シンガポールマネジメント大学春季講座 体験談1
体験談1 2016年度参加 経済学部4年 R・Sさん
"勉強面ではハードな面もありましたが、その分プログラムが毎日充実しており、春休み最大の思い出となりました。"
【シンガポールでの授業について】
このプログラムの大きな目的は、理論と実践の両面から、3週間かけてソーシャルイノベーションに対する理解を深めることです。モジュールと呼ばれるひとつひとつの授業の形態は、本大学のソーシャルイノベーションを研究しているLien centerのスタッフの方々によるレクチャー、ケーススタディ、企業や施設への現場視察など多岐に渡り、時にはゲストスピーカーを招いてお話を伺うこともあります。これら複数のモジュールを一日にこなしながら、それと同時並行で、プレゼンテーションの準備も進めていきます。
モジュールの多くを占めていた、Lien center の方によるレクチャーについてもう少し深く述べたいと思います。10人ほどからなるLien Centerのスタッフの皆さんは、本プログラムをオーガナイズしてくださっており、とても国際色豊かです。その方々が順番交代に講義をされるのですが、初めはあまりなじみのないソーシャルイノベーションに対する定義から始まりました。リーダシップや企業のプロジェクトに対するimpact evaluation(影響評価)について学ぶ回、検閲のあり方について理解を深める回など、内容が高度なものも多くありましたが、今まで触れたことのないテーマばかりでとても興味深かったです。どのモジュールでも必ず、ディスカッションや質問をする機会があります。日本人は黙りがちなのかと思いきや、皆次々と発言するため、毎回とても刺激を受けます。
決して一方的ではなく、双方向のコミュニケーションによって進行されるレクチャーというのは、簡単ではありませんでした。理解はできても、質問するために上手く言葉に表現できないというもどかしさは何度も経験しましたが、その度にもっとがんばろうと自分を奮い立たせてくれるモジュールばかりでした。
本プログラムでは3人のグループに分かれて合計3回のプレゼンテーションを行います。1回目は社会問題を自由に取り上げそれについての概要、2回目は途上国のケーススタディをプレゼンします。最終回は初回で扱った社会問題に対する解決策を提言しました。どのプレゼンテーションも質疑応答や細かいフィードバックを頂く機会があるので、十分な準備が求められます。そのため、グループワークも気を引き締めて取り組むことができました。
(グループワークの様子)
本プログラムでは、1週間インドネシアの古都・ジョグジャカルタへのフィールドトリップがあります。ジョグジャカルタ滞在中は、レクチャーもありますが、アクティビティ中心でプログラムが構成されます。ボロブドゥール遺跡とプランバナン寺院という2つの世界遺産への訪問、自給自足村の支援団体に招かれて楽器演奏や染め物、機織り体験などをするプログラム、女性の自立やキャリア支援も行うベルギー初の旅行社への訪問など盛りだくさんです。また、大雨の中ジープに乗って、道を駆け抜けながら火山の爪跡を観光するアクティビティは特に忘れられない思い出です。
Lien centerの方に引率して頂き、毎回の昼食や夕食では皆で伝統料理をいただきました。私は今まで新興国に渡航した経験がなかったので、行く前は不安でしたが、Lien centerのスタッフの皆さんのおかけで、勉強に観光にと非常に充実した1週間を過ごすことができました。
シンガポールは本当に清潔で治安のよい街です。多民族国家として知られている通り、街を歩けば中華系、マレー系、タミル系など様々な人々が歩いているので、シンガポールの多様性はすぐに実感できます。街中でシングリッシュを聞けるのも楽しみの一つでした。シングリッシュはリスニングが結構難しく、コミュニケーションに苦労することもありましたが、他では聞くことのできない独特な英語に親しめる良い機会でした。
シンガポールマネジメント大学は市の中心部に位置しており、とても便利です。建物間は、都市の間に張りめぐらされた地下道を使って移動します。都市空間の中にそびえ立つ複数のビルからなる大学です。現地での交通手段はバスと地下鉄が中心でした。バスは、日本のようにバス停のアナウンスも表示もないため、観光客にとってはちょっぴりハードルが高めです。一方地下鉄は非常に安く路線も比較的シンプルなので、多くの観光客にとっても移動の足となっています。
プログラム中の土日はフリーデーのため、他の参加者とともにアラブストリートやリトルインディア、ラッフルズなどを観光しました。街の見どころはもちろん、行くところによって、民族や聞こえてくる言語の違いを感じ取れるのが大きな楽しみでした。平日はプレゼンの準備に忙しく、なかなか観光する時間はありませんでしたが、最終日のファイナルプレゼンテーションの後は、マリーナサンベイズやマーライオン公園を散策して、シンガポール最終日を楽しみました。上記にあげた以外のモジュールで、私がとても印象に残っているのは、シンガポール政府による公営住宅への現場視察です。シンガポールというと、超巨大なビル群が立ち並ぶ豊かな国というイメージを持つ人が多いと思います。私もその一人でした。しかし、その裏には大きな経済格差が潜んでいる事実を貧困家庭への訪問でお話を伺うことを通して感じ取りました。こういった現状は、観光でシンガポールに来ているだけでは絶対に見ることのできなかった側面だと思います。イメージにとらわれずに、国の実態を内側から見ることができたのはこのプログラムに参加してよかったと思えた大きな一因でした。
学習面でも自分の英語に対する姿勢を見直す良いきっかけとなりました。私は留学経験はありましたが、スピーキングに不安を感じていたため、あえてディスカッションなどでの発言が多く求められる本プログラムを選びました。悔しい経験は何度も味わいましたが、グループワークを通し、他の参加者との信頼関係を築きながら、皆でプログラムを乗り切ることができたように思います。
勉強面ではハードな面も多くありましたが、その分プログラムが毎日充実しており、春休み最大の思い出となりました。これもLien centerの手厚いサポートと一緒に3週間を過ごした他の参加者の皆さんのおかげです。ありがとうございました。今年度がプログラム初開催でしたが、来年度以降ますます参加者が増えて、本プログラムが継続していくことを心より願っております。