1か月1万円の焼きそばのサブスクモデル! 「浅草天才焼きそばニュー小江戸」を開業したのはYouTuberだった。

登録者数7万人超えのYouTubeチャンネルを運営する喜島店長が、日本最古の地下商店街・浅草地下商店街にオープンした「天才焼きそばニュー小江戸」。 毎日1皿焼きそばが食べられるサブスク、トッピングのポテトサラダ永久無料のTシャツ販売など、珍サービスが盛り沢山。 詳しくお話を伺ってきた。

 

2023年7月、日本最古の地下商店街・浅草地下商店街にオープンした「浅草天才焼きそばニュー小江戸」を取材した。店長の喜島さんは、登録者数7万人超えのYouTubeチャンネル「与論やまぐ学校」も運営している。

元芸人、YouTuberの喜島さんが開いた焼きそば屋さんは、ディープな雰囲気の浅草地下商店街のなかでもひときわ異様なオーラをはなっている。

 

▲浅草天才焼きそばニュー小江戸 店長の喜島さん

 

・毎日1皿焼きそばが食べられるサブスク

・トッピングのポテトサラダ永久無料のTシャツ販売

などなど、特殊なサービスが盛り沢山。

特殊サービスにこめた思いや焼きそばへのこだわりを詳しく伺ってきた。

 

▲浅草天才焼きそばニュー小江戸の外観。異様なオーラを放っている

 

 

天才焼きそばは、麺とお客さまが天才だ!

▲焼きそば大盛り(850円)+赤ウインナー(200円)、目玉焼き(150円)、ポテトサラダトッピング(100円)

 

▲焼きそば並盛り(600円)+大豚肉(200円×2枚)をトッピング

 

ー天才焼きそばって面白いネーミングですね

 

「なにが天才なの?」ってよく聞かれるんですけど、僕が天才ってわけじゃなくて、麺とお客さまが天才なんです!

 

ー麵とお客さまが天才??

 

特別な許可取って、浅草開化楼のパスタ用のカラヒグ麺で焼きそば使ってまして。

このパスタ麺が天才的に美味しいんです!

茹でる前に麺を嗅ぐと、びっくりするぐらい良い匂いで「はあ~~~」って声が漏れちゃいます。

 

ーあ、パスタ麺なんですね! 確かに普通の焼きそばとは食感がまるで違いました

 

このパスタ麺で焼きそば作る許可もらってるの、うちだけなんです。
スーパーで売ってる蒸し麺とか製麺所の麺とかいろいろ試したんですけど、この麺が一番好みでして。「これしかない!」って、浅草開化楼にお願いしにいったけど、最初は断られました。

 

浅草開化楼の担当者・不死鳥カラスさんからは「焼きそばで使うには原価が高いし、ブランディング的にもパスタ以外には使わせられない。止めた方がいいよ」って言われました。

焼きそばに合う他の麺を紹介してもらったんだけど、やっぱりこの麺しかないって思ったので、何度もお願いして。念願かなって「浅草開化楼の名前出して、焼きそばに使っていいよ」とOKいただきました。

 

 

ーモチモチで美味しい麺でした! ソースも美味しかったです

 

ソースのブレンドにもこだわってまして。麺を焼くソース、肉と野菜を焼くソース、追いソースはすべて別の物を使ってます!

ソースの濃さも、微妙に調整してまして、店内よりテイクアウトを若干濃くしてます。あと、酔ってるお客さまも味が少し分かりづらくなるので濃い目にしてます。

 

ー確かに酔ってると味が分からない(笑)。  お客さまが天才、というのはどういう意味ですか!?

 

うちの店、調味料かけ放題なんですけど「最後に美味しく仕上げるお客さまが天才」って意味です!

 

ー調味料、たくさんありますよね

 

お店で用意してる物もあるけど、「これ、焼きそばに合うよ!」ってお客さんが持ってきてくれる物もたくさんあるんです。

定番のアレンジとしては、白コショウや青のりですけど、モイオットチャン、シラチャ―も合いますね。トッピングになりますけど、意外とポテトサラダも焼きそばにばっちり合うんです!

僕なんかがぜんぜん知らない美味しい調味料を知ってて、お客さまはほんと天才です!

 

▲バカでかいペッパーミルでコショウをふりかける

 

 

珍サービスだらけ! ポテサラ永久無料のTシャツ、焼きそばのサブスクってなに!?

 

ーん? このTシャツ買うとトッピングのポテサラ永久無料なんですか?


はい、買ってお店に着てきたら永久無料です!

本当は買ったTシャツ着てこないと、宣伝にならないからポテサラ付けないよって言ってるのに、買ったお客さんの半分は着てこないです。
まあ、Tシャツ着てなくても「今回だけ特別ですよ!」って、ずっとサービスしちゃってます(笑)。

 

ーこのTシャツ売れてますか?

 

作るとすぐ売れちゃいますね。
ドリンクもそうなんですけど、僕が勧めた物が売れます。
Tシャツも勝手に売れるわけではなく「これなに?」って聞かれて「気づきました!?  ポテサラ無料なんですよ!」って説明すると、買ってくれる方が現れるという感じです。

 

ーこのお店、「これなに?」って気になる所がたくさんありますよね


意識的に仕掛けだらけにしてます。
お客さんが誰かに言いたくなる仕掛けを店中に詰めこんでまして。

 

Tシャツ、看板、ステッカー、それぞれデザインは僕のまわりの天才たちにお願いしてます。自分の考え、センスだけだと、そのセンスに合う方しか掴めないので、ちょっとずつ違うエッセンスを入れてるんです。

 

▲焼きそば1杯&ドリンク2杯以上頼んで「欲しい」と申告すると天才ステッカーをくれる。デザインは複数種あって、ちょくちょく変わる

 

ー焼きそばのサブスクもあるんですか?


