海の向こうにいても3D印刷で成形できる。
スイス出身でドイツのFCアウクスブルクのサッカー選手、ステファン・リヒトシュタイナー。彼が投資しているという3D印刷の鍵が革新的で、鍵の常識を変えてしまいそうです。
それは鍵に刻まれたギザギザのパターンがコピーされないよう、外から見えない膨らみの内側に凹凸パターンを持つ「ステルス・キー」というもの。
リヒトシュタイナーは、彼の叔父を経由して同じスイスの企業UrbanAlps(アーバンアルプス)の取り組みを知り、大使も務めるようになり、プロモーション映像にも出演しています。
なるほど。今は3D印刷がポピュラーになったことで、既存の鍵だと写真から複製が作られてしまう危険性があるのですね。だからこそ、剥き出しにせずステルス(隠す)するわけです。リヒトシュタイナーはディフェンダーなので、家のセキュリティーをディフェンスするという意味でも、ピッタリの人選です。
鍵の仕組み
この鍵がどのように機能するのか、デモ映像も用意されています。
映画か何かで見た記憶がありますが、粘土やチューイングガムをギュっと押し付けて、取った型で複製してしまう…なんていう方法もありますよね。それだとギザギザのロータリーディスク型以外にも、表面が波打った溝を持つウェイブ型や、小さな丸い穴が掘られたディンプル型の鍵も複製されかねません。おそらく対抗できるのは、側面に小さな磁石が埋め込まれたマグネットキーくらいなもんでしょうか? ですが「ステルス・キー」なら、解錠パターンとなる凸凹は膨らみの内側に隠れており、外からでは撮影も型取りもできないのです。
リヒトシュタイナーが利点を語る
彼のコメントでは、現在この業界は何世紀も鍵のデザインが変わらず、また変えようとしない保守的なものであり、一方テクノロジーの進化で台頭してきたスマートキーがしのぎを削る中、そのどちらにも属さないシンプルなメカニカル・キーから変革を起こそうという姿勢に惹かれたのだそうです。
そして金属を使った3D印刷技術を利用するため、印刷機と材料さえあれば遠隔地でも鍵を出力できる身軽さも魅力とのこと。従来の鍵は削り出しで材質の80%を廃棄するのに対して、3D印刷である「ステルス・キー」だと2%未満しか材料を廃棄せず、余った金属は次の印刷で使われる点もエコで素晴らしいのです。
南京錠もある
「ステルス・キー」には、近未来ロボみたいなデザインで堅牢な南京錠も作られています。借家なので鍵を変えられないなどの場合には、機会があればこちらを試してみたいですね
たとえば大きな施設など、マスターキーがあればどの部屋でも開けられるというパターンも作れるとのこと。シリンダーとセットで導入する必要がありますが、次世代の物理的なセキュリティーとして信頼できそうです。
Source: YouTube (1, 2, 3), STEALTH KEY via 3D Printing Media Network
2020年4月12日17:40修正:「ディンプル型」が初出時「テンプル型」と誤って表記されており、修正しております。