Apple、本気でVRゲーミング市場も狙い始めてるのか。
ソニーがPlayStationのVR2コントローラーを、Apple「Vision Pro」のオプショナルアクセサリーとして提供するかもという噂が出回っています。
米メディア、BloombergのMark Gurman記者は12月8日のニュースレターにて、AppleがVRコントローラーの開発に向けて大きな取り組みを進めていると報じました。Gurman記者が匿名ソースから得た情報によると、「PlayStation VR2」のコントローラーがまもなくVision Proと互換性を持つようになるのが濃厚とのことです。
Vision Proにコントローラー登場?
Metaの「Quest 3」など他メーカーも含め、過去5年間に発売されたほとんどのVRヘッドセットはコントローラーがセットになっていますが、Vision Proには専用コントローラーが存在していません。
Vision Proの操作は、基本的に視線追跡によるアイトラッキングと、手や指を追跡するハンドトラッキングで行うため、コントローラーがいらなかったというわけです。直感的に使えるアクセシビリティの点では、現時点で最高のVRヘッドセットのひとつと言えるでしょう。
Vision Proはすでに、PS5とXboxのコントローラーに対応しているものの、正確なVRゲーミング操作に必要な6DoF(X軸、Y軸、Z軸の移動と回転)に対応していないため、最適化と呼ぶにはまだ程遠いという印象です。
筆者もこれまでさまざまなゲームアプリでVision Proを使用してきましたが、ハンドジェスチャーコントロールでうまく動作するゲームはほとんどありませんでした。
いろいろ問題はありそうだけど…
ソニーのPlayStation VR2コントローラーがVision Proでも使えるようになるのは、一部のゲーマーにとって喜ばしいニュースである一方、いくつか問題もあります。
ひとつには現在、PlayStation VR2ヘッドセットとセット販売されているため、VR2コントローラー単体での販売がないということ。ソニーは2023年の発売以来、VR2ユニットの具体的な販売数を明らかにしていませんが、VRプラットフォームの開発者であるMax Mustard氏は、2024年10月にRedditにて「ソニーはVR2を約200万ユニットを出荷した」と発言しています。
また、ゲーム開発者らをVision Proに惹きつけて、ゲームを開発してもらう必要もあります。Gurman記者のソースによると、Vision Proの販売台数が50万台未満で、それを考慮するとゲーム開発者への売り込みは難しいものになりそうです。Vision Proの売上も7 月にすでに落ち込んでいたことを考えると、これはあまり良いことではない。
コントローラーにより、つまむことなくアプリを選択する新しい方法も可能になります。また、Final Cut Pro など精密な操作を求めるアプリに使うこともできます。
Gurman 氏は、Apple が空間コンピューター用にスタイラスのようなデバイスをテストしているが、今年末までにリリースされる予定はないと述べました。
ゲーミング市場に注力するApple
先日、ゲーミングデバイスメーカー・Corsair(コルセア)のゲーミングキーボードとマウスのMac仕様版(実際はカラーリングがMac仕様になった程度)を、Apple Storeで限定販売するなど、分かりやすいほどゲーム市場に注力しているApple。今後、App Storeには驚くほど多くの予算をかけたゲームが登場するほか、秘密主義なAppleには珍しくサードパーティの周辺機器のフックアップも増えていくのではと考えられます。
このようなアップデートにより、Vision Proは完全にゲーム対応のデバイスになる可能性があります。ノートPC界の中では上位クラスのM2チップを搭載したVision Proは、幅広いVRゲームをネイティブに実行できるほど強力になることでしょう。
とはいえ、50万円を超えるVision Proは、Macなど最新の超ワイドスクリーンと組み合わせない限り、ゲームを楽しむには適していません。かたや7万円台から購入できる「Meta Quest 3」やさらにリーズナブルな「Quest 3s」のほうがゲーム機能は優れていると言えるでしょう。
Vision Proの手と目のトラッキング機能は、これまで使用したVRヘッドセットの中でも最高レベルですが、Quest 3と3sの操作性もそれに負けず劣らず優れており、加えてVision Proより手を伸ばしやすい価格帯が魅力的ですね。
なお、Vision Pro専用のコントローラーの発表時期などはまだわかっていません。