パカっと嵌めれば、ニンテンドースイッチもどきに様変わり。
iPhoneに取り付けるだけでゲームコンソール感覚でゲームが楽しめると噂のBackbone Oneがいよいよ4月末発売です。以下がプロモーションビデオ。
さっそく米Gizmodoがはまってますよ。使ってみた感想をレポートします!
Backbone One
これは何?
iPhone用ゲームコントローラ。iPhone対応のみでランチャーアプリ付き。競合はSONY、ニンテンドー、Microsoft。
価格
99ドル(日本市場は1万2980円)
好きなところ
ちゃんと使えた!
好きじゃないところ
プラスチック製でボタンもちゃらくて、iPhoneの高級感と釣り合わない。ゲームライブラリの管理や対応タイトル探しの機能がない。
ゲームの時間が増えた
スマホで使うのはTikTok、Twitter、メール、カレンダー、メッセージ、Slack。でもBackbone One使うようになってからはiPhoneのスクリーンタイムの中でゲームのカテゴリだけ時間がじわじわ増えてます。特にSteamリンク、Deltaエミュレータ。
Backbone Oneはカチャッと取り付けるとiPhoneもNintendo Switchみたいになるので、『Holedown』や『Threes!』みたいな暇つぶしゲーム以上にゲームが楽しめちゃう。エンタメデバイスの部分が強化されたiPhoneはこれまでのiPhoneとはまったく別物です。Backboneを嵌めると、通知をミュートにして『ファンタジアン』の世界に没入しちゃったりするのが楽しくて。クラウドサービスも前ほどひどくないし、ゲームの未来が眼の前に開けてきたように感じます。
Appleと任天堂のゲーム売上比較
ハンドヘルドゲーム機といえば一番に浮かぶのはゲームボーイやSwitchで、Appleの名前なんて浮かんでもきませんよね。だけどAppleはゲーム界の水面下で存在感を増しています。
大手市場調査会社IDC調査ディレクターのLewis WardさんにAppleと任天堂の違いが数でわかるデータをひとつお願いします!と頼んでみたら(ハンドヘルドなのでSONYとMicrosoftは割愛しました)、こんなのが出てきて愕然となりました。
Apple: 133億9000万ドル(2020年iOS App Storeで取り扱うゲームから入る世界総売上)
任天堂:133億8000万ドル(2020年総売上)
Appleいつのまに…。ゲーム機やゲームを1個も作らずして世界のゲームメーカーにゲーム売上で並ぶ。そんなことがあるんですね。
改めてApp Storeのすごさを知るとともに、AppleがあれだけサブスクリプションサービスのApple Arcadeに力を入れている理由がわかった気がします。ストアで取り扱っている一般の無料ゲームに比べると、有料サブスクのゲームは大作揃いで、コンソールやPC対応ゲーム並みのクオリティです。iOSと並行してiOS以外のプラットフォームでも売られていたりしますが、自分だったら『BAYONETTA』シリーズの開発元プラチナゲームズの『World of Demons』をタッチでちまちまやろうとは思わないけどコントローラがあれば話は別で、iPhoneでプレイしちゃうかな。
Backbone Oneや類似の製品(Razer Kishiなど)が広まれば、モバイルゲームのハードルが下がってAppStoreの売上はまたまたうなぎ登り。何万円もするゲーム機買った経験のある人なら喜んでプラスチックのこれ嵌めてプレイするんじゃないかと。
いや、絶対そうなると断言してもいいくらいです。
接続もホールドも安定している
Backbone Oneは伸縮自在で、6S以降の全サイズに対応しています。Lightningポートに直接差し込めるので、ワイヤレス接続みたいに接続が途中で落ちる心配はありません。今のコントローラに必要なボタンはすべて揃っているほか、独自の「home」ボタンを押せばオプションのBackboneアプリも起動します。スマホを差し込めば即プレイ開始。こういうところは古きよきAppleの「It just works」をちゃんと踏襲できていると感じました。
ゲームはキビキビ反応し、目立った入力遅延もなしです。ボタンも感触はおおむね良好で、やや感度がよすぎるのと、トリガーがもさっとしてるところを除けば十分使用に耐えます。全体的にBackbone Oneは造りが頑丈です。背面も硬いプラスチック製で、柔らかいストラップのRazer Kishiとは好対照。iPhoneをしっかりホールドしてくれる安定感があります。割れ物触るようにしなくていいので、バックパックに放り込んでも、タンスから落ちても平気です。
せっかく99ドル(日本市場は1万2980円)払うならもっとAppleスマホに釣り合う高級素材がよかった…とつい思ってしまうけど、よくよく考えてみたら、アルミを切り出してるゲームコントローラもないわけで、これでよしとしなければ。
ストレスフリーなゲーム環境
操作感については取り立てて書くこともなくて、ふつうに、いいです。ヘッドフォンジャックもついてるし、パススルーのLightningで充電もできるし、何時間も『フォルツァホライゾン4』、『ヴァルキリープロファイル:レナス』、『太鼓の達人(Taiko Pop Tap)』、『ドラゴンボールファイターズ』、『Destiny 2』、『 テイルズ オブ シンフォニア 』、『ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝 』をプレイしたけど不満らしい不満もありませんでした。
プレイしたのは次の3つのカテゴリのゲームです。
・ネイティブのiOS対応ゲーム