はい! サブスクやってます。

年間契約10万円と月契約1万円の2種類のプランがあって、契約いただくと毎日1杯焼きそば食べられます。

今のところ、年間契約が1名、月契約が10名いらっしゃいます。会社で契約いただくと、毎日交代で社員の皆さんで食べ回していただけるので便利ですよ。

 

▲メニュー表にも天才サブスクの説明が掲載されている

 

▲サブスク加入者は、店内の壁にサインを掲示できる

 

ーあ~、使いまわしできるなら、近隣企業は福利厚生の一種として使えますね!

 

そういう使い方されてる会社さんもありますよ!
この地下街に通ってくれる人が増えて欲しいし、「あの店、いつもふざけたことやってるよね」って覚えてもらいたいのでサブスクやってるんです。

ボトルを入れられないお店なので、店を応援したいと思っていただけるお客さまが、気持ち良く何か出来る物を用意しておかないとって意味もありますね。

 

 

もともとYouTuberだった

ーもともと料理の仕事をされてたんでしょうか?


いえいえ、料理の仕事は初めてです。
今テレビで売れっ子の同期の元芸人で、YouTube配信やイベントの司会、俳優業を6~7年間ぐらいやってました。「喜島、これ出来る?」って言われたら、よほど無茶な仕事でない限り受けるようにしてます!

 

料理の仕事はしてなかったけど、浅草のガチャガチャ感が好きで。この地下街か、浅草の初音小路でお店をやってみたいと思ったんです。
役者もいる、芸人もいる、最近だと海外からの観光客もいるし、ヘンテコな人も普通にいて違和感ない。そのなかで、この地下街はディープさがいいですね。やべえ昭和感が残ってて。

 

 

ー喜島さんがやってるYouTubeチャンネル「与論やまぐ学校」、7万人以上登録者がいますよね

 

長くやってますからね。

もともとAMのラジオ番組で、プロ・アマ不問のパーソナリティオーディションがあって、エントリーに必要だったので、はじめてYouTubeに動画投稿しまして。

YouTubeチャンネル「与論やまぐ学校」は、演劇に出演した時、劇団関係者に「これから毎日動画投稿します!」と言ってしまったので、そこから約12年間ほぼ毎日投稿しています。

 

ー12年毎日!?  すごっ!  ご飯食べながらお話しをする動画が多いですが、はじめからそのスタイルですか?

 

YouTubeもスマホもやり方が分からない状態だったんで、最初はいろいろ試しました。ネタ動画みたいなこともやりましたし。
でも、毎日続けなきゃいけないでしょ。色んなことを伝えたかったけど、ただ話しても誰も聞いてくれない。毎日ご飯は食べるから、話すのと混ぜちゃおうと。

 

他の投稿者のスキマを探していって、当時ほとんどやってる人がいなかった「車内で、食事をしながらトークする」って形式に落ち着きました。
動画の投稿時間も夜19時頃にあげる人が多かったから、あえてお昼12時頃にアップしてました。

 

ー毎日投稿、大変な時もあったんじゃないですか


震災の頃は、コメント欄が荒れました。
「ご飯食べながら、震災について話すな。おまえは舐めてる」とか、そんなつもりは一切ないのに意図的に発言を切り抜かれて炎上したり。
「この塩、美味しい」って言うだけで「砂糖作って生計たててる人もいるんだ。どういうつもりだ」って怒りのコメントつきましたし。


ーこの店のお客さん、YouTubeのファンが多いんでしょうか


YouTube見て目指してくる方もいるし、ふらっと入って気に入ってくれて2回、3回目と何度も来てくれる方もけっこういます。
自分からYouTuberって名乗ることもありません。
魅力的なお客さまが多くて、本当にありがたいです。

 

▲常連さんが手作りメガネアクセサリーを、店長さんにプレゼントしていた。「僕のために作ってくれたんですか!?  付き合ってるみたいじゃないですか!」と喜島店長。

 

▲鉢巻きにメガネアクセサリーをつけ「ほんとに照れますね。自然に照れるな」と照れ笑いする喜島店長

 

ーお店オープンして、YouTubeも毎日更新して大忙しですね!

 

今、人生で一番貧乏ですよ。このお店始めてから、一回も僕自身に給料入れてません。
お店が忙しくてYouTubeも案件できないし、1人でお店を回してるから外食にも行けずいつも同じような動画になってしまうので再生回数減ってます。
ミスター借金。今、人生で最大級の借金してます。

でも、絶好調です! お金貸してくれるってことは信用されてるってことですから。かなり絶好調ですよ!

それ以外ありません。

 

 

 

奇抜な店舗外観や特殊なサービスが目立つけれど、「浅草天才焼きそばニュー小江戸」は焼きそば自体にもこだわりを詰め込みまくっていました。

店長さんは明るい人柄で、口癖の「絶好調!」を聞くと、不思議と元気が湧いてきます。

浅草地下街の見物がてら、ぜひ立ち寄ってみてください!

※焼きそばのサブスク、ポテトサラダに関するサービスは2023年12月現在のものです。このサービスを前提に来店する場合は事前にご確認下さい。

お店情報

浅草天才焼きそばニュー小江戸

住所:〒111-0032 東京都台東区浅草1丁目1-12 浅草地下街33号
営業時間:11:00~22:00
定休日:水曜日

 

 

書いた人:松澤茂信

松澤茂信

珍スポットマニア。日本全国1,000ヵ所以上のちょっと変わった観光地や飲食店を巡り歩いています。

 

 

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