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みなとみらいギャラリーで「戦争に破壊された日常を考える」企画展

イラクで破壊された住居に置き去りにされたテディベア

イラクで破壊された住居に置き去りにされたテディベア

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 企画展「War in Cities~戦争の街を体感する」が現在、みなとみらいギャラリー(横浜市西区みなとみらい2)で開催されている。赤十字国際委員会(ICRC)、日本赤十字社、在日スイス大使館の3団体による共催。

破壊された喫茶店に置き去りにされたカップと茶たく

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 戦争が都市やそこに暮らす人々に与える影響に焦点を当てた同展。がれきの中から発見された人形やハンドバッグ、食器など、戦争や紛争に巻き込まれた人が日常生活で使っていた品物を展示し、現代の都市型戦争における市民の苦しみを物語る。

 展示品は主にICRCの職員が2017年に戦場で収集したもの。破壊された住居に置き去りにされたテディベアには、汚れや破損に戦争の痕跡が残る。住宅の棚にしまわれていた食器や、喫茶店のテーブルの残がいと共に散らばっていたというカップと茶たくは、荷物をまとめる時間もなく被害にあった人々を思わせる。

 同様の企画展は、これまでスイス・ジュネーブやオーストラリア、フィリピンでも開催された。今回は日本独自のコンテンツとして、広島で被ばくした少年が着ていた学生服や金属が不足していたなかで作られた陶製の手りゅう弾、ウクライナやガザの被害を大画面の3D映像で疑似体験するコンテンツなどを展示する。

 東京大学大学院の渡邉英徳教授の研究室がデジタル技術を駆使した3Dコンテンツの展示を行う。広島・長崎に投下された原子爆弾による被爆者証言を3Dデータマップとしてまとめた「ヒロシマ・アーカイブ」や「ナガサキ・アーカイブ」を地域の人たちとともに作ってきた同研究室が、ウクライナやガザ地区から送られた映像・写真をもとに現地の戦争被害を再現する。

 「ガザ地区3Dマップ」は今回が初公開となる作品で、アルジャジーラ・メディア・ネットワークスや国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)と共同で制作された。3Dデータを活用して、戦争による被害を視覚的かつ立体的に再現しており、戦争が地域社会に与える影響を体感できる。12月21日には、渡邉さんと研究室に在籍する研究員の小松尚平さんによるデジタルコンテンツの解説や、VRコンテンツ体験会が開催される。

 広島関連の展示物を提供した八王子平和・原爆資料館共同代表の杉山耕太郎さんは「イスラエル、パレスチナ、ロシア、ウクライナ。同様のことがいつ身近で起きるかわからない。核戦争が明日起こるかもしれない。誰がないと言えるのか。自分の身に置き換えて、この展示物をご覧いただけたら」と呼びかける。

 ICRCの榛澤祥子駐日代表は「今、世界中で120以上の紛争がある。身近なところで戦争が起こると、自分や大切な人の命が危険にさらされるだけでなく、建物やインフラが破壊され、戦争終結後も何十年に渡り影響が続く。市街地での戦闘が人々にどのような影響を与えるのか。見て、触れて、体で感じてほしい。想像してほしい。そして、考えてほしい」と話す。

 さらに榛澤さんは「この企画展におけるもうひとつのメッセージは、戦争にもルールがあると知ってほしいということ」だと話し、「国際人道法のルールを誠実に適用することで、多くの命を救うことができる」と強調した。

 国際人道法とは、戦争における負傷者や捕虜、一般市民などの人道的な取り扱いを定めた国際法の総称で、代表的なものに196か国が参加するジュネーヴ諸条約がある。同展では、国際人道法や関連用語を解説した冊子を無料配布する。

 開催時間は11時~19時。入場無料。12月25日まで。

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