・Steam LinkやGoogle StadiaやPlayStation Remote Playなんかのサービスで楽しむストリーミングゲーム
・iPhoneのローカルにROM(カセット)を保存してDeltaエミュで楽しむゲーム
各カテゴリごとに幅広いジャンルのゲームをやってみました。
ネイティブiOSゲームはスムーズです。これは想定内。『Call of Duty Mobile 』なんかのアクションゲームも動作は万全だし、Apple Arcadeの「太鼓の達人」も『ヴァルキリープロファイル』とかのRPGゲームもよかったです。
ストリーミングゲームもそれに近い完成度で、特にSteam LinkはBackbone Oneをはめてプレイすると最高です。ベッドに寝っ転がって『フォルツァ』のレースを少しやったり、コーヒー淹れながら『ファイナルファンタジーXIII』やったり。もちろん使うマシンの構成にもよるだろうけど、僕の場合、ゲーミングPCはイーサネット経由でファイバー接続なのでWi-Fiでもデータ接続でも動作は良好でした。
PlayStation 4 Pro経由のPlayStation Remote Playは少しバラつきがあって、これはおそらく僕のハードウェア側の問題かと。接続がときどき遅くなったりしましたけど、それでも『Persona 5: Dancing in Starlight』も『ドラゴンボールファイターズ』も『ソウルキャリバーVI』もちゃんとできました。
ゲームのストリーミングはもちろんゲーム機不要です。Google Stadiaは去年プレイして以来だったけど、少し見ない間に随分進化していて驚きました。ブラウザからGoogle Stadiaを開いてアカウントにログインすれば、ライブラリにあるゲームをなんでもタブにいながらにしてプレイできるんです。Backbone Oneの入力感度もバッチリで『Destiny 2』と『スーパーボンバーマン R オンライン 』を少しプレイしましたが最高でした。ビジュアルもきれい。まあ、さすがにiPhone 12 Miniの画面のブラウザではやや狭く感じたのでファーストチョイスじゃないけど、感じ方は人それぞれで、特にPlusサイズのiPhoneの人はもっと長く遊べそう。
独自アプリの使い心地は?
Backbone独自アプリも大きなセールスポイントとして宣伝されていますけど、こちらはほかのアプリと同じ手順で開いてもいいし、コントローラについてるオレンジの専用ボタンからでも起動できます。あとはライブラリをスクロールして気になるゲームを起動して、マルチプレイヤーゲームの仲間に加わったり、スクショやゲーム中の動画を編集してシェアしたりできます。すごくよくできていて、Nintendo Switch、PlayStation、Xboxのランチャー並みと言ってもいいほど。足りないのは表示のオプションと管理ツールぐらいでしょうか(ゲームは全部カルーセルに一緒くたなので、手動でコントロールしたり、フォルダーを作ったりできない)。
iPhoneなのにiPhoneの邪魔が入らない
痒いところに手が届くゲーム環境で、Backbone Oneやってるとリラックスタイムにも思わず力が入ってしまいます。画面の面積を食う通知をOFFにして神経を指先に集中してしまうんですね。iPhoneでゲームしてるのに、iPhoneの邪魔が入らないという感じ。
Backbone One1台あればモバイルゲームの世界は確実に広がります。現に上記のゲームはどれも僕が、ガラスの画面に親指ガチガチ当ててプレイしようとは思わないタイトルばかりです。BluetoothでつなぐDualshock 4とXbox Oneのコントローラを試したときには、スマホでゲームしたいだけなのにいろいろ面倒だったけど、Backbone Oneはあらゆるものがシームレスなんですね。
思えば、ずっとこれが課題だったのだって思ってしまいました。モバイルゲームも専用端末レベルになると言われて久しいけど、これまではあんまりやりたいと思わなかったので。でもBackbone Oneはやりたいと思う。そこが違い。
これは任天堂もウカウカしてられないですね。Switchもみるみる年季が入ってきていますし。iPhoneのほうがいろんな面でデバイス的には優れていて、5年半落ちのiPhone 6Sですら画面では優位で、解像度にしてもピクセル密度にしても、SwitchやSwitch Liteより上。しかも生活のすべてがiPhone中心に回っている今日び。このままいけば、いずれは任天堂抜きになってしまうかも。Switchで遊べないハイエンドゲームが出たら尚更です。
ネックはLightning
新しい製品が出るたびに古い製品がごみになって、電子ゴミは今ひどいことになっているので、個人的には製品寿命も気になるところですが、その点、Backbone Oneはいちおう長持ちしそうです。そもそも不安要素のバッテリーも画面もないですからね。それに専用のねじでロックされてる iPhoneと違って、市販のねじを使っているので、何かあれば自分で開けて直せますしね。
カスタマーサポートは万全で手厚すぎるほど。不具合の相談をしたらすぐ別のを送るというので(テスト機は自腹で買いました。企業提供のレビュー機ではありません)、え?そこまで要らないよ!と慌ててリクエストを取り消しました。別のを送る前に原因を一緒に考えてくれたら無駄にならないのになーと思う反面、お客様を粗末にしない会社な印象は受けました。
唯一心配なのはLightningコネクタですね。Appleはポートをコロコロ変えるので、それをやられたらBackbone Oneも瞬殺です。次期iPhoneでLightningからUSB-Cに代わったらアダプタがないとつなげなくなっちゃう。この狭い空間にアダプタが入るのかなあ…(それを言うなら、ケースつけたままでも嵌りませんけどね)。