2022年10月27日
ポイント
●紫外線を赤色光へ効率的に変換する塗布型の光波長変換透明フィルムを開発。
●野菜や樹木の成長促進効果の実証実験に成功。
●農林水産業を加速化する次世代の光テクノロジーへ期待。
概要
北海道大学大学院工学研究院の長谷川靖哉教授、同大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の庄司 淳特任助教、同大学大学院農学研究院の鈴木 卓教授及び斎藤秀之講師らの研究グループは、塗布可能な光波長変換材料で透明フィルムを開発し、その植物の成長促進効果を実証することに世界で初めて成功しました。
植物の成長には光が必要であり、葉緑素が吸収する赤色の光を効果的に利用することが知られています。一方、紫外線は多くの生物にとってダメージとなることも知られています。このため、太陽光に含まれる紫外線を赤色光に変換する光波長変換材料が植物生産を向上させる技術として現在注目されています。
今回開発した塗布型の農業フィルムは、紫外線を赤色光に変換する光波長変換材料を使用しており、植物に必要な可視光を遮らずに光変換できるため、野菜や樹木の成長に効果的であることがわかりました。
この技術は、太陽光の紫外線を赤色光に変換でき、電力を必要としないことから、持続可能な開発目標(SDGs)を満たす次世代の農林水産工学分野への応用展開が期待されます。
なお、本研究成果は、2022年10月26日(水)、Scientific Reports誌にオンライン掲載されました。
論文名:Plant growth acceleration using a transparent Eu3+‑painted UV‑to‑red conversion film(Eu3+を塗布した透明な紫外-赤色波長変換フィルムを用いた植物成長促進)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-022-21427-6
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