展開が好きな人

ホラーの定番演出に飽きてしまった人や、友人と一緒に盛り上がれる映画を探している人にも向いている。

 

まとめ

実写映画『見える子ちゃん』は、たしかにホラー的要素はあるがそれだけでなく、恐怖と笑いを巧みに織り交ぜた異色作である。四谷みこの「見えているのに見えていないふり」というユニークな設定を活かし、驚きのクライマックスへと視聴者を導く。その演出は、原作ファンだけでなく初見の人にも十分に楽しめるだろう。ホラー初心者からコメディ好きまで、幅広い層におすすめできる映画である。

 

映画『見える子ちゃん』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:中村義洋
  • 出演:原菜乃華, 久間田琳加, なえなの, 山下幸輝, 堀田茜, 高岡早紀, 京本大我, 滝藤賢一
  • 公開年:2025å¹´
  • 上映時間:97分
  • ジャンル:ホラー, 青春, コメディ
  • 配信:Amazonで『見える子ちゃん』を見る
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